映画『駅馬車』西部劇の金字塔、名作中の名作です!!

この映画『駅馬車(Stagecoach)』は、アーネスト・ヘイコックスの原作をダドリー・ニコルズが脚色して、監督はジョン・フォード、主演はジョン・ウェイン、共演はクレア・トレヴァー 、トーマス・ミッチェル 、ジョージ・バンクロフトとなった、1939年のアメリカ合衆国の西部劇映画です。

目次

 

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1.紹介

西部劇ではありますが、物語は駅馬車に乗り合わせた人々の人間模様が中心で、終盤にアパッチ襲撃と決闘という2つのクライマックスが描かれています。

アパッチ襲撃のシーンは大胆なクローズアップによる撮影やヤキマ・カヌートによる見事なスタントで、スピーディーかつダイナミックなアクションシーンとなり、アクション映画史上不朽の名場面となりました。

アメリカの西部劇映画を語る上で欠かせない名作であり、映画史を代表する傑作として高く評価されています。1995年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録されています。


2.ストーリー

1)プロローグ

1880年代、アリゾナ準州で、アパッチの酋長ジェロニモが各地を襲い、その脅威を心配する駅馬車の御者バック(アンディ・ディバイン)は、連邦保安官のカーリー・ウィルコックス(ジョージ・バンクロフト)に、護衛を要請しました。

カーリーは、プラマー兄弟に仕返しをするため刑務所を脱獄したリンゴー・キッド(ジョン・ウェイン)を追っていて、プラマー兄弟がローズバーグにいると聞き、カーリーは、駅馬車の護衛を引き受けるのでした。

 

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2)駅馬車の乗客

酔いどれのヤブ医者ブーン”ドク”(トーマス・ミッチェル)と、娼婦ダラス(クレア・トレヴァー)は、厄介者扱いされて町を追われます。

 

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ドクは、酒の行商人サミュエル・ピーコック(ドナルド・ミーク)と出会い、 彼の酒目当てに同じ駅馬車に乗ることになります。

 

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騎兵隊大尉の妻ルーシー・マロリー(ルイーズ・プラット)は、身重の体を気遣われ、ふしだらな女と噂されるダラスと共に駅馬車に乗車することに不安を感じるのでした。

ルーシーは、町で見かけていた南部のギャンブラー、ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)が気になっていました。

ジェロニモの脅威を知らせる、騎兵隊中尉ブランチャード(ティム・ホルト)は、不通になった電信のメモをカーリーに渡し、 駅馬車の次の中継場所までの護衛をすると言いました。

それを聞いたハットフィールドも、ルーシーの護衛という名目で駅馬車に乗車します。

危険を感じて下車しようとするピーコックを、ドクは制止し、5人の乗客を乗せた駅馬車は、ローズバーグを目指してバックの掛け声と共に出発しました。

更に、銀行の頭取ヘンリー・ゲートウッド(バートン・チャーチル)が、横領金を隠し持って駅馬車に乗車します。

カーリーは、不通にも拘らず電報を受け取ったというゲートウッドの言葉を不審に思いながら先を急ぎます。

途中、ローズバーグに向かうリンゴーに駅馬車は止められ、カーリーは乗車を許可するが、彼のライフルを預かろうとします。

リンゴーはそれを拒もうとするが、騎兵隊が護衛していることを知り、仕方なく銃をカーリーに預けました。

リンゴーのことを知るカーリーは、道々、役に立ちそうな彼を拘束せずに乗車させることにしました。

一行は停車駅に到着しますが、護衛の騎兵隊は移動してしまっていました。


3)危険への選択

このまま進むか戻るかの決断を迫られ、一行は多数決でローズバーグ行きを決めます。

ルーシーは、夫に会えると思っていた当てが外れてしまい、カーリーの制止も聞かずに旅を続けることになりました。

リンゴーは、ダラスに冷たい視線を浴びせるルーシー達とは違い、同じような境遇の彼女に優しく接します。

次の目的地へ出発した一行でしたが、ゲートウッドは、騎兵隊が引き上げたことを非難して不平ばかり口にしていました。

ルーシーはダラスの好意を受け入れようとせず、ドクはピーコックの酒を飲み続け、そして、リンゴーはダラスを気遣います。

次の停車駅に着きますが、ルーシーの夫マロリー大尉は負傷してローズバーグに運ばれたことが分かります。

それを聞いたルーシーは気を失ってしまい、出産が早まってしまいます。

浴びるほど酒を飲み続けていたドクは、コーヒーで正気を取り戻し、ダラスの手助けでルーシーは無事女の子を出産することができました。


4)アパッチの襲撃

優しく子供を抱くダラスの姿を見たリンゴーは、仇討ちの後で二人で国境を越え、一緒に暮らしたいと彼女に言いました。

 

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しかしダラスは、自分の素性も知らないリンゴーに、答えることができません。ルーシーの看病で徹夜したダラスは、ドクにリンゴーから求婚されたことを伝えました。

ダラスは、お尋ね者と娼婦では、今後お互いが傷つくことを悟らされ、一方では、ドクに励まされもしたダラスは、ローズバーグへは向かわせずに、リンゴーを逃がそうとしました。

