映画『ブレードランナー 2049』SF映画金字塔『ブレードランナー』の30年ぶりの続編です!!

この映画『ブレードランナー 2049Blade Runner 2049)』は、2017年のアメリカ合衆国SF映画で、1982年制作の映画『ブレードランナー』の続編です。

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演ライアン・ゴズリング、さらに、前作の主演ハリソン・フォードが引き続きリック・デッカード役で出演し、前作の監督リドリー・スコットは製作総指揮を務めました。

第90回アカデミー賞では、5部門にノミネートされ、撮影賞・視覚効果賞を受賞し、ました。

目次

 

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1.みどころ

1)継続から伸展

この『ブレードランナー 2049』のすごいところは、単純に『ブレードランナー』の世界を継承しているのではなく、その世界にさらに深みを加えていることでしょう。もちろん『ブレードランナー』だけ見ても面白いのですが、『ブレードランナー 2049』を見ることでさらに深いところまで考えさせられる作りになっています。


2)小道具

小道具にもたくさんこだわりがあって、例えば四角いグラスや折り紙、『ブレードランナー』を見た人にふっとニヤニヤさせるものがたくさん登場します。


3)雨と雪

ブレードランナー』では、雨の中、デッカードと戦ったレプリカントのロイが死の間際に、自らの死と共に思い出が消える様を「雨の中の涙」と表現します。対して『ブレードランナー 2049』では、雪の中でKとデッカードのとても印象的なラストシーンが展開されます。


4)映像美

初代『ブレードランナー』のイメージは、その人気の要因でもあるのでしょうが、ダークで、いい意味でどこかごちゃごちゃとしていて、とにかく独特な世界でした。

では、映画の背景を反映し、初代の要素も残しつつ、全体的なイメージは美しくも無機質といった感じになっています。

この映画の撮影監督ロジャー・ディーキンスは、ドゥニ・ヴィルヌーヴはもちろん、コーエン兄弟などとも組んで、数々の名作を生み出しているすごい人なのですが、今までに13回もアカデミー撮影賞にノミネートされ、なんと今回『ブレードランナー2049』で初めて受賞しています。


5)ホログラム

実はこの映画、エルヴィス・プレスリーフランク・シナトラ、そしてマリリン・モンローまで登場します。といっても、ホログラムなんですが。

 

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デッカードが隠れ家にしていたホテルがまだ営業していた頃の娯楽の名残なのですが、彼らの等身大のホログラムのステージだったり、ミニチュアホログラムが歌ってくれたり、実際にあったら面白いなと思うものが登場します。

個人的に、さっきまでガンガン戦っていたKに対してデッカードが、エルヴィスが「Can’t Help Falling In Love」を歌い出した時に、「この曲好きなんだ」と言うシーンがあって、歌詞の意味とデッカードの境遇を考えると切なくもあり、またストーリー的に深くもあります。


6)レイチェル

本筋には直接関係ない部分でも楽しめるのですが、実はもう1人重要な人物が登場します。それはレイチェルです。前作『ブレードランナー』を見ている方は彼女の登場に息を呑むのではないでしょうか。

ウォレスのレプリカントとして、再現された彼女は偽物だと分かっていても美しく、デッカードと彼女が向かい合っている姿は、とにかく切ないものです。


2.ストーリー

1)プロローグ

2049年、地球の異常気象と生態系崩壊は更に進行していました。ロサンゼルスは海面上昇で沿岸部が多く失われ、内陸に後退した市街地は巨大な防波堤に囲まれ、6月でも雪が降っていました。

LAPDの「ブレードランナー」として旧型のレプリカントを「解任(抹殺)」する職務に就くネクサス9型レプリカントのK(ライアン・ゴズリング)は、ウォレス社製の家庭用AIであるジョイ(アナ・デ・アルマス)を恋人として暮らしています。

 

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2)前代未聞

ある日、Kはロサンゼルス郊外で合成農場を営んでいた逃亡レプリカントのサッパー・モートンデイヴ・バウティスタ)を「解任」しますが、その庭にある枯木の根元深くよりトランクを発見しました。トランクの中身は遺骨で、検死の結果帝王切開の合併症で約30年前に死亡した女性で、遺骨には製造番号が刻まれており、レプリカントであったことが判明しました。

 

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レプリカントの出産は前代未聞であり、Kの上司であるジョシ警部補(ロビン・ライト)は、事実公表によって起きるであろう社会混乱を憂慮し、Kに事件の痕跡をすべて消すようにと命令します。


3)遺骨の謎

Kはウォレス社を訪ね、過去の記録から遺骨は2019年に逃亡したレプリカントのレイチェル(代役ローレン・ペタ)であること、逃亡直前にLAPDの元ブレードランナー、リック・デッカードと恋愛関係にあったことを知りました。

 

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ウォレスは、タイレル博士が確立していたレプリカントの生殖技術を以前より欲しており、片腕であるレプリカントのラヴ(シルヴィア・フークス)にレイチェルの子供を見つけ連れて来るよう命令しました。

Kはデッカードを知る数少ない人物であるガフ(エドワード・ジェームズ・オルモス)を訪ね彼の行方を訊聞きますが、手がかりは得られません。
モートンの農場に戻りもう一度調べると、根に彫られた「6-10-21」数字の刻印、レイチェルの子供のものと思われる靴下、赤子を抱いた女性の写真などを発見します。数字はK自身の情緒安定用の疑似記憶にある木彫りの馬の玩具(木馬)に彫られた数字と同じでした。

