映画『ソーシャル・ネットワーク』フェイスブックの成立を人間的に描いています?!

この映画『ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)』は、2010年のアメリカ映画で、。SNSサイトの「Facebook」を創設したマーク・ザッカーバーグとその周辺を描いた映画です。

アーロン・ソーキンの脚本で、監督は、デヴィッド・フィンチャー、主演は、ジェシー・アイゼンバーグです。

余談ですが、本物のザッカーバーグ漫才コンビ「サバンナ」の高橋茂雄に、演者のアイゼンバーグは「嵐」二宮和也にそっくりです。

目次

 

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1.ストーリー

Facebook」の立ち上げから発展を描く回想シーンと、訴訟手続を描く証言録取のために宣誓供述を行っている、現在進行シーンが交互に展開されてゆきます。


1)別れ

2003年秋。ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグジェシー・アイゼンバーグ)は、ボストン大学に通う恋人のエリカ(ルーニー・マーラ)と部活動やハーバード大学の学生秘密結社のファイナル・クラブなどについて語り合っているうち口論になり、「あなたがモテないのは、ヲタクだからモテないんじゃなくて、性格がサイテーだからよ」と言われて完璧にフラれました。

 

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2)「Facemash」の立ち上げ

怒ったマークはブログに彼女の悪口を書き並べ、さらに腹いせにハーバード大学のコンピュータをハッキングして女子学生の写真を集め、女の子の顔の格付けサイト「Facemash」を立ち上げました。サイトは瞬く間に話題となり、立ち上げから2時間で2万2000アクセスを集め、4時間で大学のサーバーをダウンさせてしまうのでした。

 

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3)ハーバード・コネクションへの誘い

後日、大学の査問委員会に呼び出しを食らったマークは、半年間の保護観察処分を受け、大学中の女子学生の嫌われ者となる。そこへ、ボート部に所属するエリート学生である双子兄弟、キャメロン・ウィンクルヴォス、タイラー・ウィンクルヴォスと、その友人のディヴィヤ・ナレンドラに声を掛けられる。3人はマークの優れたプログラミング能力に目を付け、「harvard.eduドメイン」に群がる女性に出会うことを目的としたハーバード大学の学生専用コミュニティサイト「ハーバード・コネクション」の制作協力を依頼する。

 

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4)「The Facebook」の発展

これにヒントを得たマークはソーシャル・ネットワーキングサイトの制作を始め、親友のエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)に1000ドルの出資とCFO最高財務責任者)への就任を頼む。マークはウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー)らとの接触を避けてサイト制作を進め、2004年初頭、「The Facebook」は誕生しました。「The Facebook」は、エドゥアルドが所属するファイナル・クラブ「フェニックス - S K・クラブ」の人脈を利用して瞬く間に広まってゆきました。これに気付いたウィンクルボス兄弟らは、アイデア盗用でマークを訴えようとしましたが、資産家の子息でもある彼らは「ハーバードの紳士は訴えない」という思想のために思い留まりました。

 

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5)「The Facebook」の拡散

「The Facebook」の流行のおかげで、マークは女子からモテるようになりました。気をよくしたマークは、偶然見かけたエリカに「二人きりで話したい」と声を掛けますが、彼女にすげなく一蹴されます。マークは、「The Facebook」がハーバード大学の学内限定公開で、名声も学内に留まっていると考え、サイトをさらに大きくしようと決意し、システムを改良して他大学へも次々と開放してゆくのでした。


6)ショーン・パーカーの出現

その頃、アメリカ西海岸では、Napsterの設立者であるショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)が、行きずりの女子大生とベッドで朝を迎えていたとき、そこで偶然目にした女子大生のお気に入りサイト「The Facebook」に興味を持ち、サイトを通じて直ちにマークたちに連絡を取りました。
西海岸にスポンサーを探しに来たマークとエドゥアルドは、ショーンと面会してビジネスの相談を持ち掛けようとしますが、ショーンの一方的な「独演会」となってしまいます。自分の考えをまくし立てるショーンに対し、エドゥアルドは彼の人となりに疑いを抱く一方、マークはその考えに魅了されていました。

 

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7)亀裂

ショーンの「The」がない方がクールという提案を受け、サイトの名前は「The」を取って「Facebook」とし、会社の拠点は西海岸カリフォルニア州のパロアルトに移しました。2004年夏、マークたちは西海岸でサイトの改良作業を進め、エドゥアルドは東海岸のニューヨークでスポンサー探しを進ていました。
その間に、ショーンはマークたちが借りた家に転がり込み、マークに「俺たちの時代が来た」と語って自分たちの力で事業を拡大することを訴え、新たな投資会社との契約を成立させてゆくのでした。
そこへエドゥアルドがニューヨークから戻り、自分の知らぬ間に次々と事が進んでいることに激怒しました。エドゥアルドは会社の銀行口座を凍結させてショーンとマークが進める投資話を止めようとし、ついにマークとの友情に亀裂が入るのでした。


8)訴訟

同じ頃、イギリスのボートレース大会に参加していたウィンクルボス兄弟は、「Facebook」がヨーロッパの大学にまで浸透するほど巨大化している事実を知り、訴訟の提起を決意します。
一方、エドゥアルドは、30%以上あった持ち株比率を0.03%まで希薄化される罠にはめられ、CFOを降ろされてしまったため、訴訟の提起を決意しました。


