映画『捜索者』これこそ西部劇の最高傑作です!!

この映画『捜索者(The Searchers)』は、ジョン・フォード監督の西部劇映画で、1956年制作・公開のアメリカ映画です。ジョン・ウェイン主演で、ジェフリー・ハンター 、ナタリー・ウッドが出演しています。

目次

 

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1.紹介

本作には、それまでジョン・フォードが描いてきた西部劇の要素がたっぷりと盛り込まれています。
「流れ者のガンマン」「インディアンによる白人女性の誘拐」「犯人を馬で追う追跡劇」「騎兵隊」「バッファロー」「砂漠」「雪」「カントリー音楽とダンス」「純情な恋の物語」「恋敵との喧嘩」と、まさに「西部劇の宝箱」です。


2.ストーリー

1)プロローグ

舞台は、1868年のテキサスです。南北戦争終結から3年、放浪の旅から戻ったイーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)を、兄アーロン(ウォルター・コイ)と妻マーサ(ドロシー・ジョーダン)、子供達ルーシー(ピッパ・スコット)、ベン(ロバーロ・ライデン)、デビー(ラナ・ウッド)、そして、チェロキー族の血が、1/8入っている混血児のマーティン・ポーリー(ジェフリー・ハンター)が迎えました。

イーサンは、先住民に怨念を持った彼は、自分が孤児として連れてきたマーティンの成長を見ても、喜ぶ気にはなれませんでした。

その後、アーロンは、イーサンがあの時、出て行った理由などを尋ねますが、彼は多くを語りませんでした。


2)追跡隊

翌日、牧師兼”テキサス・レンジャー”隊長のサミュエル・ジョンストン・クレイトン大尉(ウォード・ボンド)が訪れます。

クレイトンは、牛を盗まれた隣人のラース・ジョーゲンセン(ジョン・クォーレン)と息子ブラッド(ハリー・ケリーJr.)、更にモーズ・ハーパー(ハンク・ウォーデン)、そしてチャーリー・マッコーリー(ケン・カーティス)らを伴い、先住民の動きを警戒して追跡するために、アーロンとマーティンを迎えに来たのでした。

イーサンに気づいたクレイトンは、彼がアーロンの代わりにレンジャーに加わることを許可しました。

ブラッドとアーロンの娘ルーシーは恋仲で、それを弟や妹に冷やかされます。

クレイトンは、アーロンの妻マーサの、イーサンに対する態度を気にしながら、一行と共に出発します。

イーサンは、自分に気兼ねするマーティンに厳しく接し、毛嫌いしてるような態度を取りました。


3)罠

その後、一行は、殺された牛の死体を見つけ、自分達が誘い出されたことに気づき、即刻引き返すことにしました。

ジョーゲンセンは一刻も早く家に戻ろうとするが、イーサンは、アーロンやマーサの危険を察知しながらも、馬を休ませてから戻ろうとします。それを理解しないマーティンは、60キロ先の家に向かい馬を走らせます。

その頃、アーロンの家はコマンチに焼き討ちされ、彼らは虐殺されて、ルーシーとデビーはさらわれてしまいました。

馬を失ったマーティンを無視して、イーサンは、モーズ・ハーパーと共にアーロンの家に向かいます。

家に戻ったイーサンは、マーサの無残な遺体を見つけ、愕然として、後を追って到着したマーティンを殴り倒し、彼女の遺体を見せないようにしました。


4)捜索隊

ルーシーとデビーが連れ去られたことを知ったイーサンは、家族の葬儀も早々に切り上げ、二人の捜索に向かおうとします。

イーサンは、クレイトン、マーティン、ブラッドとチャーリー、そしてモーズ・ハーパーらを引き連れて出発しました。

途中、先住民の遺体を見つけた一行は、警戒しながら、クレイトンの支持で先に進みます。

一行は、酋長スカー(ヘンリー・ブランドン)率いるコマンチと遭遇し、襲われて川に逃げ込みました。

 

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川の対岸で、コマンチを迎え撃つイーサンらでしたが、イーサンは、敵に逃げる時間を与えるクレイトンのやり方に怒りをぶつけます。

