映画『太陽の中の対決』ポール・ニューマンがハードボイルドな異色西部劇です?!

この映画『太陽の中の対決(HOMBRE)』は、1961年に発表された、エルモア・レナードの同名小説「Hombre」の映画化で、製作、監督マーティン・リット、主演ポール・ニューマンフレデリック・マーチ、リチャード・ブーン他共演による1967年の西部劇です。

目次

 

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1.紹介

アパッチに育てられた白人青年が白人の世界に戻るものの、先住民を食い物にする悪人が絡む事件に巻き込まれてしまうという、アメリカ社会の汚点ともいうべき問題を描いた異色の西部劇です。

この作品で、白人の金銭欲の犠牲になる、虐げられていた先住民の青年の生き様を通して、その問題を生々しく描いています。

うろたえる白人達を、滑稽なものでも見るような、軽蔑の眼差しで見つめる主人公の表情が印象的で、全ての行動にそつがなく、冷静沈着で野生味溢れて、内に秘める勇気も感じる主人公を、ポール・ニューマンは好演しています。


2.ストーリー

1)プロローグ

19世紀末のアリゾナで、白人でありながらアパッチに育てられたジョン・ラッセル(ポール・ニューマン)は、「オンブレ」(男らしい男)とも呼ばれていました。

 

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駅馬車の御者を引退したヘンリー・メンデス(マーティン・バルサム)は、ラッセルを駅馬車の停泊所に呼び寄せます。
メンデスは、ラッセルの養父が死亡し時計と家を彼に遺した事を伝え、そこに住むように勧めました。


2)下宿屋の女

メンデスも住むその家に向かったラッセルは、下宿屋となっている家を切り盛りするジェシー・ブラウン(ダイアン・シレント)と出会います。

ラッセルが家を売ることをジェシーに告げたため、彼女は買い取ることを考え、保安官フランク・ブラデン(キャメロン・ミッチェル)に求婚します。

ブラデンは、しがない保安官生活に飽き飽きしていたため、町を出て行きたい意向をジェシーに伝え、彼女の申し入れを断りました。


3)居住地の管理官夫婦

アレックス・フェイヴァー(フレデリック・マーチ)と妻オードラ(バーバラ・ラッシュ)は、駅馬車に乗るためにメンデスを訪ねるものの、駅場車は廃止となるため、それを断られますが、馬車を買い取るという条件で臨時に走らせることを検討させました。

ラッセル、下宿に住んでいたビリー・リー(ピーター・ラザー)と妻ドリス(マーガレット・ブライ)、フェイヴァー夫妻と、町を出ることに決めたジェシーのために、メンデスは駅馬車を走らせることを決めました。

駅馬車の待合所に現れたシセロ・グライムズ(リチャード・ブーン)は、満席と告げられると、先客から強引にキップを奪い同乗することにしました。

駅馬車は出発し、先住民居住地の管理官であるフェイヴァーは、ラッセルの生い立ちを知り、妻の希望を聞いて、彼を御者の横に移すようメンデスに要求し、ラッセルはそれを受け入れました。

 

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4)怪しい3人

中継所で、ある3人組の存在を知らされ、メンデスは用心のために迂回路を通ることにしました。

険しい山道を行く駅馬車は、休息のために廃鉱で停車しましたが、鉱山から山頂に向かった一行は、そこで待ち伏せていた無法者に出会います。

そこには、保安官から悪党に成り下がったブラデンの顔もあり、グライムズもその一味でした。

一味は乗客の荷物をあさり、先住民への政府からの食料費を横領し、私腹を肥やしていたフェイヴァーの正体を暴きました。

フェイヴァーの所持していた大金を手に入れたグライムズらは、彼の妻オードラを人質に取り、一行を置き去りにしようとします。

ラッセルは、隠していたライフルでブランデンらを撃ち殺し、現金を取り戻し、先に出発していたグライムズらが戻って来るところを待ち伏せしようとしました。

 

