映画『地獄への逆襲』ジェシー・ジェームズの没後の兄フランクのお話です!!

この映画『地獄への逆襲(The Return of Frank James)』は、1940年に製作・公開されたアメリカ合衆国の映画で、前年の『地獄への道』の続篇として製作され、前作のヘンリー・キングに代わってフリッツ・ラングが監督、ヘンリー・フォンダが引き続き出演しました。

目次

 

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1.紹介

新聞社社主ヘンリー・ハル、主人公の仇役であるボブ・フォードのジョン・キャラダイン、鉄道会社に雇われる探偵のJ・エドワード・ブロムバーグ、鉄道会社社長のドナルド・ミーク、使用人ピンキーのーネスト・ホイットマンと、前作のキャストを踏襲し、新たに子役時代が懐かしいジャッキー・クーパーが重要な役割で登場しています。

軽快で切れのいいフリッツ・ラングの演出、無法者ではあるが、正義感や誠実さが感じられる主人公を演ずるヘンリー・フォンダの好演、また、ヒロインを演ずる、本作がデビュー作となる撮影当時19歳のジーン・ティアニーの輝くような美しさなど、西部劇の醍醐味も満載の快作に仕上がっています。


2.ストーリー

1)プロローグ

ジェシー・ジェームズの兄フランク(ヘンリー・フォンダ)は、ジェシーがフォード兄弟の裏切で殺された後、”ベン・ウッドソン”と名前を変えて身を隠し、農夫として暮らしていました。

フランクは、”フランク・ジェイムズ”は死んだと、使用人のピンキー(アーネスト・ホイットマン)に言い聞かせますが、なかなか覚えてくれません。

そこに、子供時代から面倒を見ている少年クレム(ジャッキー・クーパー)が戻り、ジェシーがボブとチャーリーに背後から撃たれて殺されたことを知らされました。

しかしながら、フランクは、復讐は考えず、フォード兄弟は法が裁くとクレムにいいました。

そこへ、通りがかった伝道師(ヴィクター・キリアン)から、フォード兄弟が絞首刑になることを知らされたフランクは、法の裁きに満足するのでした。

ピンキーがもってきた新聞を受け取ったフランクは、フォード兄弟の殺人罪の評決が下った30分後に、知事の恩赦で2人が釈放されたことを知りました。

隠してあった銃を手にしたフランクは、クレムをピンキーに任せて町に向かうのでした。


2)フォード兄弟

酒場にいたボブとチャーリーは、新聞社”リバティ・ウィークリー”の編集長ルーファス・コッブ少佐(ヘンリー・ハル)に非難されます。コッブはフランクのことを口にし、警戒するべきだとボブに伝えてその場を去りました。

ミッドランド鉄道に雇われている探偵ジョージ・ラニアン(J・エドワード・ブロムバーグ)は、ボブらが西に向かうことを知りました

一方、社に戻った、コッブは、ロイ(ジョージ・チャンドラー)と記事の確認をしていたところへ、フランクの合図に気づきます。

ロイを部屋から出したコッブは、現れたフランクに、フォード兄弟が数時間前に町を出たことを知らせました。

ミッドランド鉄道の社長マッコイ(ドナルド・ミーク)が兄弟をそそのかしてジェシーを殺し、見返りに処刑から救ったと言うコッブは、西に向かったボブとチャーリーを追うつもりのフランクを見送ります。

ロイを戻したコッブは、フォード兄弟の死亡記事の準備をするよう指示しました。


3)資金調達

ジェシーの墓に向かったフランクは、現れたピンキーからクレムが姿を消したことを知らされました。

フォード兄弟を追うために資金がいるフランクは、鉄道会社の賃金であるマッコイの金を奪おうとします。鉄道会社の集配所に向かったフランクは、夜警のウィルソン(ルイ・メイソン)を脅して現金を奪おうとしました。

誰かが来たために身を隠したフランクはクレムだと気づき、彼を家に返そうとしますが、クレムが誤って発砲してしまい、町の男たちは銃声に気づき、ラニアンは集配所を包囲して入口を壊そうとしました。

