映画「たそがれ清兵衛」がっちりネタバレです。ご用心!!

2002年度、第26回日本アカデミー賞を総なめにした周知の名作です。

舞台は幕末、海坂(うなさか)藩としていますが、藤沢周平の時代小説に登場する架空の藩で、実在の庄内藩あたりをモデルとされています。

 

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山田洋次監督の初の時代劇作品ですが、多くの人から愛されながらも、映像化の難しさから映画化が敬遠されてきた藤沢周平作品を、構想に10年以上、時代考証に1年以上をかけて、家屋や城内の様子、さらには髷に至るまで、徹底的にリアリズムを追求しました。

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東北小藩の下級藩士・井口清兵衛(真田広之)は、妻に先立たれた後、幼いふたりの娘と年老いた母の世話、そして借金返済の内職の為に、御蔵役の勤めを終えるとすぐに帰宅することから、仲間から「たそがれ清兵衛」と揶揄されていました。

 

城内御蔵役とは、武士というものの現代のサラリーマンに酷似していて、上役に忖度し、陰口を肴として慰め合って日々を過ごし、サラリーマンと同じような悲哀を味わっています。

 

そんな日常に2人の娘の成長を至福の幸せと思いつつも、藩のお家騒動に巻き込まれていきます。

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かつて想いを寄せていた幼なじみで、酒乱の夫・甲田豊太郎(大杉漣)に離縁された飯沼朋江(宮沢りえ)の窮地を救い、朋江の兄(飯沼倫之丞、吹越満)の果し合いを助太刀して甲田に打ち勝ったことから、剣の腕が立つことを知られた彼は、藩命により上意の討ち手に選ばれてしまいます。

「死んでこい」にも等しい藩命に従わざるをえない清兵衛は苦渋に満ちた表情を見せる。現在のサラリーマンの悲哀とまったく変わらないですね。

 

秘めていた想いを朋江に打ち明け、謀反の馬廻一刀流の達人、余吾善右衛門(田中泯)の屋敷を訪れた清兵衛は、一時心を通わせるものの、壮絶な戦いの末に余吾を倒します。

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その後、朋江と再婚した清兵衛。だが幸せも束の間の3年足らず、後の戊辰戦争で官軍の銃弾の前に命を落とすことになりました。


淡々と日常をこなす生活の中、武士としてぶれない芯を持ち、激動の時代に生きた清兵衛。制約の多い武家の娘として生まれながらも、自分の想いに素直に従おうとし、されど、武家の娘故に、果たし合いに行く清兵衛を気丈に送り出した朋江。

そして、武士であるがために辛酸を舐め、妻子を失い、藩命といいながら理不尽な切腹を言い渡すお上に背いて、強烈に異彩を放った余五善右衛門。

 

当たり前ですが、現代社会ではあり得ない物語に胸がうたれるのは、細部に渡る時代考証による臨場感、巧みなキャスティング、それを見事にこなす達者な役者たち、リアリティー溢れる映像が、絶叫も号泣もないけれど、静かな感動に心を打ち震えさせました。

 

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晩年の以登(岸惠子、兼ナレーション)に両親の墓前で、清兵衛は人には不運な男といわれたが、出世などを望むような人ではなく、自分のことを不運だなどと思っていなかったはず、娘を愛し美しい朋江に愛され、充実した思いで短い人生を過ごしたに違いないといわせます。

 

本当の幸せとは何かを考えさせられます。

 

 

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