ドラマ『MIU404』第8・9・10話 古くて新しい刑事バディドラマです!!

このドラマ『MIU404』(ミュウ ヨンマルヨン)は、2020年6月26日よりTBSテレビ系「金曜ドラマ」で放送されているテレビドラマです。

刑事もの、特別機動捜査隊、バディもの、とこのジャンルは語り尽くされてきました。本作で唯一目新しいのは、機捜車404がメロンパンの即売ワゴンであることです。こんなのは観たことがありません。

メロンパンワゴンの他、何らの目新しいものがなければ、脚本と演出とキャスティングに面白いことがなければいけません。死人が見えたり『BORDER』、文書フェチ『未解決の女 警視庁文書捜査官』だったり、もう大変です。
脚本と演出は、手慣れたヒットメーカーがあたり、あとはキャスティングですが、綾野剛星野源で当たったようです。特に綾野剛が出色の出来です。

目次

 

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1.制作

一話完結のオリジナルドラマで、脚本を担当するのは『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)、『アンナチュラル』(2018年)などを手掛け、数々の賞を受賞している野木亜紀子です。

プロデュースは『アンナチュラル』『中学聖日記』(2018年)、『わたし、定時で帰ります。』(2019年)など数々の話題作を手掛けている新井順子で、監督は『アンナチュラル』『中学聖日記』、そして昨年大きな話題を集めた『グランメゾン東京』(2019年)を担当した塚原あゆ子が務めています。

野木、新井、塚原は『アンナチュラル』以来の再タッグとなります。


2.概要

タイトル『MIU404』の“MIU”とはMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字であり、“404”は綾野剛星野源が演じる機動捜査隊員の二人を指すコールサインです。


警視庁には現在3つの機動捜査隊が存在しますが、本作は、警視庁の働き方改革の一環で作られたという架空の設定の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」が舞台となっています。


綾野と星野の2人はその第4機捜に所属し、第1〜3機捜のヘルプだけでなく、捜査1課などの各部署のヘルプも行う。普段は覆面パトカーで地域をパトロールし、110番通報があれば事件現場に急行、迅速に初動捜査を行います。


勤務は24時間制で、次の当番勤務は4日後。初動捜査で事件が解決できない場合は専門の課に捜査を引き継ぎ、継続捜査は行いません。つまり、街中で勃発する各事案に対し、24時間でできうる限り対処するのが彼らの仕事です。


従って、キャッチコピーは「タイムリミットは24時間 誰よりも早く犯人にたどり着け」です。

 

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3.キャスト

1)伊吹藍(綾野剛

警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。階級は巡査部長。機動力と運動神経はピカイチ。俊足で、車両が横転するほどの衝撃を受けた直後でも全力疾走できる身体能力を持つが、志摩曰く「野性のバカ」。考える前に身体が動いてしまい、志摩とは正反対です。

これまで多くの部署を転々とした挙句、赴任前は奥多摩の交番に8年近く勤務していました。関わった警察関係者が皆「思い出したくない」「名前も聞きたくない」と言うほどの悪評の持ち主ですが、第4機捜では自然体で気負いなく人の懐に飛び込む天性の性分により、徐々に周囲の評価を得ていきます。

通常、機捜の隊員は私服姿ではあるものの、それにしても警察官とは思えない軽い性格と服装が特徴です。

志摩によれば「動体視力・聴覚・嗅覚に優れているが、思考力と語彙力がない」ため、すべてを「なんとなく」「勘」で済ませてしまいます。

茨城県出身。貧しい育ちでやさぐれて何度も補導されていた頃、当時刑事であった蒲郡滋生(小日向文世)に出会い、その誠実な対応に心を動かされて警察官を志します。

初の機捜勤務ながら「誰かが最悪の事態になる前に止められる超いい仕事」と感じ、天職だと思い始めています。


2)志摩一未(星野源

警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。階級は巡査部長。以前は捜査一課に籍を置いていた優秀な刑事でしたが、ある事情から異動。運転免許試験場を経て所轄にいたところを、4機捜設立時に桔梗に呼び戻されました。