フランクとクレムは、天上から脱出します。発砲しながらドアを破ったラニアンは、ウィルソンが死んでいることに気づきます。

犯人はフランクだと確信するマッコイは、1万ドルの賞金を出すことを考えました。

ラニアンは、フランクが狙うフォード兄弟を捜すために、西に行く許可をマッコイに求めました。


4)誤報

コロラド準州デンバーで、ホテルに滞在していたフランクとクレムは、フォード兄弟を誘き出すために、人々の前で”フランク・ジェイムズ”が死んだという話をします。

クレムから農場が見つかったことを知らされたフランクは、”フランク・ジェイムズ”殺害の目撃者を捜している女性エレノア・ストーン(ジーン・ティアニー)と話をしました。

エレノアは”デンバー・スター”の記者で社主の娘であり、特ダネをものにするつもりでした。クレムから”フランク”の話を聞いたエレノアは、その内容に満足して彼に感謝します。フランクは、そんなエレノアに惹かれるのでした。

その後、”フランク・ジェイムズ殺される”という記事が新聞に掲載されるのですが、記事を書いたエレノアは、父ランドルフ(ロイド・コリガン)がそれを評価してくれないことを悲しみました。

 

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5)明かされたフランクの正体

ある町で、フランクは、フォード兄弟の”ジェシー・ジェームズの死”という演劇が上演されていることを知りました。それを観たフランクは、役者として登場したボブとチャーリーに気づかれます。

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桟敷席にいたフランクにランプを投げつけたボブとチャーリーは、その場から逃げ、火事になった劇場は混乱し、フランクとクレムは、馬で逃げたボブとチャーリーを追いました。

山岳地帯で兄弟を追い詰めたフランクは、チャーリーと共に落馬してしまいます。フランクと岩場で銃撃戦になったチャーリーは弾がなくなり、誤って崖から川に転落してしまいました。


一方、エレノアを訪ねたラニアンは、フランク殺害の話をした者の人相を訊き、16歳くらいの少年だったことを聞き出しました。もう一人のことも訊いたラニアンは、ウッドソンと名乗ったその男はフランクだとエレノアに伝えます。

それが信じられないエレノアは、ラニアンからフランクの写真を見せられて驚き、無法者には思えない好人物だったためにショックを受けるのでした。

エレノアは、ホテルのボーイ、モーゼ(スタイミー・ビアード)に、”ウッドソン”が戻ったら自分に連絡するように伝えることを指示したにも関わらず、モーゼはそれに気づかず、2人は部屋に向かっていました。

その場にいたラニアンに銃を向けられたフランクとクレムは、隙を見て彼に襲いかかり拘束します。

ホテルのメイドからの通報を受けた警官(エイドリアン・モリス)は、拘束されて閉じ込められたラニアンを見つけました。


6)フランクの葛藤

少年が届けたという封筒を受け取ったエレノアは、30分後にホテル近くの広場に来てほしいという、ウッドソンからのメッセージを確認しました。

エレノアと話したフランクは逃げるようにと言われ、ピンキーが縛り首になると書かれたその新聞記事を見せられました。フランクは、ピンキーが集配所の殺人に関わったことになっているため驚き、マッコイの仕業だと考えます。

クレムからボブの居場所が分かったと言われたフランクは、それが鉱山町のクリードだと知り、その場に向かおうとします。

ピンキーを救うべきだと言うエレノアの意見を聞かずに、フランクはボブを捜しに行きました。


フランクが生きていたため、死亡記事はウソだったことになり、ランドルフはエレノアを責め、さらに、エレノアがフランクに会ったことを知り驚いたランドルフは、彼女を大学に戻そうとしました。

ミズーリのリバティに行き黒人のピンキーを救うと言うエレノアは、反対するランドルフを黙らせました。


ピンキーのことを考えると辛いフランクは、戻ることを決めるが、ボブを殺すべきだと考えるクレムからエレノアのためだと責められますが、それを無視してリバティに向かいます。