クレイトンは負傷者を連れ帰ることになり、イーサンとマーティン、そして、ルーシーと恋仲だったブラッドの三人が捜索を続けることになりました。

その後イーサンは、コマンチが二手に分かれたことを知り、独りで山の谷間に向かい、ルーシーの死体を見つけて埋葬し、マーティンとブラッドの元に戻りました。

それを二人には言わずにいたイーサンは、その夜の偵察で、コマンチのキャンプにルーシーがいたと言うブラッドに、谷間の件を話します。それを聞いたブラッドは取り乱し、コマンチのキャンプに突入して殺されました。


5)帰郷

数年が経ち、一旦、引き返したたイーサンとマーティンは、ジョーゲンセンの家に立ち寄りました。

ジョーゲンセンの娘ローリー(ヴェラ・マイルズ)は、慕っていたマーティンの帰りを喜びます。

イーサンは、ジョーゲンセンに捜索の詳細を語り、彼の妻(オリーヴ・ケリー)は、手は尽くしたとイーサンの労を労いました。

ジョーゲンセンは、デビーについての情報提供者からの手紙をイーサンに見せ、夫人は、同封されていた布生地が彼女のものだと確認します。

デビーと血縁がないことで、捜索に同行する必要はないとイーサンに言われたマーティンは、翌日、自分を置いて彼が旅立ったことをローリーに知らされます。

身内を殺され、コマンチに異常な憎しみを抱くイーサンが、既にコマンチに同化しているであろうデビーを、殺しかねないとマーティンは考えました。

ローリーに出かけることを告げたマーティンは、情報提供者で、交易商のジェレム・ファターマン(ピーター・ママコス)からの手紙を見せられました。

 

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6)再開した捜索

マーティンは引き止めるローリーに別れを告げ、イーサンを追い、やがて合流します。

イーサンとマーティンは、デビーが、スカーと北方に向かったことをファターマンから聞き、その後を追いましたが、夜営中にそのファターマンらに襲われますが、彼らを返り討ちにし撃ち殺いました。

時は流れ、チャーリーが、マーティンからの手紙をジョーゲンセンの家に届けました。

それによると、行商人に成りすまして、コマンチの交易所を回っていたイーサンとマーティンは、品物の取引で、コマンチの娘ルック(ビューラ・アーチュレッタ)を譲り受けてしまったということでした。

ローリーはその手紙で、マーティンがコマンチの部族の女を妻にしたことを知り激怒します。

マーティンは、付きまとうルックに嫌気が刺しますが、彼女は、スカーの名前を聞いた途端に顔色を変えるのでした。

翌朝、ルックは矢印を残して姿を消しますが、その後の積雪で、目印が分からなくなってしまいました。

騎兵隊の襲撃に遭ったコマンチのキャンプで、殺されていたルックを発見したイーサンとマーティンは、デビーとスカーが、騎兵隊に囚われている可能性も考えました。

二人は、騎兵隊の砦にそれを確かめに行きますが、デビーとスカーの姿はそこにはありませんでした。

イーサンは、コマンチに同化してしまった白人の娘達を見て、再び憎しみが増すのでした。

ローリーは、そんな経過を知らせるマーティンからの手紙を読んで、彼への恋も薄れて、チャーリーに心を寄せてしまいます。

 

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7)デビー発見

その後、イーサンとマーティンはメキシコに向かい、ある酒場でモーズ・ハーパーに出くわします。

デビーを知っているという、エミリオ・フェルナンデス・フィギュロア(アントニオ・モレノ)を、モーズはイーサンに紹介します。

 

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そして、イーサンとマーティンはエミリオの案内により、ついにシカトリス(スカー)と対面することになりました。

テントに招かれたイーサンらは、スカーの傍らに、成長したデビー(ナタリー・ウッド)がいるのに気づきます。

イーサンは行商人を装い、川岸で待つことをスカーに伝えるが、彼が全てを理解していることを察し、危険を感じたエミリオは、イーサンに報酬を返し、その場を立ち去りました。