一方ラヴはLAPDに忍び込み、レイチェルの遺骨を盗み出します。ジョシは追跡者と子供の存在から事態の切迫を確信し、KにDNA記録を調査して即時報告するように命じました。


4)出征の秘密

Kは2021年6月10日生まれの出生記録・DNA記録を調査し、同一のDNAを持つ男女の2名の記録を発見します、女児は病死し男児だけが生きていること、2名とも同じ孤児施設に在籍していたことを知りました。
ラヴは秘かにKの動向を追跡します。Kはサンディエゴの孤児施設での調査の過程で現実に木馬を見つけ出すいました。ジョイはKが「製造された」のではなく「生まれてきた」証拠だと喜び、Kに「ジョー」という名を贈りました。

Kは高名なレプリカント用記憶作家のアナ・ステリン博士(カーラ・ジュリ)を訪ね、自身の記憶の真贋鑑定を依頼します。ステリンは本物の誰かの記憶であると回答し、Kは激情を露わにするのでした。

ジョシに連れ戻されたKは正常性試験を受けますが失格となり、Kは「出自を知らずにレプリカントとして働いていた対象の子供を見つけたが、処分した」と嘘の報告をしました。ジョシはKを48時間の停職処分とした上で、改めて再試験する旨を伝えて家へ帰しました。


5)明かされる秘密

Kは逃亡の決意を固め、ジョイはKに同行することを決意しました。モバイル端末のエマネーターに自身のデータ全体を移植し、部屋のバックアップを削除すること、追跡を断つためにエマネーターのアンテナも折ることをKに願いいました。

 

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木馬の材質がラスベガス産と判り、Kはラスベガスへ向かい、隠遁していたデッカードを発見します。デッカードはKに、妊娠したレイチェルをある「仲間」に委ねたこと、各種記録を改竄する方法を仲間に教えたこと、子供とは一切他人として過ごしてきたことなどを打ち明けました。

 

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エマネーターの反応喪失によってKの居所がつかめなくなったラヴは、ジョシのオフィスに押し入りKの行方を尋ねるがジョシは拒みます。ラブはジョシを殺害し、ジョシの端末からKの所在を探り出してラスベガスに急行し、デッカードを誘拐します。
Kは抵抗しますがラヴに叩きのめされ、エマネーターは破壊され、これによりジョイは消滅するのでした。

 

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6)意外な真実

Kはデッカードの仲間を名乗るフレイザ(ヒアム・アッバス)率いる「レプリカント解放運動」によって救助され、Kに仲間に加わるよう誘いました。
フレイザは、レイチェルの子は男児ではなく、女児であることを明かし、Kはステリン博士がその娘であり、ステリンの記憶が自身に埋め込まれていたのだと悟りました。
フレイザは解放運動のメンバーと女児の安全を守るため、デッカードを殺害するようKに依頼します。一方、ウォレスはデッカードに子供を隠した仲間について詰問し、再生したレイチェルをその対価として用意しますが、デッカードは拒否します。ウォレスはデッカードを地球外植民地(オフワールド)で拷問にかけることに決めました。


7)エピローグ

ラヴはデッカードを拘束してLA空港に向かいますが、途上でKの急襲を受け、Kは死闘の末にラヴを殺し、デッカードの死亡も偽装したうえでデッカードをステリンの研究所へ連れて行きました。デッカードを見送った後、Kは負った深傷を確認し、降り続く雪を眺めながら瞼を閉じるのでした。

 

3.公開

1)評価

映画批評家レビュー集積サイト「Rotten Tomatoes」では、2017年12月22日現在、336件のレビューがあり、批評家支持率は87%、平均点は10点満点で8.2点となっています。「Metacritic」には、53件のレビューがあり加重平均値は81/100となっています。
英エンパイア誌が選ぶ2017年のベスト映画10本にて第2位に選ばれました。

 

2)ボックスオフィス(興行収入

本作は全世界合計で2億5920万ドルを稼ぎましたが、1億5000万から1億8500万ドルと推定される製作費で利益を上げるには4億ドル程度の売り上げが必要であり、8000万ドル程度の損失を出したとハリウッド・レポーター誌は報じています。

いったい何が起こったのか。リドリー・スコット監督によるオリジナルから35年後の『ブレードランナー』の未来を、ファンたちが観てみようと思わなかっただけなのでしょうか。

考えられることは、上映時間が長い、R指定、意図的にストーリー展開を秘密にしたこと、のなかで、一番すんなり理解できるのは、おそらく最も人間的なことで、話の筋がちょっと入り組んでいて、しかも間違いなく暗く、3時間もの時間を自分の理解できなさそうなことに費やしたくないと思う人が多かったのかもしれません。

 

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4.まとめ

デッカードレプリカントか人間かという疑問は『ブレードランナー』では明確な答えがなく、諸説あって謎のままで世間を騒がせましたが、『ブレードランナー2049』では、監督も明言しているように、デッカードレプリカントであるという前提の話になっています。

ウォレスは、デッカードとレイチェルが出会って恋をし、子供を産むということが、最初からプログラムされていた、そもそもそれを目的にタイレル(21世紀初頭にレプリカントを発明した企業)によって作られたとデッカードに語っています。

そうであれば、2人の感情は本当のものであって、つまり、2人は新生レプリカントのアダムとイヴということになりますね。