映画『ライムライト』チャップリン至極の名作です!!

 
この映画『ライムライト(Limelight)』は、チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本・音楽・主演の1952年のアメリカ合衆国のコメディドラマ映画です。
チャップリン長編映画で初めて素顔を出した作品で、同時にアメリカでの最後の作品となりました。

目次

 

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1.紹介

1977年1月3日の『月曜ロードショー』での本作放映時、終了と共に登場した荻昌弘氏が、目に涙をためて、”何も言うことはありません・・・”と一言伝えて、番組を締めくくりました。

完ぺき主義者の彼の芸は、正に芸術的で、体全体、指先まで、自分の全てを注ぎ込んでいることが伝わってくる見事さに、引き込まれてしまいます。今見ても、全く古さを感じない、オリジナリティー溢れる芸の数々に圧倒されるのです。

彼のパフォーマンスは、人類の遺産とも言え、不世出の才能とはこういうものかと実感してまいます。


2.ストーリー

1)プロローグ

舞台は1914年のロンドンです。午後遅く、落ち目の喜劇俳優カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)が酒に酔ってアパートに帰って来ました。ガスの臭いに気付いた彼は、自殺しようとしていた女性テレーザ・アンブローズ、愛称テリー(クレア・ブルーム)を助け出します。
カルヴェロは、呼んだ医者(ウィーラー・ドライデン)と共に3階の自室へテリーを運びました。

 

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留守にしていた大家のオルソップ夫人(マージョリー・ベネット)は騒動を知り、テリーをアパートから追い出そうとします。カルヴェロは自分の部屋で面倒をみると言い、献身的な看護を始めました。
目を覚ましたテリーはバレリーナとして働いていましたが、リューマチで5ヶ月もの間入院していたそうです。「何もかも虚しいのよ」と涙を流す彼女を、カルヴェロは優しく励まします。


2)失意のテリー

テリーは脚が麻痺していると泣き始め、もう踊れないと嘆く彼女に、カルヴェロは身の上話を始めます。昔は喜劇の名優と謳われた彼でしたが、加齢と共に酒を飲まないと怖くて舞台に立てなくなり、それが原因で心臓を病んでいました。
そこへエージェントからの電報が舞い込みます。カルヴェロは、久しぶりの仕事に張り切りました。エージェントを訪ねた彼はミドルセックスの仕事を紹介されます。待遇を気にするカルヴェロに、エージェントは、過去の栄光は忘れ現実を見るよう諭します。プライドを傷つけられたカルヴェロがアパートへ帰ると、ちょうどテリーの往診に来た医者が帰るところでした。医者はテリーの症状をリューマチではなく精神的なものだと言いました。


3)テリーの身の上

帰宅したカルヴェロに、今度はテリーが身の上話を語りました。南米で消息を絶った姉のこと。そして同情にも近い恋を経験したこと。以前文具店で働いていたテリーは、時折来店する貧しいネヴィル(シドニーチャップリン)という名のアメリカ人青年に惹かれていました。いつも楽譜用紙を買っていく彼に、テリーはおつりや用紙をこっそり多く渡していました。しかし雇用主に気付かれテリーは解雇されてしまいました。

 

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5ヶ月後、リューマチで入院していたテリーが病院を出ると、ネヴィルは作曲家として成功していました。話を聞いたカルヴェロは「会う時がくる」と予言のように語ります。テリーとネヴィルの美しい未来を想像するカルヴェロ。彼はリハビリにも手を貸し、テリーは少しずつ歩けるようになりました。


4)挫折と復活

9月5日、名前を変えたカルヴェロはミドルセックスの舞台に挑みました。しかし散々な結果に終わり、劇場から契約を打ち切られてしまいます。大きなショックを受け帰宅したカルヴェロは、「私は終わりだ。もうダメだ」と机に突っ伏して泣き出します。テリーは「あなたは偉大な芸人よ」と必死に励ましました。すると脚に力が入り、テリーは歩けるようになりました。

 