そこにデビーが現れ、”自分はコマンチ、帰って”と二人に警告します。マーティンはデビーに話しかけ、自分達を覚えていることを確認するのですが、イーサンは、既にコマンチに同化した様子の彼女に銃口を向けるのでした。

 

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デビーを守ろうとするマーティンでしたが、コマンチの襲撃に遭い、イーサンは毒矢を受けてしまいます。

イーサンとマーティンは、何とかスカーの襲撃を逃れるが、毒が回り始めていたイーサンは、マーティンに遺書を渡しました。

それを読んだマーティンは、身内のデビーを無視して、自分に全財産を遺すというイーサンの考えに激怒するのでした。


8)討伐

イーサンは一命を取り留め、ジョーゲンセンの家に戻るものの、今しもチャーリイとローリーの結婚式が始まろうとしていました。

マーティンはローリーに謝罪し、二人が抱き合っている所にチャーリーが現れ、相手が彼だとわかったマーティンは憤慨します。

二人は、”クインズベリー・ルール”の下に殴り合いの喧嘩になり、結局は、チャーリーがローリーを諦めるのでした。

クレイトンは、イーサンのファターマン殺害容疑を大目に見るが、そこに、騎兵隊のグリーヒル中尉(パトリック・ウェイン)が現れ、イーサンにコマンチ討伐隊への参加を要請します。

その場に連れて来られた、モーズ・ハーパーの知らせでスカーの情報が入り、クレイトン率いるレンジャーも出動することになりました。マーティンはローリーの制止を再び振り切り、レンジャーに加わってしまいます。


9)デビー救出

コマンチのキャンプに皆の反対を押し切ったマーティンが侵入し、イーサンやクレイトンらが後に続きます。

マーティンはデビーを救い出し、それに気づいたスカーを射殺しました。レンジャーはキャンプに突撃し、イーサンは、スカーの頭の皮を剥ぎました。

そして、デビーを見つけたイーサンは、マーティンを蹴散らして彼女を追い、デビーを捕らえたイーサンは、彼女を抱き抱え”家に帰ろう”と語りかけるのでした。

 

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その後、キャンプの襲撃を終えて負傷したクレイトンを、到着した騎兵隊のグリーヒル大佐(クリフ・ライオンズ)が気遣いました。


10)エピローグ

ジョーゲンセンの家にたどり着いたイーサンは、デビーを夫妻に預け、揺り椅子を譲り受けたモーズ・ハーパーが、それを見守るのでした。

ローリーは、ようやく旅を終えたマーティンを迎え、二人は寄り添って家に入りました。そして、全てが終わったイーサンは、安堵の表情を浮かべながら再び旅に出るのでした。

 

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3.四方山話

1)再評価

本作はは1956年に大型西部劇として鳴り物入りで公開されたものの、評価も興行成績もパッとせず、どちらかというと不評で、『駅馬車』や『アパッチ砦』『黄色いリボン』といったフォード西部劇の傑作と比べるとほとんど注目されませんでした。

それが1960年代にジャン・リュック・ゴダールなどフランス・ヌーベルバーグの映画作家たちによって再発見され、マーティン・スコセッシスティーブン・スピルバーグジョージ・ルーカスジョン・ミリアスといったアメリカの新世代の監督たちに熱烈に支持されました。『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』といった作品にも歴然とした影響が認められますが、『捜索者』を現代に蘇らせたのはなんといってもスコセッシの『タクシードライバー』でした。

現在ではフォード監督の西部劇『駅馬車』『荒野の決闘』を凌ぐ代表作であるのみならず、西部劇映画を代表する傑作として高く評価されています。1989年に創立されたアメリカ国立フィルム登録簿に登録された最初の映画中の1本に入り、2008年にアメリカ映画協会によって「最も偉大な西部劇映画第1位」に選出されました。


