映画『許されざる者』クリント・イーストウッド最後の西部劇?!です??

この映画『許されざる者(Unforgiven)』は、1992年公開のアメリカ西部劇で、監督・主演はクリント・イーストウッド。脚本はデヴィッド・ウェッブ・ピープルズです。イーストウッドが、師と仰ぐドン・シーゲルセルジオ・レオーネに捧げた「最後の西部劇」といわれました。

目次

 

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1.紹介

クリント・イーストウッドが、自らが成功するきっかけとなった西部劇を、この時代まで作り続け、そして、それで評価されたことが非常に意義深く、彼の映画界への貢献度の高さと共に、作品は大絶賛されました。

第65回アカデミー賞では、作品賞をはじめ9部門でノミネートされ、イーストウッドは、主演賞は逃すものの、念願の作品、監督賞を受賞しました。他、ジーン・ハックマンが助演男優を、また編集賞も受賞しています。

2004年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもあり、アカデミー作品賞を受賞した西部劇『シマロン』(1931年)、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年)に続く3作品目の作品です。


2.ストーリー

1)プロローグ

1880年の、ワイオミング州、ビッグ・ウィスキーで、町の娼婦デライラ・フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)が、客に半殺しにされ顔を切り刻まれてしまいます。

保安官リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)は、鞭打ちの刑で済ませようとするのだが、娼館の主人スキニー・ダボイス(アンソニー・ジェイムス)は、商品を傷物にされたと言ってそれに納得しませんでした。

そこでダゲットは、2人組に、持ち馬をスキニーに届けることを条件として解放してしまいます。それでも納得いかない、娼婦仲間のストロベリー・アリス(フランシス・フィッシャー)は、娼婦達の所持金を集めて、人を雇い2人組に復讐しようとしました。

 

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2)マニーの決断

その昔、人殺しで酒浸りで、女子供も手にかける残忍な悪党だったウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)は、今では家族を持ち、家畜を飼い平穏な生活を送っていました。しかし、3年ほど前に妻に先立たれたマニーは、二人の幼い子供を抱え生活に困窮していました。

 

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ある日、マニーの元に、若い流れ者スコフィールド・キッド(ジェームス・ウールヴェット)が訪ねてきます。キッドは、娼婦デライラを袋叩きにした2人組を捕まえ、1000ドルの報奨金を手に入れようとマニーを誘いました。

亡くなった妻のお陰で、酒や悪事から足を洗っていたマニーは、キッドの話を一旦断りましたが、家畜と共に泥にまみれていたマニーは、惨めな生活から抜け出し、子供たちの将来のために、キッドの話に乗ることを決め、11年以上も手にしていなかった銃を取り出しました。

そして、マニーは妻の墓前に花を手向け、子供達を残してキッドを追うことになり、かつての相棒ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)を誘ったマニーは、キッドとの待ち合わせ場所に急ぎました。


3)報奨金に沸き立つ無法者

その後、2人組は、ダゲットを恐れて馬を連れスキニーに渡しますが、娼婦達は、彼らを許す気は全くありませんでした。

スキニーは、娼婦達が賞金稼ぎを雇おうとしていることを知り、それをダゲットに話します。ダゲットは、既に広範囲にそれが知られたことを察し、揉め事が起きることを予測するのでした。

伝説の殺し屋イングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)が、小説家のW・W・ボーシャン(ソウル・ルビネック)を伴い、拳銃の所持を禁ずる警告を無視して、ビッグ・ウィスキーの町に現れました。

 

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保安官の助手達は、警告に耳を貸さずアリスの元に向かおうとするイングリッシュ・ボブに銃を向けます。ダゲットも現れ、それまで息巻いていたイングリッシュ・ボブは、さすがに動揺し始めました。

そして、拳銃をダゲットに押収されたイングリッシュ・ボブは、彼に叩きのめされてしまいました。ダゲットはイングリッシュ・ボブを見せしめにして、娼婦の報奨金欲しさに、町に来ている無法者達を威嚇するのでした。


4)剝がされる化けの皮

キッドとの合流地点に近づいたマニーとネッドは、彼から発砲されてしまいますが、キッドの弾はあたりませんでした。

ネッドが同行することを嫌うキッドでしたが、マニーが手を引くと言い出したために、仕方なく3人で町に向かうことになりました。

 

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キッドの様子がおかしいため、ネッドが探りを入れ、彼が近視だということが分かりました。

イングリッシュ・ボブとボーシャンを拘留したダゲットは、ボーシャンの書いた小説”死の公爵”で、伝説的なガンマンに描かれているイングリッシュ・ボブの、真実の姿を語り始めます。

ボーシャンを牢屋から出し、自分の伝記を書かせることにしたダゲットは、彼に拳銃を渡して、自分を撃たせようとします。さらにダゲットは、その拳銃をイングリッシュ・ボブに渡すようボーシャンに指示し、イングリッシュ・ボブを挑発しました。

しかし、イングリッシュ・ボブは拳銃を受け取らず、ダゲットは、拳銃を手に取っていたら殺したと、再び彼に脅しをかけるのでした。

翌日、ダゲットはイングリッシュ・ボブを町から追い出し、娼婦達は、彼が町を去ったことで復讐を諦めようとします。


5)マニーの災難

町に着いたマニー達だったが、雨に打たれ寒さをしのぐための、ネッドからの酒も断っていたマニーは体調を崩してしまいます。

ダゲットは、拳銃を持ったよそ者が来ているという報せを受けて酒場に向かいました。キッドとネッドは娼婦の元に向かい、残されたマニーの前にダゲットと助手が現れます。

 