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5)絶賛と酷評

再びバレエの舞台に立ったテリー。バレエ監督ボダリンク(ノーマン・ロイド)が道化役にカルヴェロを考えていると知った彼女は2人を引き合わせます。ボダリンクと劇場支配人ポスタント(ナイジェル・ブルース)の前で踊ることになったテリーは、偶然ネヴィルと再会します。ネヴィルはテリーを覚えていました。テリーの踊りにポスタント達は満足し、次のプリマは君だと笑顔で告げました。
1人照明さえ消された場所に取り残されたカルヴェロは、暗がりで1人涙を流し続けました。探しにやって来たテリーはカルヴェロに結婚を申し込みますが、カルヴェロは本気にしませんでした。

そして舞台当日、テリーは素晴らしい踊りを披露し絶賛されます。カルヴェロは打ち上げには参加せずすぐに帰宅しました。テリーが追いかけようとすると、ネヴィルが馬車で送ると言い出します。アパートの前でテリーに愛を告白するネヴィルでしたが、テリーの心はカルヴェロを求めていました。2人の会話を聞き、更に劇場側が道化役を酷評していると知ったカルヴェロは、ついに置き手紙を残し行方をくらませてしまいます。


6)再会と喝采

辻音楽師として食い扶持を稼いでいたカルヴェロは、ある日テリーと再会します。テリーはカルヴェロの健在を示すための記念公演を開催しようというボダリンクの提案を伝えました。はじめは断ったカルヴェロでしたが、結局は承諾します。
カルヴェロ記念公演当日、テリーは客席にサクラを用意し笑うタイミング等の打ち合わせを行いました。何も知らないカルヴェロはパートナーである友人(バスター・キートン)と一緒に支度を進めます。出番直前、酒を飲んで恐怖を忘れようとするカルヴェロ。テリーは彼の体を心配します。舞台に立ったカルヴェロはまずノミの曲芸師を演じ、次にパートナーと共に楽器を使った喜劇を披露しました。ヴァイオリンを奏でるカルヴェロは舞台下に用意されていたドラムに落下し、観客から笑いと拍手喝采を受けました。


7)エピローグ

袖に下がったカルヴェロは落ちた拍子に背骨を痛めたと苦しみます。小道具部屋に運ばれ寝椅子で横になったカルヴェロ。医者は背骨ではなく心臓が危ないと診断します。出番がやってきたテリーは後ろ髪を引かれる思いで舞台に立ちました。死を悟ったカルヴェロはテリーの踊りを見たいと望み、皆が協力して寝椅子ごと舞台袖まで運びます。鮮やかなライムライトの脚光を浴びて踊るテリーの姿を見ながら、カルヴェロは息を引取るのでした。

 

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3.四方山話

1)「エターナリー」とバレー

チャップリンは、ニューヨーク・シティ・バレエ団で、スターとして活躍していたアンドレ・エグレフスキーとメリッサ・ヘイドンにメインテーマ「エターナリー」がバレエに合うか相談しました。
すると、彼らは曲に魅了されすっかり惚れ込んでしまい、映画の劇中で踊られるバレエの振り付けから出演するまでにも至ったのです。いかに、「エターナリー」が「ライムライト」にふさわしく素晴らしい名曲であるかがよくわかるエピソードです。


2)バスター・キートン

ライバルのバスター・キートンとも本作で初めて共演しています。これは、当時、キートンが経済的に困窮していることを伝え聞いたチャップリンが、何らかの助けになればと起用したと言われています。
なお、「チャップリンキートンの出演場面を大幅にカットした」との話がありますが、それはまったく事実ではなく、キートンに注目をさせたかった彼の伝記作家が冗談で語ったことだそうです。

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冒頭のチャップリンのダボダボズボンのコントは秀逸です。62歳とは思えません。


3)追放と再評価

1940年代に私生活のスキャンダルと共産主義的傾向の疑いで非難され、人気は急速に低下しました。1952年に『ライムライト』のプレミア上映のためロンドンへ渡航中、アメリカへの再入国許可を取り消され、それ以後は亡くなるまでスイスに定住しました。
公開から20年後の1972年に、第44回アカデミー賞で「今世紀が生んだ芸術である映画の製作における計り知れない功績」により名誉賞を受賞しました。


4.まとめ

1973年にリバイバル上映された際のキャッチコピーは、
「美しきバレリーナに よせる心を秘めて 舞台に散った道化の恋… 名優の至芸と 愛の名曲でうたい上げる 感動のチャップリン・シンフォニー」
と言い得て妙でした。