映画『恐怖の報酬 』巨匠ウィリアム・フリードキンによる、手に汗握る緊張と興奮のサスペンス巨編です!!

この映画『恐怖の報酬(Sorcerer)』は、1977年のアメリカ合衆国のサスペンス映画で、 監督はウィリアム・フリードキン、主演はロイ・シャイダーブリュノ・クレメールが共演しています。

目次

 

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1.紹介

フレンチ・コネクション』『エクソシスト』で知られるウィリアム・フリードキン監督が1977年に手がけたサスペンス大作で、ジョルジュ・アルノー原作&アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督による同名フランス映画をリメイクしました。

4人の男がニトログリセリンをトラックで運ぶというオリジナルの設定に加え、主人公たちの行く手を遮るジャングルの泥濘、豪雨、今にもトラックが落ちそうなぼろぼろの吊橋、積荷を奪おうとする反政府ゲリラなど、オリジナルにはなかった緊張感を煽る演出が加えられています。


ユニバーサルとパラマウントという2大メジャースタジオが共同出資し、3大陸5カ国でのロケを敢行するなど、完成までに2年の歳月と2000万ドル(現在の100億円相当)という当時として破格の製作費が投じられました。

しかし、1977年の全米公開時『スター・ウォーズ』が一大旋風を巻き起こした影響で興行的に大失敗しました。1978年に公開された日本をはじめとする北米以外の国では、監督に無断で大幅にカットされた92分の短縮版が上映されました。

その後も長らく権利関係などで上映もDVD発売もされていませんでしたが、2013年にフリードキン監督の手により121分のオリジナル版の4Kデジタル修復が行われ、同年のベネチア国際映画祭でプレミア上映されて、復権がなされました。


2. ストーリー

1)プロローグ、それぞれの事情

メキシコ、ベラクルスで、殺し屋のニーロ(フランシスコ・ラバル)は、ある部屋の男を射殺して建物から立ち去りました。

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イスラエルエルサレムで、ユダヤ人を装ったパレスチナの過激派グループが、”ダマスカス門”の近くで爆破テロを起こしました。その後、犯人らは隠れ家に向かうものの軍に包囲されてしまい、一人は射殺されもう一人は捕らえられ、逃れたカッセム(アミドウ)は、群衆の中で連行される仲間を見つめました。

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パリで、銀行家ヴィクトル・マンゾン(ブリュノ・クレメール)は、ノンフィクション小説の編集をしている妻に話しかけます。ヴィクトルは、妻からの結婚10年を祝う贈り物の腕時計に気づき、感謝して愛を伝えました。

証券取引所の社長に会ったヴィクトルは、詐欺罪で告訴されると言われ、24時間の猶予を求めます。ヴィクトルは、ビジネスパートナーである義弟パスカルに会い、義父に連絡して資金援助を求めるよう指示しました。

その後ヴィクトルは、妻と友人と共にレストランで食事をします。ヴィクトルは、そこに現れたパスカルから、父に援助を断られたと言われ、もう一度、説得するよう指示しました。

ところが、車に乗ったパスカルは拳銃で自殺し、ヴィクトルは妻の元に戻らず、国外に逃亡しました。

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アメリカ、ニュージャージー州、エリザベスでは、ジャッキー・スキャンロン(ロイ・シャイダー)らアイルランド系のギャングは、ビンゴ・ゲームを主催する敵対組織が関係する教会を襲いました。

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その場から逃走し車を運転するジャッキーは、ハンドルを誤りトラックに衝突してしまいます。車は横転し、仲間が死んだことを知ったジャッキーは、警官が駆け付けたためにその場から逃れました。

襲われて傷つけられた教会の神父は、マフィアの幹部カルロ・リッチーの弟でした。手下を呼んだカルロは、逃げたジャッキーの殺害を命じました。

それを仲間のヴィニーから知らされたジャッキーは、逃亡するのためにボルチモアに向かうよう云われました。

 