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ダゲットはマニーの銃を奪い、無抵抗な彼を容赦なく痛めつけ酒場から放り出しました。ネッドとキッドは、アリスらの助けで窓から逃亡し、それを知ったダゲットは女達を締め上げ彼らの魂胆を聞きだそうとします。

マニーを救ったネッドとキッドは、アリスから言われた町外れの小屋に向かい、病に倒れたマニーの傷を手当します。娼婦達に食料などを運んでもらい、ネッドとキッドはマニーの回復を待とうとしますが、彼は死の間際を体験し、それを恐れていることをネッドに伝えるのでした。

やがて、病の峠を越したマニーを、傷ついたデライラが献身的に介抱します。回復したマニーは、ネッドとキッドが2人組を仕留めに行ったことを知り、自分を気遣う、顔の傷も痛々しいデライラを労わりました。


6)ネッド捕る

その後マニーは、ネッドとキッドに谷で合流し、2人組を殺そうとしますが、スペンサー・ライフルの名手ネッドが、相手を殺すのをためらってしまいます。

マニーが一人の腹を撃ち抜くが、彼は撃った相手に情けをかけてしまいます。自分達が、昔とは違うことを痛感するマニーとネッドでしたが、何とかもう一人を殺そうとします。

しかし、ネッドは人を殺せなくなった自分に気づき、故郷に引き返してしまいます。

その頃、ダゲットは2人組の内の1人が殺されたという報告を受けました。ダゲットは、ネッドを捕らえて鞭打ちで拷問し、仲間のことを吐かせようとしました。


7)マニーの始末

もう1人の男を見つけたマニーとキッドは、その男を仕留めますが、キッドは、人を撃ったのは初めてだと告白します。娼婦から報奨金を受け取ったマニーは、金を3等分してネッドにも渡そうとします。

しかし、ネッドがダゲットに捕まり、拷問の末に殺され酒場の前で、さらし者になっていることと、自分の正体を知り笑いものにしたことをマニーは知らされました。

マニーは、ダゲットへの憎しみから、断っていた酒を口にして、金をキッドに渡し、子供達に届けるよう伝え、キッドから拳銃を受け取って町に向かいました。

 

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8)許されざる者

その頃、ダゲットはマニーとキッドを逮捕する準備のため気勢をあげていました。そこに、ショットガンを構えたマニーが現れます。

マニーは、ネッドをさらし者にしている酒場の主人でもあるスキニーを射殺し、ダゲットに銃を向けて、ネッドの仇を討とうとします。ダゲットを射殺しようとしたマニーでしたが、銃は不発に終わり、拳銃に持ち替えたマニーは、ダゲッと助手達を次々と銃撃し、怯えた者達を酒場から追い出しました。

ボーシャンを生かし、ネッドのスペンサー・ライフルを受け取ったマニーは彼も追い払って、瀕死のダゲットに止めの一撃を加えました。

 

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マニーは、酒場の外で待ち構える者達に脅しをかけ、ネッドの死体を埋葬し、娼婦達を人間らしく扱うようにと警告して町を去りました。

町の者達は怯え、娼婦達はマニーに感謝して、いつまでも彼を見つめていました。

その後マニーは、子供達の元に戻り妻の墓前にたたずむのでした。


9)エピローグ

数年後、マニーの妻の母親が家を訪ねますが、彼らは既にそこを引き払っていました。

マニーは、サンフランシスコで商売に成功したいうことでしたが、妻の母親は、なぜ娘が、酒浸りで人殺しの悪党と結婚したのか、ついに分かりませんでした。

 

 

 

 

 


3.四方山話

1)最後の西部劇

イーストウッドは『許されざる者』の制作について、次のように語っています。

「…わたしはただ、ぜひともこの物語を伝えたいと思っただけだ。ウエスタンという神話に、わたしなりの落とし前をつけるためにね。最後のウエスタンをつくるとしたら、これほどうってつけの作品はないだろう…」

とはいうのの、本年9月に公開予定の『クライ・マッチョ(原題)』は西部劇で、あろうことか監督と主演と制作をクリント・イーストウッドが務めています。

2)最後の兼任

イーストウッドはこの映画の脚本を制作の10年以上前から既に買い取っていましたが、期間を置いたのは自身が主人公のマニーと同じ年齢になるのを待っていたためでした。

映画化の権利は元々はフランシス・フォード・コッポラが持っていて土台となる脚本もコッポラとデヴィッド・ピープルズが書いたものでした。

マディソン郡の橋』や『ミリオンダラー・ベイビー』などの他、イーストウッドは現在も出演と制作を頻繁に兼任していますが、当時は「出演と制作の兼任はこれが最後である」と公言していました。


3)制作期間

本作の仮題は『The William Munny Killings』で、制作期間は僅か39日、物語の舞台となった「ビッグ・ウィスキー」という街のセットも32日という短期間で用意されました。

これで、アカデミー賞を4本とってしまいました。


4.まとめ

本作公開時でも62歳、90歳を超えた今までも、制作の量も質も落ちず、老いてますます盛んなイーストウッドです。この人は、どこまで行くのでょうか。