映画『怒りのガンマン/銀山の大虐殺』いかにもマカロニ・ウエスタンな西部劇です?!

この映画『怒りのガンマン/銀山の大虐殺(Il grande duello)』は、監督ジャン・カルロ・サンティ、リー・バン・クリーフ主演のマカロニ・ウエスタンで、
1972年製作のイタリア・西ドイツ・フランス合作映画です。

目次

 

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1.紹介

封切りされた’69~’72年は、いよいよマカロニも末期の時代。残念ながら、本作における一番の問題は、プロットの超御都合主義な展開です。

加えて、フィリップとクレイトンの主人制で、どちらかに焦点を絞るべきなのが、実際、主人公が2人居る弊害からか、脇役の扱いがかなり雑だと感じてしまいます。

三人三様の悪人兄弟、駅馬車の御者、末弟の花嫁候補などなど、魅力的ではあります。

 

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2.ストーリー

1)プロローグ

西部開拓時代。西部のとある寂れた町に1台の駅馬車が立ち寄りました。駅馬車の御者(ジェス・ハーン)はこの町には3000ドルの賞金がかかったお尋ね者が潜伏していると警告しましたが、駅馬車の乗客の1人である元保安官のクレイトン(リー・ヴァン・クリーフ)は駅馬車から降り、町の酒場に向かいました。

 

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2)狙われるお尋ね者

そこではお尋ね者本人である若い脱獄囚フィリップ(ピーター・オブライエン)が複数人の賞金稼ぎに追われていました。クレイトンは最初のうちは賞金稼ぎにちょっかいをかけるなど高みの見物を決め込んでいましたが、酒場で賞金稼ぎたちと銃撃戦を展開していたフィリップは弾切れを起こしてピンチに陥ってしまいました。

それに気付いたクレイトンはフィリップに「逮捕する」と声をかけたところ、酒場の外からは賞金稼ぎを束ねるホール(アントニオ・カサール)が投降するよう促してきました。そこで一計を案じたクレイトンは酒場中に銃声を轟かせ、あたかもフィリップが死んだかのように装って酒場から連れ出しました。

死体を引き渡すよう求めてきたホールに対し、クレイトンはあくまでも法の裁きにかけるをと言ってこれを拒否しました。起き上がったフィリップはホールからダイナマイトを奪って近くの建物を爆破、混乱の最中に馬に乗って逃亡しました。


3)お尋ね者と元保安官

駅馬車はクレイトンを乗せて出発しましたが、道中で馬を失ったフィリップが助けを求めてきました。クレイトンを除く乗客たちはお尋ね者のフィリップに恐れおののきましたが、ただ一人女性客のエリザベス(ドミニク・ダレル)だけはフィリップに好意的な眼差しを浮かべました。エリザベスにはどうしてもフィリップが人を殺めるような人物に見えなかったのです。

 

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やがて駅馬車の一行は荒野のとある宿屋に泊まることにしました。宿屋の主人はフィリップがの賞金首であることに気付きましたが、それ以上彼を責めることはありませんでした。フィリップが殺したのはサクソンという大悪党であり、銀の鉱脈を独占するために善良な地元民たちを大量虐殺したのです。サクソンに殺された人々の中にはフィリップのを父も含まれていました。

フィリップはクレイトンが何かサクソンについての情報を握っているのではと睨み、彼をカードゲームに誘うと自分が勝ったら解放するよう要求しました。そしてフィリップはカードゲームに勝利したのですが、クレイトンはフィリップを解放しないどころか、サクソンの息子たちの元に連れて行くと言い出しました。

その夜、フィリップは乗客たちが寝静まった頃合いを見計らってクレイトンの拳銃を奪い、クレイトンに宿から出発するよう要求しましたが、クレイトンは要求を無視しました。腹を立てたフィリップはクレイトンに発砲しますが、クレイトンは何と銃弾を歯で受け止めてフィリップを驚かせました。フィリップは結局この宿屋で一夜を明かすことになりました。


