映画『ターミネーター2』このシリーズ最高傑作と言われますが間違いなくSF映画の傑作です!!

この映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day)は、1991年のアメリカのSF映画。『ターミネーター』(1984年)の続編として製作されました。

タイタニック』『アバター』などで知られる稀代のヒットメーカー、ジェームズ・キャメロン監督の出世作として知られている『ターミネーター』シリーズですが、同時にそれはアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガー出世作でもあり、SFアクションの歴史を変えた記念碑的な映画シリーズでもありました。

このシリーズの基礎は、キャメロンが監督を務めた第1作『ターミネーター』と2作目の『ターミネーター2』にあると言っても過言ではありません。

目次

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1.プロローグ

前作『ターミネーター』の予想を超えたヒットにより、早くから続編の製作が期待されていましたが、元々B級映画だったために続編製作の権利は複数のマイナー会社に握られており、「作りたくても作れない」状況にありました。

また、キャメロン監督自身も「少年とターミネーター」という新たな構想を温め続けていて、前作の焼き直しに陥るのを危惧し、早期の続編製作には否定的でした。

 

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2.『ターミネーター』(1984年)の概要

未来の機械軍によって1984年の「現代」にその標的をサラ・コナーとして、殺人マシンT‐800は送り込まれました。。未来世界では大半の人間が核戦争で命を落とし、生き残った人類は地下に潜ったレジスタンスとなり、機械軍=スカイネットと戦い続けていました。

スカイネットにとって、レジスタンスの指導者ジョン・コナーは厄介な存在でした。そこでスカイネットは、ジョンの母サラを、ジョンが誕生する前に抹殺しようとします。一方、未来のジョンは、母を守るためボディガードとして戦士カイル・リースを送り込みました。


3.『ターミネーター2』へ

第1作目はホラーテイストでしたが、『ターミネーター2』はアクションのスケールを大きくしつつ、エモーショナルなドラマに重点を置いています。

本作は、前作のフォーマットをほぼ採用するというシンプルな、それでいて大胆なストーリーラインながら、多くの観客を震え上がらせたT-800を「最強の味方」として配置し、「見やすいのに新しい」という方法論を構築しました。

前作を鑑賞済みの観客であれば、話の展開をスムーズに追えると同時に、T-800の変わりぶりに新鮮なショックを受けるでしょう。つまり、前作をある種の下敷き、前振りとして使ったところに本作の巧みさがありますね。

父親を知らずに生まれ、収監された母サラから引き離され、その母に捨てられたと思い込み、愛情のない里親に育てられたジョンが不良に走るのは必然でした。

そんな彼が命の危機に直面し、圧倒的な強さを誇るT‐800に救われます。さらにT‐800は彼の母に関する誤解を解き、精神病院からサラを救い出しました。

こんな頼れる存在を、ジョンが父親のように慕うようになるのがミソとなります。T‐800とサラ、ジョンの間には疑似親子というべき関係が成立し、その絆はT‐1000との戦いなどの危機を乗り越えて、どんどん強くなっていきます。

 

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4.視覚効果技術

技術面でも「ターミネーター2」は大きな功績を残しました。人間形から液体金属へ、液体金属から人間形へと変身するT‐1000をビジュアル化した視覚効果技術です。今でこそコンピューターグラフィックは当たり前のように映画に用いられていますが、本作の製作時は、まだ未開発の分野でした。

VFXスーパーバイザーのデニス・ミューレンはこの技術を用いてT‐1000の変身をナチュラルにビジュアル化。その後、彼はこの技術を活かし、『ジュラシック・パーク』(1990年)で観客の度肝を抜くことになりました。

CG合成技術の進歩の歴史をたどるとき、間違いなく本作は決して無視できない作品なのです。ちなみにミューレンはこの作品ででアカデミー視覚効果賞を受賞しています。


5.「進化」と「深化」

「進化」はT-1000、「深化」はT-800を指します。

まず、「進化」について。液体金属の身体を持つT-1000は物理的攻撃を受け流し、何度でも再生できる無敵の存在で、床に同化したり、したがって、T-800が変声しかできなかったのに対して外見からコピーできます。

表情も豊かになっており、T-800のように朴訥とした物言いではありません。より人間に近い存在となっており、故に「不気味の谷」現象、まさにロボットなどが人間に近づくほど嫌悪を抱く心理状態、に近い感覚を抱かせます。

前作のT-800が無感情の恐怖を抱かせたのに対し、より人間に近づいたT-1000には「冷徹さ」が垣間見えます。その印象を強めるのが、T-1000の攻撃スタイルです。身体を自由に変形して刃物にするT-1000は、銃をぶっ放して敵を倒すT-800に比べてより残酷です。

ジョンの里親が真っ二つにされるシーン、警備員が脳天を貫かれて殺されるシーンなど、前作の手術シーン以上にグロテスクです。これらの影響もあって本国では前作に引き続きR指定を受けましたが、T-1000のキャラクター造形のためには必要不可欠な残虐性だったといえるでしょうね。

 

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さて、T-800の「深化」について、これが人間であれば敵から味方への転身に「ご都合主義」感が強まってしまうのですが、ターミネーターはあくまで機械です。善人が使えば味方になり、悪人が使えば敵になる存在のため、観る者の中でハレーションは起こりません。

実際『ターミネーター』では「完全に破壊されない限りは命令に従い続ける」要素が恐怖を存分にあおったのですが、本作では「何があっても守ってくれる」という頼もしさと180度変わります。設定は全く一緒なのに、受け取り方が真逆になってきます。このアイデアは、本作でしか機能しなかったものでしょうが、実に見事な采配と言わざるを得ませんね。

