映画『猿の惑星』衝撃のラストはSF映画の金字塔です!!

猿の惑星(PLANET OF THE APES)』は、1968年のアメリカ合衆国の映画『猿の惑星』シリーズ全5作の第1弾作品です。なお、「APES」とは類人猿のことをいいます。

21世紀になってもなお映画化が続いている『猿の惑星』シリーズのまさしく原点の作品です。冒頭、宇宙船の中で船長のチャールトン・ヘストンが葉巻をふかしているのが何とも時代を感じさせますが、その着想・メッセージ性は今も燦然と輝いています。

目次

 

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1.概要

本作は1963年に発表されたフランスのピエール・ブールによるSF小説猿の惑星』を原作にしており、人間と猿の立場を逆転させた物語は非常に寓話的です。

猿たちは人間のように言葉を話し、文化的な生活を営んでいます。彼らの文明には宗教も存在し、「神はご自身の姿に似せて猿を作られた」と信じています。さらに驚くべきことに、この世界の人間は言葉を話すことができず、猿たちの奴隷として差別的な扱いを受けています。

さらに、猿たちは主人公のテイラーを自分たちの築き上げた秩序に対する挑戦と捉え、事実の隠ぺいに走ります。人間たちが鎧を着たゴリラにムチ打たれ、棒に括りつけられたり、軍事演習の標的にされたりている様は、まさに地獄です。

しかし、この滑稽でおぞましい猿の姿は、人間のそれとそのまま重なり、見方によれば、猿は白人にとっての有色人種を戯画化したものだとも言え、有色人種を差別し、虐げてきた白人社会は、物語の中でしっぺ返しを食らっているわけです。

また、猿の科学委員会の審問はまさに中世の宗教裁判を思わせ、悪魔のごとき人間の仕業を「聖典」の中に忍ばせて難くいましめてこの世界の人間を忌み嫌います。

さらに、有名なラストシーンで明かされる真実は、白人に限らず同族間で憎しみ、殺し合ってきた人類に対する痛烈な皮肉になっています。東西冷戦で核戦争一歩手前という危機を経験し、公民権運動が大きな盛り上がりを見せていた当時の世相を反映する、非常に社会派な作品となっています。

 

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2.ストーリー

1)プロローグ

4人の宇宙飛行士を乗せてケネディ宇宙センターから発進した一隻の宇宙船が、およそ6か月の宇宙飛行を経て、地球への帰還を目指していました。船長のジョージ・テイラー大佐(チャールトン・ヘストン)は準光速航行のハスライン理論に従って、船内時間が1972年7月14日、地球時間が2673年3月23日であることを確認した後、睡眠薬を注射して他の3人と同じように冬眠状態に入りました。


2)未知の世界へ

何らかのトラブルが発生し、宇宙船はとある惑星の湖上へと不時着水します。着水と同時に冬眠装置が自動的に開き、テイラー、トーマス・ドッジ中尉(ジェフ・バートン)、ジョン・ランドン中尉(ロバート・ガンナー)の男性3人は脱出したものの、女性飛行士のマリアン・スチュアート中尉(ダイアン・スタンレー)は装置の故障による空気漏れで既に死亡していました。

幸いにも惑星は地球と同じような環境が保たれており、生き残った3人は沈みゆく船を離れ、ゴムボートで川を遡っていきます。オアシスにたどり着いた一行は水浴びをしますが、途中で何者かに衣服や物資を盗まれます。
その後を追いかけた一行の前に現れたのは、原始人のような人間の群れを追いかける、銃で武装し馬に跨った猿の騎兵たちでした。猿たちは逃げ惑う人間に銃撃を加えながら追い詰めて行きます。
ドッジは射殺、ランドンは捕まり、テイラーは首に重傷を負って、そのまま意識を失いました。やがてテイラーが気が付くと、大勢の人間が飼育されている動物病院において輸血を受けているところでした。


3)猿と人間

この星における猿にとって人間は、知能も低く、文化や言葉を持たない野蛮な下等動物に過ぎません。しかしテイラーを治療するチンパンジーの獣医・ジーラ博士(キム・ハンター)は、猿は元々人間から進化したものと考えて、それを立証すべく、独自に研究を続けていました。

 

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その婚約者で考古学者のコーネリアスロディ・マクドウォール)も、ジーラの学説には少し懐疑的ではありましたが、猿社会ではタブーとされている「禁断地帯」を調査して、これまで真理とされてきた考えに大きな疑問を抱いていました。
ジーラは、その行動が他の人間とは全く違い、しかも言葉を発しようとするテイラーに強く興味を示していました。
怪我の後遺症で喋れないテイラーは、自分は言葉が分かることを紙に書いて伝えようとします。
ジーラとコーネリアスの上司であるオランウータンのザイアス博士(モーリス・エヴァンス)は、そんなテイラーを危険視し、意思疎通の試みを妨害しました。