途中で馬を替え、さらに馬車に乗り換えたフランクとクレムは、ある町の駅で駅員(エディ・コリンズ)を脅し、郵便列車を強引に止めさせました。

それに乗ったフランクとクレムは、カンザスシティに向かう。


7)フランクの出頭

リバティでは、ダニエルズ保安官(フランク・シャノン)にピンキーの無実を訴えたエレノアは、フランクが来ることを伝えました。

マッコイとラニアンの策略だと考えたコッブは、2人を非難しながらエレノアと共にその場を去りました。

コッブと共に諦めかけたエレノアは、フランクが現れたために驚きました。

ラニアンに銃を向けられたフランクは逮捕され、連行されます。

ランドルフに電報を打ったエレノアは、ピンキーの処刑は延期され、フランクが裁判にかけられることを知らせました。

エレノアは、残って取材する許可を得ようとするものの、戻るように指示され、裁判終了後に戻ると返事をします。

翌日、法廷に向かったエレノアは、記者席に座りました。

フランクはコッブに弁護人を頼み、判事(ジョージ・バービア)は開廷します。

検事(ラッセル・ヒックス)は、フランクが集配所を襲い夜警のウィルソンを殺したことを証明しようとする。

ダニエルズ保安官が証人として呼ばれ、コッブは、夜警は外からの弾丸で死んだと言う彼に質問し、前職がミッドランド鉄道の警護官だったことを証言しました。

法廷を出たエレノアはクレムに気づき、裁判の様子を気にする彼に、フランクが強盗は認めているため不利だといいました。

クレムは、自分たちに構わなければフランクは逮捕されずに済んだとエレノアを非難します。


8)コッブ頑張る

証人席に座たフランクは、コッブにこの場にいる理由を訊かれ、出頭したのは、無実のピンキーを救うためだと答えました。

集配所を襲った理由を訊かれたフランクは、盗んだ金でフォード兄弟を追うためだったと答え、それはマッコイの金だと言いながら、ジェシーを殺された恨みも話します。

検事に夜警を殺す理由がないと伝えたフランクは、外から撃たれたと言い張りました。

フランクをよく知り信頼するジャクソン大佐(エドワード・マクウェイド)が証人として呼ばれ、検事は、誇り高い軍人である彼からは何も聞き出せませんでした。

検事は、強盗を認めたフランクが夜警も殺したのは明らかだと陪審員に話しかけ、縛り首が妥当だと主張します。

判決を待つコッブは、自分の行いを後悔するエレノアに、フランクは君に出会わなくてもピンキーを救う男だといいました。

 

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9)判決と決着

法廷に戻ったコッブは、ジェシーの復讐だけを考えたフランクは、その資金のために集配所を襲ったのですが、庶民のためを思いながら犯罪を冒してきたことを陪審員に主張しました。

夜警がフランクの銃で殺された証拠はないと言うコッブは、犯行時の彼の銃を手にし、南部のために使われたことを話しながら、天上に向けて発砲してしまいました。

その場にボブが現れ、フランクは彼からのメモを受け取り、法廷内はざわつきます。

評議を終えた陪審員は、無罪だと判事に伝えました。

その場から逃げたボブを追おうとしたフランクは、エレノアらに制止されますが、銃声がしたために外に出ると、クレムがボブに撃たれていました。

ボブも銃弾を受けたはずだとフランクに伝えたクレムは、農場をピンキーと共に任せると言い残し、息を引き取りました。

クレムの銃を手にしたフランクは、ボブが逃げ込んだ厩舎に向かいます。

ボブに発砲されたフランクは二階に向かいますと、更に発砲した彼が、クレムの銃弾を受けていたために死んでいました。

フランクは、残りの一人を仕留めたと天国のジェシーに語りかけるのでした。


10)エピローグ

その後コッブは、フランクの恩赦についての記事をロイと共に考えています。

デンバーは好きな町だとエレノアに伝えたフランクは、故郷に戻る彼女を見送りました。

3.四方山話

1)フランク・ジェームスの半生

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本作の主人公フランク・ジェームスは、彼の盗賊としての間に、1868年から1876年の間に少なくとも4回の強盗に巻き込まれ、銀行員または市民の死をもたらしました。最も有名な事件は、1876年9月7日の悲惨なミネソタ州ノースフィールドの襲撃であり、ギャングの大部分の死または捕獲で終わりました。