桔梗からは「伊吹に適性が無いなら機捜から外し奥多摩に返す。その判断を志摩に一任する」と伝えられています。

桔梗・陣馬からの信頼は厚く、証拠や証言を地道に積み重ね、抜群の観察眼を持ち、社交力に長け、常に先回り思考で道理を見極めようとする理性派で、伊吹とはやはり正反対です。その観察力で、周囲から敬遠されがちな伊吹のことも冷静に見定めていきます。

異動となった事件を機に、他人はおろか自分自身すらも信用しなくなっています。
車をスピンターンさせたり衝突寸前でかわしたりするなど非常に高度な運転技量を持つが、そのために初代の404号車を配属初日で廃車にしました。

 

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3)桔梗ゆづる(麻生久美子

警視庁刑事部・第1機動捜査隊兼第4機動捜査隊・隊長。階級は警視。警視庁では数少ない女性幹部で、捜査一課から警察署長を経て、女性初の機動捜査隊長に就任しました。

機動捜査隊4部制の立案者で、立案した責任を取る形で1機捜と4機捜との兼任隊長となりました。刑事部長の我孫子豆治(生瀬勝久)にも食い下がり、4機捜の予算と人員を獲得するなど、かなりのやり手です。

陣馬とは旧知の仲で、捜査一課時代には志摩とも同じ班にいたことがあります。根性論や性差別観を嫌い、ずばずばと端的に物を言い、口は悪いが懐は広い管理職です。

飲食店経営者の夫を事故で亡くしていて、夫の死後に妊娠に気付き、息子のゆたかを単身で産み育てています。

 

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4)陣馬耕平(橋本じゅん

警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。階級は警部補。勤続35年の経験豊富なベテランで、桔梗の隊長任官時に1機捜に呼ばれ、4機捜設立時に異動して班長を務めています。志摩とは同僚だったことがあります。

キャリアやエリートは苦手だが、新人である九重の面倒を見るためにバディを組み、なにかと絡もうとしますが、当の九重からは軽く受け流されています。腕っぷしは強いが、近年は年齢を感じる場面も増えています。飲みニケーション、筋肉ハラスメントで若者からは嫌われがちです。

メンバーに通称「機捜うどん」を振る舞っていますが、その際、芝浦署の3階にある会議室の窓からうどんの湯切りをしたことで桔梗が総務から怒られ、4機捜の分駐所が芝浦署のすぐ裏にあるビルの1階に移される原因を作りました。

仕事熱心なあまり家庭内での存在感は薄かったが、九重のサポートを受けて失地回復を図ります。特技は顔面配備と3秒で眠ることができです。

 

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5)九重世人(岡田健史)

警視庁刑事部・第4機動捜査隊・隊員。階級は警部補。警察庁採用のキャリア組の新米です。それ故に現場経験には乏しく、研修のために4機捜に配属されました。父親の篤人が警察庁刑事局長ということで周囲から七光り扱いされることに反感を抱いていますが、親子仲は悪くはありません。

今どきの若者らしく、思ったことを遠慮なく口に出し、エリートコースを歩んできたため上から目線になりがちです。配属当初は堅物だったが、4機捜のメンバーと協働するうちに徐々に軟化していきます。

SNSやWEB検索を使いこなし、第4話ではTwitterのタイムラインの形式を指摘し、第5話ではFaceNote投稿の数字に隠されたメッセージを読み解きます。、第7話では陣馬の息子の鉄とFaceNoteで連絡を取り合うなど、新米ながら4機捜メンバーとして貢献しています。

リラックスしているときには方言(博多弁)が出ますが、第6話での伊吹との会話から福岡県出身であることが判明します。


6)蒲郡滋生(小日向文世

茨城県警の刑事。市営の外国人支援センターでバディシステムに登録し、外国人が孤立せずに生活していくための相談役をしています。

伊吹が第2話で志摩に話した「たった一人だけ信じてくれた人」であり、伊吹を警察官の道へと導いた張本人にして恩人。伊吹には親しみを込めて「ガマさん」と呼ばれています。