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5)フェイヴァーの反乱

一味のメキシコ人(フランク・シルヴェラ)に傷を負わせたラッセルは、フェイヴァーの金と彼の妻オードラとの交換要求に応じようとはしませんでした。

フェイヴァーは、ラッセルがいないのを見計らってメンデスの銃を奪い、現金と水を持って逃げようとします。

しかし、フェイヴァーは、戻ったラッセルに銃を向けられて、一人原野に追放されてしまいました。

廃鉱に戻った一行は小屋に身を潜めますが、そこに疲労困憊のフェイヴァーもたどり着きます。

ジェシーがフェイヴァーに水袋の場所を教えますが、後を追うようにグライムズらが現れました。

フェイヴァーをジェシーが小屋まで導き、ラッセルは一味との対決に備えます。


6)最後の対決

交渉に来たグライムズをラッセルは銃撃し、一味は炎天下でオードラを盾にして現金を要求します。

駅馬車の中で自分を侮辱したオードラを、助けようとしないラッセルにジェシーは助けるように迫りますが、彼はそれに応じません。

体力の限界に近いオードラを見て、ラッセルは誰かに現金を渡しに行かせようとします。一味の元に他の誰も行こうとしない中、一人向かおうとしたジェシーを制止し、ラッセル自ら現金を運ぼうとしました。

 

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ビリーに金を預け、先住民に渡すよう指示したラッセルは、空のバッグを持ち一味の元に向かいます。

オードラを解放したラッセルは、空のバッグを傷を負ったグライムズに渡しますが、すぐに金の入っていないことを確認した銃をラッセルに向けました。

ビリーは、ラッセルを背中から撃つよう指示されていましたが、オードラが邪魔になり彼を撃つことができません。

その瞬間、ラッセルはグライムズを射殺して、メキシコ人と相撃ちになりました。


7)エピローグ

死の間際のメキシコ人は、駆け付けたメンデスにラッセルの名前を聞いて、死にました。

ラッセルに駆け寄ったジェシーは、息絶えた彼の傍らにいつまでもたたずむのでした。

 

 

 

 


3.四方山話

1)マーティン・リット

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マーティン・リット監督は、大学在学中から演劇に携わり、舞台俳優として活躍して、エロン大学、セント・ジョーンズ大学で学びました。

大恐慌の際には公共事業促進局で働き、連邦劇場計画のために戯曲を執筆したり、演出家としても多くの作品を手がけるようになり、また、テレビ業界でも活躍するようになります。

しかし、1950年代はじめ、若い頃にアメリ共産党に関わっていた(党員ではなかった)ために赤狩りにあい、テレビ業界で働くことができなくなり、一時期舞台に戻ります。しばらくして赤狩りの影響力が弱まってきたため、1957年の『暴力波止場』で監督デビューしました。1963年の『ハッド』でアカデミー監督賞にノミネートされています。

ポール・ニューマンとは、『長く熱い夜』(1958年)、『ハッド』(1962年)、『暴行』(1964年)などでコンビを組んでいます。


2)リチャード・ブーン

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悪人グライムズを演じたリチャード・ブーンは、1950年代から戦争映画や歴史劇、西部劇で重厚な役を演じるバイプレーヤーとして知られています。

映画では、1960年にジョン・ウエインが製作・監督した西部劇「アラモ」でサム・ヒューストン将軍を演じ、また1976年にはウエイン最後の出演作であった「ラスト・シューティスト」で決闘相手の役を演じています。


3)ダイアン・シレン

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善人ジェシーを演じたダイアン・シレントは、オーストラリアの女優兼作家でした。彼女は、アカデミー賞にノミネートされた『トム・ジョーンズの華麗な冒険』(1963年)で最もよく知られています。彼女はまた、劇『タイガー・アット・ザ・ゲイツ』でのヘレネー・オブ・トロイとしてのパフォーマンスでトニー賞にノミネートされました。

1962年ショーン・コネリーと結婚し2子をもうけましたが1973年に離婚しています。


4.まとめ

冒頭のポール・ニューマンのアップに、青い目のアパッチ?と昔のB級西部劇を思わせましたが、早とちりでした。しかしながら、白人の悪行はあったにしても、本作のような展開はあるような気がしません。

しかしながら、先住民への迫害と悲哀を大筋に、駅馬車に乗り合わせた者たちの、それぞれの立場と思惑で物語が繰り広がり、まるで舞台劇を見ているような感覚になりました。