4)サクソンシティへ

翌朝、クレイトンらの泊まる宿屋にホール率いる賞金稼ぎたちがやってきました。ホールらは駅馬車を爆破するとフィリップの身柄引き渡しを要求、既に保安官を辞めた身のクレイトンにはフィリップを逮捕する権限はないと主張しました。

クレイトンは投降を決意したフィリップに自分はサクソン殺しの真犯人を知っていること、それを裁判で証言しなかったのは裁判自体が茶番だったからだと打ち明けました。

ホールらに捕らえられたフィリップは滝壺に連れて行かれ、そこでフィリップの父が見つけた銀の鉱脈の在処を吐くよう迫られました。ホールたちの狙いは実はフィリップの賞金ではなく銀の鉱脈にあり、フィリップは拷問を受けながらも決して在処を吐こうとはしませんでした。そこにクレイトンが駆け付けてフィリップを救い出しましたが、フィリップはクレイトンに銃を向け、馬を奪うとその場から走り去りました。

フィリップが向かった先は、サクソンの3人の息子が牛耳る町、サクソンシティでした。サクソンの長男デヴィッド(ホルスト・フランク)、次男イーライ(マルク・マッツァ)、三男アダム(クラウス・グリュンベルク)は町を暴力で支配しており、特に凶暴で残忍なアダムはイーライが保安官であることをいいことに罪なき住民を殺すなど非道の限りを尽くしていました。町の人々はそんなサクソン兄弟に逆らえずにいました。

 

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サクソンシティに到着したフィリップはアダムの姿を見つけ、イーライの保安官事務所まで案内させました。そこではイーライがホールらを叱りつけていました。フィリップこそが父殺しの犯人と信じて疑わないイーライはホールらにフィリップから父殺しの証言を聞き出したうえで始末することを命じていましたが、ホールらが銀の鉱脈の方を優先したことに腹を立てたのです。

イーライらの話に割って入ったフィリップは無実を訴え、自分を犯人に仕立てた人物こそが真犯人だと主張しました。しかし、イーライはフィリップの証言を信用せず、フィリップはやむなく撤退することにしました。

サクソン兄弟の手下に追われたフィリップは町に住む友人に匿われ、その友人に銀の鉱脈の場所を教えました。友人は仲間たちとともかく鉱脈へ向かう準備を始めましたが、フィリップは同行することなく一人姿を消しました。


5)デヴィッドの野望

その後、クレイトンもサクソンシティに到着しました。イーライはかつて父の悪事を暴いて3度も法廷に立たせた因縁のあるクレイトンの姿を見て驚きました。クレイトンはイーライにサクソン殺しの真犯人を知っていると打ち明けましたが、イーライはクレイトンに24時間以内にこの町から出るよう要求しました。

イーライは手下にクレイトンを始末するよう命じますが、クレイトンはあっさりと手下たちを返り討ちにしました。そこに先日駅馬車に乗り合わせていたエリザベスが現れ、クレイトンが手下を殺したのは正当防衛だとイーライに主張しました。

実はエリザベスはワシントンの最高裁判事の娘であり、中央政界への進出を狙うデヴィッドの差し金でアダムと政略結婚することになっていました。そのことを知ったイーライはクレイトンを見逃すことにしました。しかし、エリザベスはアダムには何一つ愛情など抱いてはいませんでした。

その頃、デヴィッドはサクソンシティの人々が銀の鉱脈を目指して移動を開始したことを知り、アダムにその人々を抹殺するよう命じていました。その一方でデヴィッドはイーライからクレイトンの話についての報告を受けましたが、父殺しの真犯人を掴みたいイーライに対し、デヴィッドはそれよりも銀の鉱脈の権利を得ることに執着していました。


6)銀山の虐殺

一方、フィリップはクレイトンの元に出向き、サクソン殺しの真犯人を教えるよう迫りました。クレイトンはフィリップにメキシコへ逃げるよう促し、たまたま居合わせたホールがフィリップの父を殺した実行犯だと教えました。フィリップはホールに敵討ちの決闘を挑み、見事に勝利を収めました。