2)逃亡の地で

南アメリカ、ポルベニールにて、カッセム、ヴィクトル、ジャッキーは、それぞれマルティネス、セラーノ、フアン・ドミンゲスと名を変え、アメリカの石油会社で労働者として働いていました。

現地に到着したニーロは、ある目的を果たすために滞在します。

カッセムは、元ナチである退役軍人マルケス(カール・ジョン)と親しくなり、セラーノは、この国を出ることを考えています。

酒場でセラーノと話していたとき、ジャッキーは、現れた警官から身分証の提示を求められ、偽造と判断されて逮捕されました。

警官から金を要求されたジャッキーは、賃金の3割を払うことに同意して釈放されるのでした。


3)油井の爆発

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ある日、油井で大爆発が起き、会社側は早急に対処することを考えました。

多くの死傷者を出したことで村人は暴動を起こし、鎮圧しようとする警官に襲い掛かります。

消火活動は進まずに火災は続き、爆風で消せると考えた会社の責任者コーレット(ラモン・ビエリ)は、離れた場所に保管されているダイナマイトを確認しに行きました。

保管状態が悪くダイナマイトは、ニトログリセリンが漏れていたため、少しの衝撃で爆発することが分かり、320キロ先の火災現場に運ぶのは、困難が予想されました。


ヘリコプターでの輸送は無理だと判断され、トラックで運ぶことが決まり、コーレットは運転手を探します。

志願者には破格の報酬が支払われることになり、テストを受けて選ばれたのは、ヴィクトル、ジャッキー、マルケス、カッセムでした。

4人は2台のトラックに別れて走行することになり、車両の整備を始めます。

現地でニトログリセリンがトラックに積まれ、準備ができたジャッキーらは、1台が戻ればいいという会社側の考えを知ることになります。

 

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マルケスがナチ・ハンターのニーロに殺されたことを知ったカッセムは、彼に襲いかかるものの制止され、コーレットが警察を呼ぼうとしたため、ジャッキーは、ニーロに運転手をさせることを提案しました。

それに同意したニーロは、ジャッキーと共に出発しました。

パリの妻宛の手紙をコーレットに託したヴィクトルはカッセルと組み、火災現場に向かいました。


4)次々に現れる障害

運転するジャッキーらは、悪路を低速で進みます。ジャッキーらが先に通過した腐った木の橋を渡るカッセムは、ヴィクトルの誘導で前進するものの、タイヤがハマってしまいます。何とか脱出したカッセムは、何とか橋を渡り切りました。


豪雨の中、森林地帯で道に迷ったジャッキーは、追いついたヴィクトルから、地図に従い進むよう指示されますが、暫くして道が違うことに気づいたジャッキーは、崩落しかけている吊り橋を渡るしかありませんでした。

逃げ出したニーロを捕まえたジャッキーは、橋を渡ると言って、彼に誘導させて運転します。傾くトラックを何とか操り、無事に渡り切ったジャッキーは、ニーロを車に乗せて、後のカッセムら脱落すると、報酬の倍額2万ドルが手に入るとほくそ笑みました。


橋を渡り始めたヴィクトルは、誘導するカッセムの姿が見えなくなったために停車します。その時、流木に激突され、ヴィクトルは枝を切り、カッセムがウインチのワイヤーを対岸の大木に引っかけます。ヴィクトルはワイヤーを巻き上げ、橋の崩落寸前に通過することに成功しました。

 

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その後、雨は上がり夜が明け、前進するジャッキーとニーロの目の前には大木が横たわっていました。木を切り倒して迂回しようとしたジャッキーは、手伝おうとしないニーロに銃を向けられ発砲されます。

そこにヴィクトルとカッセムが現れますが、ジャッキーは尚も木を切り倒そうとします。倒れている大木を調べたカッセムは、ニトログリセリンを使い爆破することを考え、協力し合いその仕掛けを作りました。


カッセムとニーロがニトログリセリン一箱分を大木に乗せて、ジャッキーとヴィクトルがトラックを後退させます。ニトログリセリンを流したカッセムは、爆破の仕掛けを作動させてその場から離れます。