さらに「機械が心を理解する」という本作の「核」ともいえるテーマが加わると、物語は一気にヒューマンドラマへと傾いてゆきます。

前作で命を落としたジョンの父カイル・リースの代わりを、仇のはずのT-800が担うという勇敢なシナリオで、恐怖の対象だったT-800に同情し、感動するなど誰が予想したでしょうか。28年経った今観ても、衝撃的な展開となっています。

 

6.エピソード

1)アナログ面

本作の合成には当時最新鋭のCGIVFXを使用していますが、大変なコストと時間がかかって限界があったために、アナログな撮影方法も用いられています。

例としてクライマックスでサラと彼女に擬態したT-1000が同時に画面に出るシーンでリンダ・ハミルトンの双子の姉レスリーが片方を演じました。

T-1000が擬態したサラをリンダが、奥のサラをレスリーが演じ、バストショットはリンダが演じています。レスリーはこの他に鏡の前でT-800を修理するシーンにも出演しています(実際には鏡はなく、写った側をリンダが、鏡の前をレスリーが演じています)。

また、病院の警備員に擬態したT-1000を演じたのも、警備員役のドン・スタントンの双子の兄弟でした。

 

2)少年

サラの息子ジョンを演じた美少年エドワード・ファーロングは、約6ヶ月にわたる撮影中に声変わりが起こり、身長も伸びたため声だけ録音し直したり、身長のつじつまを合わせるためにしゃがんだり、或いはバイクを大きくしたりと人知れず苦労があったようです。

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3)T-1000

T-1000を演じたロバート・パトリックは、ハクトウワシの頭の動きを参考に、役作りを行ったそうです。また、全速力でジョンを追いかけるシーンで人間らしさを消すため、鼻だけで呼吸するトレーニングを積んだそうで、その結果、走るのが早すぎてジョン役のエドワード・ファーロングが乗ったバイクに追いついてしまった、というハプニングも発生しました。

 

4)キャスティング

T-1000役ははじめ、ロック歌手のビリー・アイドルが予定されていましたが、事故によりロバート・パトリックが務めることとなりました。ちなみに、核戦争の引き金となるシステムを生み出すマイルズ役には、デンゼル・ワシントンがオファーされていましたが、役柄に興味を持てなくて断ったそうです。


7.エンディング

T‐1000を倒してもハッピーエンドとはなりません。T‐800もまた、この世界に存在していてはいけない未来のマシンだからです。サラとジョンを救うというミッションを成し遂げた彼は母子に別れを告げて「消去」を選びます。

いうまでもなく、機械に心はありません。が、この結末は世界中の観客を揺り動かしました。結果、感動アクションとなり『ターミネーター2』は前作の7倍もの世界興収を上げることになりました。

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8.ロボット三原則

ここで、機械が「心」を持つかも?が肝となった映画でしたが、AIテクノロジーが発達し、囲碁・将棋も人間は敵わなくなってきました。これからどのような世界になってくるのでしょう。先人は原始的ながら指針を出しています。

アメリカのSF作家のアイザック・アシモフSF小説の中で1950年に示した「ロボット三原則」というのがあります。正式にはロボット工学三原則といって、ロボットが従うべき原則としています。

(第一条)
 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

(第二条)
 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

(第三条)
 ロボットは、第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。

アシモフは、フランケンシュタインのようにロボットが創造主を殺害する、それまでの定型的なストーリーと一線を画す小説を書くため、「人間の製造物なら何らかの安全装置があって然るべき」と考えてロボット三原則を作り上げました。

ロボット三原則を読むと気付きますが、三原則が適用されるのは自意識や判断能力を持つ自律型ロボット、すなわち人工知能(AI)に限られており、アニメーションのガンダムのような自意識や判断能力を持たない乗り物や道具としてのロボットには適用されません。

ロボット三原則はその後のロボット作品に影響を与え、ロボットやサイボーグが三原則に違反するケースや三原則と矛盾する状況において苦しむケースもよく見られます。

映画では、『アイ、ロボット』(2004年)(アシモフロボット三原則を示した最初の小説と同じタイトル)において、三原則を組み込まれたロボットが人間を襲う謎を解く話が展開します。また、『ロボコップ』(1987年)ではオムニ社によって開発されたロボコップは、悪事を働いてもオムニ社社員には危害を与えないように設定されています。逆にロボット三原則が無い、または有効に働かない結果、AIまたはロボットが人類を支配する世界を描く映画として、『マトリックスシリーズ』(1999年)そしてこの『ターミネーターシリーズ』があります。

 

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面白いことに、ソニーは、ペットロボットのAIBOを開発するにあたって次のようなロボット三原則を定義しました。

(第一条)
 ロボットは人間に危害を加えてはならない。自分に危害を加えようとする人間からも逃げることは許されるが、反撃してはいけない。

(第二条)
 ロボットは原則として人間に対して注意と愛情を向けるが、ときに反抗的な態度を取ることも許される。

(第三条)
 ロボットは原則として人間の愚痴を辛抱強く聞くが、ときには憎まれ口を利くことも許される。

 

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9.まとめ

ソニーの三原則、この映画を参考にしたのかとも邪推してしまいます。三原則を安全・便利・長持ちと読み替えることで家電製品に適用できることも知られていますが、さて、この先、AIの進化は如何なものになるのでしょうね。