敗れたホールは今頃銀の鉱脈に向かった仲間たちは皆殺しにされているだろうと言い残して絶命し、急いで仲間たちの後を追ったフィリップはアダムが機関銃で仲間たちを虐殺している場面に遭遇しました。仲間たち全員を始末したアダムは口封じのために同行した手下をも殺し、フィリップはアダムを狙撃しようと試みましたが失敗に終わりました。

 

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7)明かされる真相

その頃、酒場で酒を飲んでいるクレイトンの元にデヴィッドが現れ、金をやるからフィリップを連れて町を出て行ってくれと持ちかけました。しかし、クレイトンはあくまでもフィリップの無実を証明することにこだわり、応じることはできないと返答しました。

その時、フィリップが虐殺された仲間たちの遺体を馬車に乗せて町に戻ってきました。フィリップは虐殺はサクソン兄弟の犯行だと訴え、アダムは密かにフィリップを狙撃しようと銃を構えました。エリザベスが何とか止めようと大声で叫んだためフィリップは間一髪で命拾いしましたが、頭に傷を負ってそのまま捕らえられてしまいました。デヴィッドはどさくさに紛れてクレイトンを殺そうとしましたが、クレイトンは攻撃をかわすとそのまま姿を消しました。

その後、デヴィッドは銀の鉱脈の権利を独占した祝いとして弟たちと酒を酌み交わしました。デヴィッドは銀山で得る利益を政界進出の資金とし、ゆくゆくはアメリカ全土を牛耳る野望を露にしました。イーライはそんな兄に幻滅すら覚えました。

翌朝。町の人々が見守るなかフィリップは絞首刑に処せられることになりました。その時、刑場にクレイトンが現れ、フィリップの無実を証言し始めました。クレイトンは判事が買収されていたことを告白すると、デヴィッドは真犯人が誰なのか知ってはいるが銀山の独占を優先するために黙っていることを明かしました。

そしてクレイトンは、自分こそがサクソンを殺した真犯人であり、サクソンは犯罪者なので“処刑”したことを語ると、デヴィッド兄弟は父親よりも遥かに残虐な虐殺行為を行ったことを非難しました。


8)雌雄を決する決闘

サクソン兄弟はクレイトンに決闘を申し入れ、クレイトンも受けて立つことしました。無罪放免となったフィリップはクレイトンに加勢を申し出ましたが、クレイトンはこれが自分の仕事だと断りました。

そしてクレイトンとサクソン兄弟は決闘場の馬囲いで対峙し、サクソン兄弟は虎視眈々とクレイトンを撃つタイミングを見計らっていましたが、突然クレイトンの後ろに待ち構えていたフィリップがクレイトンの帽子を撃ち落としました。これにタイミングをずらされたサクソン兄弟は次々とクレイトンの銃弾に倒れていき、クレイトンも肩を負傷しながら勝利を収めました。

 

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9)エピローグ

フィリップはクレイトンに保安官に戻るべきだと勧め、自らは銀山を捨ててメキシコで人生をやり直すことにしました。フィリップは互いに心を通わせ合ったエリザベスと共に旅立ち、クレイトンも一人馬に乗っていずこへと旅出っていきました。

 

 

3.四方山話

面白シーンの数々

①銃弾

至近距離で放たれた銃弾を歯で受け止めたように見えるクレイトンでしたが、弾頭を外して口に含んでいたのではないでしょうか?マカロニ・ウエスタンのギャグそのものです。

②アクロバット

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フィリップのアクロバティックな曲撃ちによる冒頭の大立ち回りは、往時のマカロニ・ウエスタンそのもの、拍手です。

MG42

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銀山に向かう住民達を機関銃で一掃するシーン。この機関銃"ヒトラーのノコギリ"と言われたMG42の様に見えますが、ガトリング砲ならともかく、時代錯誤でしょう。


4.まとめ

本作は、ただ銃を撃つだけでなく、人間同士のやり取りが、物語を面白くしていました。

そこで活躍するリー・ヴァン・クリーフのキャラクター的魅力は年を重ねていても充分に楽しめるものでした。

銃撃戦よりも登場人物の個性やそれを演じる俳優を見るのが楽しい作品でした。

 

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