大爆発と共に大木は吹き飛び、4人は出発して山道を快調に進みました。

 

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パリに行ったことがあるカッセムと妻の話などをしていたヴィクトルは、タイヤのパンクでハンドルを誤り、トラックは崖から滑り落ちて爆発してしまいました。


それを遠くから見たジャッキーとニーロは、爆破の影響で地盤が緩んだ山道を慎重に進みます。爆発現場に着いたジャッキーは、その時、ニーロから反政府ゲリラが現れたことを知らされます。

銃を向けられたジャッキーは積荷のことを訊かれ、食料と日用品だと答えます。病気を装ったニーロは、隙を見て山賊を射殺し、ジャッキーも一人を殺しました。

 

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撃たれたニーロをトラックに乗せたジャッキーは、彼を励ましながら前進します。息絶えたニーロの死体を降ろしたジャッキーは、トラックのエンジンが停止したために、ニトログリセリンの箱を抱えて徒歩で進みました。

そしてジャッキーは、火災現場に到着することができました。


5)エピローグ

ポルベニールに戻ったジャッキーは、バーで、コーレットからパスポートと報酬4万ドルの小切手を受け取ります。

コーレットから仕事を紹介されるものの興味がないジャッキーは、彼から、ヴィクトルの妻宛ての手紙を受け取り、投函を頼まれました。

ジャッキーは、床を掃除していた女性を誘いダンスをしましが、バーの外では、タクシーが到着し、カルロの手下とジャッキーの友人ヴィニーがバーに向かうところでした。

 

 

 

 


3.四方山話

1)オリジナルと比較され、得られなかった正当な評価

フレンチ・コネクション』(1971年)そして『エクソシスト』(1973年)という、ジャンルの革命作を連続して世に出し、映画監督としての名声を得たウィリアム・フリードキンでしたが、『恐怖の報酬』(1977年)は、そのキャリアに致命傷を与えた失敗作として名高いものとなりました。

1977年の初公開当時、世界は『スター・ウォーズ』(1977年)ブームに沸き立っており、南米を舞台に汗と血と泥にまみれた男しか出てこない『恐怖の報酬』は、興業的に大惨敗を喫しました。

そのため同作を海外で上映する際に、配給会社はフリードキンに無断で再編集を行い、121分の北米公開版を92分にまで縮めてしまいます。そのためか、日本での興行成績も1.1億円とまったくふるわず、批評家の多くもクルーゾーのオリジナルと比較して批判するものが多く、作品はソフト化と絶版を繰り返し、日本でも長く完全版を見ることは叶いませんでした。 


2)リバイバル上映としては驚異的な大ヒット!

2018年、フリードキンがそのキャリア史上最も心血を注ぎ、コッポラの『地獄の黙示録』(1979年)と双璧を成す映画作家の狂気と執念が刻まれた渾身の一作『恐怖の報酬』は、【オリジナル完全版】として遂にその真の姿で日本に初上陸しました。

メイン館のシネマート新宿では実に9週間という大ロングランを記録、結果全国50館超に拡がる旧作リバイバル上映としては驚異的な成績を収めた。

フリードキンは当初、日本においても単なる数回のリバイバル上映であれば再公開を望まない、再公開するならばとてつもなく意義深いものでなければ興味はない、と語っていました。
だがこの劇場大ヒット、そして何よりも往年のファンから初見の観客までが本作を観てくれたことに対して深く感動し、喜んでいます。

ちなみにフリードキンは不本意なかたちで公開された【短縮版】については存在を認めておらず、観たこともない。そしてその【短縮版】を作った配給会社の担当者はその事実発覚と他の悪事もあり、その後牢屋に行ったとのことでした。

 

 

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4.まとめ

ニトログリセリンのような危険物を障害を乗り越えて運ぶという設定は、ハラハラ・ドキドキの材料としては最高の題材で、古今を問わず数多くありましたが、本作はトップクラスといえるでしょう。

その辺が際立っているので、前半の4人のキャラクターガイドが嫌に長く感じられてしまうのが残念でした。