映画『ユージュアル・サスペクツ』ネタバレでは価値ありません!絶対注意?!

 

 

 

コカインの取引とみなされた現場を何者かが襲撃し、密輸船が爆破されて、あるべき大量のコカインと9100万ドルが消えました。

 

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警察はただ一人の生存者ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)の尋問を始めましたが、キントは、事件の黒幕は誰も顔を見たことがないとされる大物ギャング、「カイザー・ソゼ」だと語り、彼がディーン・キートンガブリエル・バーン)ら5人のユージュアル・サスペクツ(常習の犯罪容疑者)を集めて襲撃させたというのですが。


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クリストファー・マッカリーによる脚本ですが、アガサ・クリスティーの長編推理小説アクロイド殺し』がもとになっていると言われています。さて具体的にはどの部分がもとにされているのでしょうか。

 

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アクロイド殺し』の小説はシェパード医師が語り手として書かれています。そして実は医師本人が事件の犯人であるため、よく言う「信頼できない語り手」という叙述トリックです。この方法はまさに『ユージュアル・サスペクツ』のストーリーの構成と同じと言えますね。

つまり、『ユージュアル・サスペクツ』において、シェパード医師に相当する人物は、嘘の証言者であるキントなのです。

 

さて、当たり前ですが、これが単に「ヴァーヴァル・キントの作り話」で終わらないのは、このイメージカットによるミスリードの使い方、にあります。

まずキントの話はデヴィット・クイヤン捜査官(チャズ・パルミンテリ)に対するウソ話でありながら、同時に観客へのミスリード(騙し)を含みます。物語世界に存在するキャラクターが物語世界の外の観客までをだます構造なのです。

本来、解釈する為によりどころとなるはずの映像世界は実は虚構だった、というのはミステリにける叙述トリックにほかありません。

 

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ユージュアル・サスペクツ』という映画は物語の根幹に映像によるミスリード、つまりミステリの叙述トリックで言う「地の文」にミスリードを仕込んでいます。

 

地の文にミスリードを仕込み、それにより読者に誤認させる(騙す)という仕組みを、イメージカットによっているのは、『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)におけるこの叙述トリックを指しますが、同じく映像で叙述トリックを効果的に使ったものでは、ヒチコック「サイコ」(1960年)やシャマランの「シックスセンス」(1999年)があげられます。

 

映像による叙述トリックと言うのは最近では増えてきましたが、『ユージュアル・サスペクツ』が作られた時点では数えるほどしかありませんでした。「イメージカットでミスリード」を今ならその程度で終わるかも知れませんが、これが公開された当時に映像による叙述トリックを見せられたら驚きです。

 

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シックスセンス」にしろ同じことですが、こういう映画はその仕掛けにどれだけ騙されたかで評価が大きく変わります。つまり、うまくしてやられてハマってしまうといい映画と評価が高くなるわけです。