9)未練

こうしてマークは2つの訴訟を抱えることとなりました。女性弁護士から「あなたにとってはスピード違反の金額と変わらない」と示談を勧められたマークは、2つの訴訟を示談で決着をつけることにしました。マークがノートパソコンで「Facebook」を開き、別れた元恋人のエリカに友達申請を行うところで映画は幕を閉じるのでした。

 

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2.みどころ

1)妬みと願望への視点

世界最大のSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)を生んだ若き創業者の内面に迫る本作は、導入からして大胆不敵です。ハーバード大マーク・ザッカーバーグが、彼女に振られた腹いせに女子の品定めサークルをネットに立ち上げ、やがてそれが「フェイスブック」へと成長していくことを示唆しました。モテないヲタク青年の妬みと、それでも誰かと繋がりたい願望が巨大な社交場のルーツであったという視点は説得力に富んでいます。


2)天才の悲哀

IT事情に詳しい者は戸惑うでしょうに、ネット上のコミュニケーションに変革をもたらした若き天才の理想など、一切描かれていません。数億もの人々を繋いで億万長者になった起業家は、ここではコミュニケーション能力を欠き、全能感を抱いたままの未成熟な子供同然です。リアル社会での名誉や利益をめぐって、仲間にさえ離反される悲哀が縦軸なのです。


3)瞠目と疑念と憐憫

事実はモチーフにすぎず、映画とは監督の解釈であるという意味においてデビッド・フィンチャーの戦略は正しいく、若者カルチャーへの瞠目と疑念と憐憫こそがテーマといえるのです。主人公が病的なまでに早口で膨大なセリフを喋りまくる本作に向き合うことは、おびただしい情報が瞬時に流れゆくネットの海に飛び込むことに似ていて、つまりリアルを疎かにし、バーチャルに依存しがちな同時代の人間関係そのものが真の主役とは言えないでしょうか。
かつて殴り合うことで生を実感する映画『ファイト・クラブ』(1999年)を撮ったフィンチャーですが、身体性を欠いたサークルが増殖していく様はさながら「反ファイト・クラブ」です。その成功者も、心の痛みからは逃れられないのです。

 


3.伝説の「99テイク」

1)アーロン・ソーキンの告白

本作が公開されたとき、冒頭のシーンのテイク数が大きな話題になりました。その数は「99テイク」とされていますが、確たる情報ではなく、実際は90〜100の間だったようです。5分のシーンを単純に100回繰り返すと、500分。つまり8時間20分。もちろん間にブレイクを挟むので、1日では終わらない長さになります。脚本家のアーロン・ソーキンは「約100回のテイクを撮り終えたときは、午前3時になっていたはずだ」と告白しています。


2)ジェシー・アイゼンバーグザッカーバーグ役)の告白

演じる側にとって、テイクの多さは歓迎すべきものだったようで、ザッカーバーグ役のジェシー・アイゼンバーグにこの点を聞くと、のように答えています。

「100回というのは大げさで、たぶん90回くらいだったと思う。でも、飽きるなんてことはなかった。同じキャラクターで、何度も違うアプローチを試みるなんて、役者にとってはむしろいい経験だよ。アーロン・ソーキンが書いた面白いセリフは、90回以上ものテイクでも表現を変えることができるわけだから」

「時には100回以上のテイクを撮るときもあったけど、それは彼が僕らを信頼し、レベルの高い仕事をしてくれると期待していた証拠。彼は僕ら俳優のみならず、音響、撮影などを含めて、すべてのスタッフに高い要求をしていた。そういう彼のハイレベルな要求に応えたい一心でチームは一丸となって撮影していたから、現場はとてもいい雰囲気だったよ」

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4.Facebook側の反応

脚本を担当したソーキンは、映画を作成するにあたり、実際にマーク・ザッカーバーグに取材を申し込んだが断られました。ソーキンは後に「最終的には映画の客観性を保つ意味ではそれで良かった」と述懐しています。

また、書籍の著者であるベン・メズリックも、ザッカーバーグだけでなく当時を最もよく知る人物としてエドゥアルド・サヴェリンに取材を申し込みましたが、双方ともに拒絶されたものの、映画に関してはエドゥアルドが監修として参加しています。
なお、ザッカーバーグは全米公開後に映画館を借りて、Facebook社員全員と共に見て、作中に登場するアップルティーニを飲んみました。そしてその後、アップルティーニを非常に気に入り、Facebookのオフィシャルドリンクにしたそうです。

その後にスタンフォード大学での講演で、ザッカーバーグは、社会的地位を得るために「Facebook」を立ち上げたように描かれている点が事実と異なるとコメントしました。

 

 

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    マーク・ザッカーバーグ

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 デヴィッド・フィンチャー

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  アーロン・ソーキン

 

5.まとめ

第23回東京国際映画祭(2010年10月)のオープニング作品となった本作のプロモーションのために来日した、製作総指揮・脚本のアーロン・ソーキンへのインタビューで

「私が惹かれたのは、それこそ何1000年も語り継がれてきた友情、裏切り、権力、階級、嫉妬、そういった古典的なストーリーに必要な要素が、この『ソーシャル・ネットワーク』にはすべて入っていたということ。こういったストーリーがこの21世紀の現代的な舞台で繰り広げられていたことに興味を持ったんだ」といっています。