映画『クイール』それでも感動させられる盲導犬の一生が描かれています?!

この映画『クイール』は、実在したラブラドール・レトリーバー盲導犬クイール」の生涯を描きベストセラーになった『盲導犬クイールの一生』を映画化しました。

2004年に監督崔洋一で、盲導犬を断固拒否していた頑固オヤジにベテラン俳優の小林薫、のんびり屋のクイールを優しく見守り続ける訓練士を椎名桔平が演じて公開されました。

一匹の子犬が生まれてから出会いと別れを繰り返し、苦労の末、立派な盲導犬に育つ姿を描き、とにかく犬たちの名演があっぱれな作品となりました。

目次

 

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1.制作

1)ロケ地

撮影は、京都府亀岡市曽我部町犬飼に盲導犬の訓練センターがあり、その関係から本作の撮影地として選ばれました。
公開当時は亀岡でも話題となり、ほぼ全編亀岡市が舞台となっているので、市役所をはじめ亀岡市民にとっては見慣れた風景が続出しています。


2)メインのキャスティング

クランクインする前に犬担当のプロデューサーや助監督たちがいちばん心配していたのは、スケジュールに合わせて子犬たちがそろうのかどうかということでした。なにしろ同じ母親から生まれた白ラブ(ラブラドール)が7頭という絶対条件があり、どうしても黒ラブが一頭だけ混じったりしますから、大変なのです。


3)子犬の習性

7頭のきょうだいのうち、実際に使ったのは5頭で、少しでも調子が悪ければ差し替えるために2頭はエキストラ犬として待機させていました。調子が悪くなるというのは病気になるんじゃなくて、すぐ寝てしまい、一瞬起きるが、十秒くらい目を離していると、もう寝ってしまったそうです。


4)クイールには

クイールを演じたのは、関西盲導犬協会で盲導犬としての訓練を受けながら、途中でキャリアチェンジした犬、ラフィーです。

本当はテレビドラマでもクイールを演じた犬でいく予定でしたので、ラフィーは吹き替えとしてドッグトレーナーのところに預けられていました。ところが、彼を見たとたん、崔監督が乗り換えてしまいました。

訓練を受けていますから盲導犬としての歩き方はできるけれど、演技に関してラフィーはまったく未知数でした。
トレーナーは、このはしゃぎぶりでは撮影の途中でつぶれるかもしれない、撮影を嫌って現場に近づかない可能性もあると指摘しました。

しかしながら崔監督はラフィーの不安定さのほうを選び、とにかくこの子でいきたいと思ったそうです。


5)36テイク

最も苦労したのは、歩行の共同訓練で卒業試験に落ちた渡辺さんとクイールが、他の無事卒業できた人たちの出発式をながめているシーンで、なんと36テイクでした。あのワンカットのために4時間かけました。さりげない、家庭犬だったら飼い主に対して自然にするようなしぐさなんですが、それを再現して撮るというのは至難の業でした。

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2.ストーリー

1)母犬との別れ

ラブラドール・レトリーバーの子犬が生ませの親であるブリーダーの水戸レン(名取裕子)の願いから盲導犬になるために訓練士・多和田(椎名桔平)に預けられました。

おなかに鳥が羽根を広げたようなブチがあることから、パピー(子犬)ウォーカーの仁井夫妻(香川照之寺島しのぶ)によって「クイール」と名づけられ、1年間、夫妻のもとで愛情一杯に育てられました。


2)パピーウォーカーとの別れ

盲導犬訓練センターでの本格的な訓練が始まり、のんびり屋でマイペースなクイールはヴェテラン訓練士の多和田でさえ手を焼きますが、何とかクイールは立派な盲導犬へと成長しました。

そして、視覚障害者の渡辺ユーザー(小林薫)とめぐり会います。初めこそ息の合わなかった渡辺とクイールでしたが、ハーネスを介して伝わってくる「クーちゃん」の思いやりに、渡辺は次第に心を開くようになり、互いにかけがえのない存在になっていくのでした。

 

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3)ユーザーとの別れ

しかし、クイールとの生活が2年を過ぎた頃、渡辺は重度の糖尿病の合併症で入院しました。その間、クイールは小学校などでのデモンストレーション犬として使われました。

3年がたち、渡辺と3度目の別れを経験することになりました。その後、クイール盲導犬として働くこともなく、仁井夫妻のもとでのんびりと余生を送り、8年後、12歳と25日の生涯を静かに閉じました。

 

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3.盲導犬とは

1)盲導犬に向いている犬種

ラブラドール・レトリバー
ゴールデン・レトリバー
ラブラドール・レトリバー×ゴールデン・レトリバーのミックス犬(F1)
の3種類が日本国内で活躍する盲導犬の主な犬種です。
昔はジャーマン・シェパードが多かったのですが、見た目が非常に精悍で、犬が苦手な人へ威圧感を与えてしまうことがありました。

2)理由

a)性格面

レトリバー種は、もともと狩猟犬として人と一緒に働く犬です。環境に適応する能力が高く、人間と仕事をすることが大好きな性格の犬なので、盲導犬に向いています。

b)体格

からだの大きさが人を安全に誘導するためにちょうどいいサイズです。チワワのように小さすぎたり、セントバーナードのように大きすぎては電車に乗ったり、人混みを歩くのに向いていません。

c)外見

たれ耳でアーモンド型の優しい目という外見が、周りの人に威圧感を与えにくく、
社会の人々に受け入れてもらいやすいという点でも盲導犬に向いています。

 

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3)生涯

盲導犬は、せいぜい15年の短い一生に飼い主が最低5回も代わります。 繁殖家庭で生まれ、生後2ヶ月から1歳になるまでパピーウォーカー家庭(団体に登録したボランティア家庭で育ち、次は訓練を受ける盲導犬育成団体(犬の所有者)、4番目は盲導犬の使用者(いわゆるユーザー)、最後は現役引退後の引き取り先です。

盲導犬は10歳前後で盲導犬ユーザーと別れて引退します。10歳といっても人間でいえば60歳くらいでまだまだ元気な年齢です。少し早めに引退して、引退犬飼育ボランティアの家で家族の一員として新しい生活を楽しんだり、引退犬のための部屋が整えられている施設で仲間たちとのんびり過ごしたりします。
もう外出する時にハーネスはつけません。小さい頃から、ずっと人と一緒に暮らしてきた盲導犬たちは、最期の時までみんなに愛されて過ごしていきます。

 

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4.まとめ

盲導犬としては、作中で訓練士の多和田が言うようにクイールは普通の盲導犬です。

本作は、この普通の盲導犬を淡々ともいえる描き方にも拘わらず静かで大きな感動を与えてくれます

人間にはとてもマネの出来そうもない盲導犬の一生でした。