始まりは、小山千鶴(杏)が感動した梅が岡フィルハーモニーと間違って梅が岡交響楽団に入団したことからで、よれよれがたがたの老人オーケストラをひっぱりひっぱられて感動の第一回コンサートに至ったお話です。
この手のドラマの筋書通り話は進み、愕然とするほどヨタヨタのオケを千鶴の努力とそれに呼応した老人たちのガンバリが大筋で、よくある主人公に反発する奴がいて内部でもめるといったこともなく、いたって順調に最後のコンサートの大演壇へとむかいます。
途中、梅フィルで指揮するはずだった、小さな大指揮者、フィリップ・ロンバール(フィリップ・エマール)が大事にし ている古いカセットレコーダーを梅響の前指揮者野々村秀太郎(笹野高史)が修理して流れが梅フィルから梅響に移ります。
ストーリーを先読みできるのが、それはそれでおもしろく、まことにこころよく話が展開します。
野々村秀太郎の孫娘の野々村和音(黒島結菜)と大沢コーイチ(萩原利久)の高校生カップルの取り扱いもさっぱりとしていて気持ちが良かったのと、千鶴の同僚教師の坂下くん(坂口健太郎)との思わせぶりな関係も最後の小オチまでのひっぱりとすればいい塩梅の展開です。
当たり前すぎる話の流れや、オーケストラという題材にありがちな専門的な不具合とか、云々で不評を買いかねてしまうようなところもありますが、そこは充実しすぎているバイプレイヤー陣の達者で安定した演技で映画初主演の杏をひきたてて、多少の不具合に目をつぶらせてしまいます。
たまたま観たプライムビデオなのに、よくある話なのに、ところどころに指摘したくなるところがあったのに、不覚にも涙腺を緩められてしまいました。
左とん平さんはもういません。
笹野高史さん、小松政夫さん、石倉三郎さん、茅島成美さん、喜多道枝さん、おまけに、藤田弓子さん、ついでに光石研さんも、いつまでも息災でいてほしいものです。
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