 

1882年に弟のジェシーが殺害されてから5か月後、フランク・ジェイムズはミズーリ州ジェファーソンシティ行きの電車に乗り込み、州議会議事堂の知事と面会し、彼のホルスターをクリテンデン知事の手に渡して、ミズーリ州ノースフィールドに追放されないことを理解して降伏したとのことでした。

彼は2件の強盗/殺人でのみ裁判にかけられ、1件はミズーリ州ギャラティンで、1881年7月15日ロックアイランドライン列車のウィンストンでの強盗でした。ミズーリ州で列車のエンジニアと乗客が殺害され、もう1件の、1人はアラバマ州ハンツビルで米国陸軍工兵隊の1881年3月11日の強盗で殺害されました。

彼はミズーリ州アラバマ州の両方で無罪となり、ミズーリ州は他の容疑で彼に対する法的管轄権を受け入れましたが、彼は裁判にかけられませんでした。

 
彼のニューヨークタイムズは彼の逮捕と無罪判決を要約して

 

1882年...フランク・ジェイムズはミズーリ州ジェファーソンシティで自主しました。ジェームズはミズーリ州の刑務所に3週間拘留され、その後ギャラティンに連れて行かれて、裁判を待つ1年刑務所に留まりました。
ついにジェームズは無罪となり、母親と一緒に暮らすためにオクラホマに行きました。彼は刑務所に入れられたことはなく、彼に対する告発で有罪判決を受けたこともありませんでした。

 

彼の人生の最後の30年間、ジェームズは靴のセールスマンのほか、さまざまな仕事をしましたが、彼の最後の年に、ジェームズファームに戻り、彼は1915年2月18日に72歳でそこで亡くなりました。


2)ジャッキー・クーパー

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本作でクレムを演じたジャッキー・クーパーは、有名な子役スターでした。叔父は映画監督であるノーマン・タウログ。3歳のころ、叔父の影響もあって初めて映画に主演。ハル・ローチ作品の短編でキャリアをスタートさせ、その後、子役スターとして売り出し、叔父の監督作品『スキピイ』(1931年)でアカデミー主演男優賞候補となりました。

健康的で、けな気な少年像を大切にしつつ、様々な役柄にも挑戦。『バワリイ』(1933年)などが代表作となりますが10代後半ともなると、さすがに役がつかなくなり、本作出演の頃ぐらいから活動が難しくなりました。

そして第二次世界大戦勃発と共にその存在は忘れられ、俳優としては困難に立たされます。ブロードウェイ進出を目論んだが、これも失敗。ついに引退を決意しました。

1960年代、『戦慄の第四帝国』などのTV作品に出演を続けながらカムバックを狙っていたクーパーは、70年代に至るまで夥しい数のドラマに出演し、やがて再び顔が知られるようになります。実直、かつ沈着で観るものに安心感を与える存在感で、かつての子役時代とは趣を異にするような新境地を切り開き、やがてパニック物やサスペンス物の顔とまで呼ばれるようになりました。

俳優活動と同時に、1964年ごろよりスクリーン・ジェームズ社TV製作部門の副社長としても手腕を発揮、退任後は1970年より多数のTV製作、監督を手がけます。また映画では『スーパーマン』シリーズで主人公クラークの上司となるデイリー・プラネット社・編集長役で人気を博し、全作に登場。トム・ハンクスと共演した主演作『恋はお手あげ』では、軽妙な味のある演技を披露していました。

1989年に俳優業を引退し、2011年5月3日、病気のため死去。享年89歳。


4.まとめ

この時代のアメリカ西部というところは、ほとんど無法者であったワイアット・アープのようなものが有名な保安官になったり、ジェシー・ジェームスが英雄になったりとか、とにかく強いものがもてはやされる土壌であったようです。

本作での裁判の様子がそのすべてを表しているとはいいませんが、現代よりもより物語の時代に近い第二次大戦前に作られた本作で、よく表れているように思います。