4)まるで宗教裁判

傷が回復したテイラーは脱走を試みるが、公衆の面前で捕まった時にとうとう言葉を発し、周囲の猿たちを大いに驚かせます。テイラーは裁判にかけられますが、法廷の真の目的は、何故テイラーが言葉を発するのかという議論ではなく、猿社会で当然の真理とされてきた思想に公然と刃向うジーラとコーネリアスの異端的言動を断罪する事にありました。
裁判官たちはテイラーの主張を単なる戯言と受け止め、テイラーはジーラたちの陰謀によって生み出されたものと見なしていました。テイラーは離れ離れになった仲間との面会を求めるものの、捕えられていたランドンはザイアス達の手で脳外科手術が施されており、廃人と化していました。
閉廷後、テイラーは一人ザイアスの執務室に呼びだされる。ザイアスはテイラーを、猿たちの「聖典」で禁足地とされている「禁断地帯」からやって来たミュータントだと考え、その通りに自供しなければ去勢と脳手術を施すと脅します。テイラーはザイアスが一体何を恐れているのかが分かりませんでした。

 

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5)脱出

テイラーは6時間の猶予を与えられて牢に戻されますが、ジーラの甥のルシアスが助けにやってきました。審理の結果、重い処分を下されたジーラとコーネリアスは自ら「禁断地帯」へと向かい、自説の正しさと異端の無実を証明しようと決意したのでした。
現地女性の人間「ノバ」を伴い、海岸に到着した彼らは、後を追って来たザイアスを釈明の為に岸壁の洞窟へと連れ込みました。コーネリアスが以前に洞窟で発掘した出土品からは、約1200年前に書かれた「聖典」とは全く矛盾する、高度な技術が使われた遺物がいくつも発見していましたが、ザイアスは「聖典」が覆る事を恐れ、それを認めようとしません。その時、ザイアスの部下が攻撃を仕掛けてきますが、テイラーはザイアスを人質にとり、自分とノバのための武器と馬を要求しました。


6)別れ

窮地に立たされたザイアスはとうとう、実は自身も密かに、現在の猿の文明は過去の人類文明の遺産であると考えていたことを白状します。彼は「聖典」と矛盾する事実をずっと隠蔽し続けていたのでした。
テイラーはジーラたちに別れを告げると、ノバと馬に跨り、共に長い海岸線を辿って行きました。

一方のザイアスは、テイラーは捨て置くものの、部下に命じて洞窟をただちに爆破させた上で、ジーラとコーネリアスを改めて裁くことを宣言しました。ジーラはテイラーたちが禁断地帯の先で何を見つけるのか案ずるが、ザイアスは「己の運命だ」と突き放しました。

そしてテイラーは、海岸で胸から下が地中に埋まった自由の女神像を発見しました。人類が文明を、そして地球を自ら滅ぼしたことを悟ったテイラーは、その場で泣き崩れるのでした。


3.原作

原作を書いたピエール・ブールは第二次大戦に従軍中にインドシナで日本軍の捕虜になった経験があって、それをもとにした書いたのが『戦場にかける橋』の原作だといいます。本作の中にも捕虜当時の経験が書かれているということで、人間を捕虜にして檻に入れる猿は、実は日本人がモデルだという説もあります。
そういう原作をもとに映画化された本作は、米ソ冷戦が激しく核戦争の脅威にさらされていた時代を反映した内容になっています。


4.監督

監督のフランクリン・J・シャフナーは宣教師の父の子として日本に生まれ、16歳まで日本で育ってきたという経歴がありますが、日本人に対する思いは原作者とは違ったものであったろうし、映画の中で日本人を感じさせるものは出ていません。
この監督は本作により世界的に名を知られ、次に撮った『パットン大戦車軍団』によりアカデミー賞監督賞他7部門を受賞しました。そんな大監督の作品だけに、以後つくられるシリーズの中でも本作を超えるものはありません。


5.衝撃のラスト

今ではあまりに有名になりすぎ、DVDのパッケージにはその衝撃的な映像まで映し出されているラストの自由の女神像ですが、「愚かものたちめ!なんということをしてくれたんだ!!」とチャールトン・ヘストンが喚き叫んだのは、それが猿たちに対しての罵声ではなく、愚かな過去の人間たちへの罵声でした。
それにしても、ネタバレを超越してもなおショッキングなラストシーンです。

 

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6.まとめ

この映画が警告した人間たちの愚かな行為は今も変わっていません。形は変われど愚かな行為に対して、スウェーデンの少女が批判したのはつい最近のことでした。

ちなみに、本作品中の裁判シーンでは、「見ざる」「言わざる」「聞かざる」のポーズが出てきます。これは日本独自のものだと思っていたら、起源はエジプト時代に遡り、西洋でも伝わっているらしく、森の賢者とされるオランウータンに見せられると興趣がありました。