2)悲劇の西部劇

西部劇の巨匠といわれるジョン・フォードですが、彼の作品はけっして西部劇ばかりではなく、『怒りの葡萄』(1940年)、『わが谷は緑なりき』(1941年)、『静かなる男』(1952年)などアカデミー賞監督賞を受賞した傑作の数々はどれも西部劇ではありません。逆に言うと、彼の場合、西部劇については娯楽作品に徹することにしていたともいえるかもしれません。それだけに、本作の異色さは際立っています。彼自身、この映画について「これはひとりの孤独な人間の悲劇だ」と語っているように、この作品は彼としては非常に珍しい「悲劇の西部劇」なのです。


3)撮影

a)演出

わずか数週間で撮り終えたという、職人技の手本とも言えるジョン・フォードの演出は冴え渡り、乗りに乗っている感じを受けます。
部屋の天井や扉の高さをわざと低くし、腰の位置からやや見上げるショットは、大柄なウォード・ボンドさえも圧倒し、威風堂々とした巨体のウェインを、更に際立たせる見事なカメラワークと演出です。

 

b)モニュメント・バレー

ユタ州に接しアリゾナ州北東部に位置するモニュメント・バレーは、アメリカ先住民のナバホ族が住む土地で、多くの先住民たちが白人たちによって不毛の土地に追いやられたように彼らの住む土地もまた生きてゆくには厳しすぎる土地でした。

1930年にアメリカ全土を襲った大恐慌は彼らの土地を訪れていた観光客の数を激減させてしまい、彼らの生活を危機に追いやります。その土地で唯一の交易所を経営していたハリー・グールディングもまた食べて行けなくなり、困っていました。彼はこの土地の美しさに魅せられて住み着いたよそ者の白人青年でした。自分だけでなくナバホの人々も生活に苦しんでいる様子を目にした彼は、なんとかその苦境を脱する方法はないかと考えていた時に、ハリウッドの撮影隊が西部劇の撮影場所を探しているという話を彼は聞いたのです。

さっそく彼はモニュメント・バレーの写真を手に単身ハリウッドへと旅立ち、そこで彼はジョン・フォードと会うことができました。さっそく自分たちの土地の写真を見せて撮影に使って欲しいと依頼しました。そのおかげで、ジョン・フォードの歴史的名作『駅馬車』はモニュメント・バレーで撮影されることになり、一躍その土地は西部劇の聖地となったのでした。本作でも、地元のナバホ族は映画の登場人物であるコマンチ族に扮し役者としても活躍しています。世界で唯一の景観を得たことは西部劇という映画ジャンルにおけるイメージをも決定づけることになりました。

 

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4)師弟関係

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ジョン・フォードは故国であるアイルランドへのこだわりが強く、作品としても『わが谷は緑なりき』(1941年)他、数作品でアイルランドを描いています。当然、彼はアイルランド人の俳優を好んで使う傾向があり、酒が大好きで喧嘩っ早いアイルランド人気質を演じるのにぴったりなジョン・ウェインはまさに彼が求めていた人材でした。
この、親分肌のジョン・フォードと不器用な俳優ジョン・ウェインの関係は、実に、黒澤明三船敏郎の関係そのものの様に思わせます。

 

5)追悼番組

ジョン・ウェインが1979年6月に死去した直後の淀川長治の「日曜洋画劇場」でウェイン追悼の映画として本作が放送された時には、イーサンが去って行くこのラストカットで「さようならジョン・ウェイン」の字幕を黒くなった両端に入れて彼を偲んでいました。
追悼番組として『駅馬車』や『黄色いリボン』でなく本作の『捜索者』を選んだことはこの当時すでにこの映画の評価が高まっていたことになります。

 

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4.まとめ

 本作の公開当時の不評は、たぶんこの映画には西部劇の定番的存在であるべきヒーローがいないからかもしれません。

いつもならヒーローであるはずのジョン・ウェインは、助けようとしていた姪のデビーを殺そうとし、インディアンの食料を奪うためとバッファローを無差別に殺し、インディアンとの混血のマーチンを嫌い、追跡隊の仲間を足手まといだと追い返してしまい、最後にはデビーを救出するものの、一人寂しく家族のもとを去ってゆきます。

帰るべき場所のない彼の背中は西部劇の黄金時代がすでに終っていることを告げているようにも見えます。

 

 

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