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第5話にて初登場し、伊吹に「お前は人を信じすぎる」と警告します。蒲郡は、伊吹が第4機捜に異動した頃、ひき逃げ事件で妻である麗子を失いました。同時に自身も頭部を打ち、外傷による高次脳機能障害により事故の記憶を失ったと周囲には思われていました。

だが実際は事故の記憶も犯人の顔も思い出しており、復讐心を抑えられずにひき逃げ犯を殺害します。その手口が、過去に蒲郡が担当した事件と特徴的な共通点があったため、志摩が容疑の目を向けます。

 

7)久住(菅田将暉

第3話・第5話〈回想シーンのみ〉・第7話にちょこっと登場します。「ドーナツEP」の売人。警察から追われる身になった成川を手駒にし、暗躍します。

大阪弁は、高槻市出身の為お手の物、人当たりが良くて軽そうで、しかし得体の知れない不気味さをのぞかせています。

 

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4.第8話

蒲郡滋は、単身で訪れた伊吹に自らの罪を認め、戸外に待機していた志摩と捜査一課員により、殺害及び死体遺棄の容疑で、伊吹の目の前で逮捕されました。

「俺はいつならガマさんを止められた?」と涙ながらに聞いた伊吹に、志摩を通じて「お前にできることは何もなかった」と伝言を託しました。

 

綾野剛星野源、そしてゲストの小日向文世。3者の演技は一寸の隙もなく、どのシーンもある種の緊張感が伴っていました。

中でも、声を荒げることも震わせることもなく、犯行に至った経緯を述べていく小日向文世の淡々とした語りと、それを外で聴いている星野源の表情。

そしてラストシーンのはぐれた子犬のように空を見上げる綾野剛と、「行くぞ、相棒」と声をかけらてからみるみる感情が高まっていくさまには、圧倒されるしかありませんでした。


最高の物語に、最高の演技で応えようという俳優たちの気概と、最高の演出で盛り上げようというスタッフたちの気合いが感じられる回でした。

 

そして、第9話からは、「ガマさんを止められなかった」という絶望の淵から這い上がっていく伊吹と志摩が描かれるようです。予告で流れた「間に合う(間に合わせたい)」という2人の言葉が、これまでより切実感をもって響きます。

伊吹にとって「愛する人」に近い存在である麦(黒川智花)は裏社会の人間に狙われており、彼女の「居場所が突き止められたかもしれない」という展開も気になってきます。


5.第9話

ラストで2人が追っていた犯人が逮捕された直後にドローンに爆弾攻撃を仕掛けられて死亡するといったショッキングな展開を見せ、ドラマは一気にヒートアップします。そんな中、ラスボスとして存在感を見せつけているのが菅田将暉演じる「久住」なのです。
「久住」は、顔は勿論、姿形すら見えてこない、まさに”Not found(第10話のサブタイトル)”そのもの。志摩(星野)が呟くように「メフィストフェレス」のように甘い言葉で人間の心につけ入り、魂を奪ってしまう悪魔なのです。
彼と繋がった人間は、利用価値がなくなればバッサリと切り捨ててしまう本人曰く「クズを見捨てるクズミ」なのです。


6.第10話

久住はラストで、みずからの存在を追い詰める伊吹と志摩を欺き、「ドーナツEP」(違法ドラッグ)の製造工場を撤収するために都内12箇所に爆弾テロのドローンを飛ばすという壮大なフェイクニュースを仕掛ける様は、メフィストフェレスどころか人間業ではない魔王のごとき存在感すら醸し出していました。

 

 

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綾野剛      米津玄師      星野源

7.まとめ

会話の流れやテンポに、言葉のチョイス。愛すべきキャラクター、愛したくなるキャラクターの人間味・人間臭さ。重厚と軽妙のバランス。点と点が繋がる驚きと気持よさ、仕込みの回収。

そんな中で、社会へのメッセージや、深いところで人間の心を揺さぶり生まれる共感や感動が伝えられてきます。

これまで刑事ドラマが描いてきた普遍性のあるテーマを、現代にアップデートしつつ描いているのが『MIU404』という作品なのでしょう。さまざまな魅力に溢れエンタメの可能性を気づかせてくれるのが野木氏の作品です。

エンディングの米津玄師「感電」もヤバイのです!