一行は出発するか否かで議論となるのだが、カーリーがリンゴーが居ないことに気づきます。

リンゴーは、ダラスの説得で国境を越え逃げようとするが、アパッチののろしを見て思い止まりました。

即刻出発した一行は川にたどり着きますが、渡し舟が焼き討ちされているのを知ったカーリーは、リンゴーの手錠を外してアパッチの襲撃に備えました。

丸太を脇にくくりつけ、川を渡った駅馬車はローズバーグに近づきました。

安堵したのもつかの間、弓がピーコッックの胸に突き刺さり、次の瞬間アパッチの一団は、駅馬車に襲い掛かりました

 

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リンゴーは駅馬車の屋根で応戦、男達も女達をかばいながらアパッチに立ち向かいます。

わめき散らすゲートウッドをドクが殴り倒し、御者のバックは撃たれ、弾切れとなったカーリーは、駅馬車を走らせるしかなくなりました。

ハットフィールドは、最悪のことを考えてルーシーに銃を向けましたが、その時、アパッチの銃弾を浴びてしまいました。

やがて、騎兵隊の突撃ラッパが響きわたり、それを知ったアパッチは退散します。

ハットフィールドは、判事の息子だったことを言い残して、息を引き取りました。

 

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6)3対1の決闘

その後、一行はローズバーグに無事到着し、ルーシーは初めてダラスに感謝の表情を見せました。

リンゴーの仇ルーク・プラマー(トム・タイラー)は、リンゴーの到着を知らされ、兄弟2人と共に彼を迎え撃つ準備を始めます。

一命を取り留めたピーコックを見舞ったダラスは、その後リンゴーの元に向かいます。

リンゴーは脱獄の懲役を覚悟し、ダラスを自分の牧場に送り届けて欲しいことをカーリーに伝え、彼はそれを承諾しました。

町の保安官に、リンゴーを逮捕するようけしかけるゲートウッドは、横領がばれて捕まってします。

リンゴーはカーリーからライフルを受け取り、残してあった3発の弾丸を込め、ダラスに自分を待つように告げたリンゴーは、プラマー3兄弟の元に向かいました。

手当てを終えたドクが、酒場に現れ、リンゴーが現れることをルークに伝えます。

ルークは、ドクからショットガンを置いていくよう言われてそれに従いますが、彼は情婦からライフルを受け取りリンゴーの待つ大通りに向かいました。

誰もがリンゴーが殺されると思っていたその瞬間、町に数発の銃声が響き渡ります。

ダラスは銃声を聞き、リンゴーの身を案じます。

ルークは酒場に戻りましたが、カウンターの前で倒れて息絶えました。


7)エピローグ

そして、ダラスの元に戻ったリンゴーを、カーリーとドクが迎えに来きます。

リンゴーは連行されることになり、カーリーは、ダラスに町外れまで彼と同乗していくことを勧めました。

そしてカーリーとドクは、2人を逃亡させて、文明から逃れた新世界へと旅立たせることにしました。

リンゴーとダラスを見守りながら、ドクはカーリーの一杯奢るという言葉に誘われ、2人は酒場へと向かうのでした。

 

 

 

 

 

3.四方山話

1)ジョン・ウェイン

主演のジョン・ウェインはこの映画に出演する9年前の1930年に『ビッグ・トレイル』で主演に抜擢されましたが不評で、その後長い不遇時代を過ごし、B級西部劇映画に出演しながら俳優としての実力を蓄えていました。

この映画の演技が認められて以降はジョン・フォード監督作品の看板俳優として主演を務めていくようになり、一躍大スターになりました。


2)フォードの深謀遠慮

ジョン・ウェインは無名であるにもかかわらず大役に抜擢されたため、共演者やスタッフたちはウェインのことを快く思っていませんでした。

それを知ったフォードは撮影中にウェインを罵倒し侮辱し徹底的にしごきました。それは共演者たちが駆け出しのウェインに反感を抱かぬようにするためのフォード一流の深謀遠慮でした。


3)淀川長治

この作品は、かの淀川長治ユナイテッド・アーティスツ日本支社の宣伝部勤務になって最初に担当した作品であり、『駅馬車』という邦題を考えたのも淀川でした。

淀川の宣伝活動はやりすぎだったため、一度は会社をクビになりますが、作品が大ヒットしたのでクビは撤回されました。

また、淀川の活動ぶりはアメリカに報告され、後日淀川に作品の制作者であるウェンジャーからサイン入りの銀時計を贈られました。


4)Aと8の黒のツー・ペア

酒場でルーク・プラマーがポーカーをしていた時、リンゴ・キッドがやって来たと知らされて、その場に捨てたポーカーのカードはAと8の黒のツー・ペアでした。

かの有名なワイルド・ビル・ヒコックが、ポーカー中に後ろから撃たれて殺された時に、手に持っていたカードがこれで、俗に「死のカード」と呼ばれる組み合わせです。


5)評価

本作品は現在も高い評価と人気を受け続けており、映画史上に残る不朽の名作として知られていて、映画批評家らを対象にした過去の作品のランキングや投票では必ずと言っていいほど上位にランキングされています。

米国の映画評論サイトであるRotten Tomatoesによると、批評家の一致した見解は

「西部劇のジャンルが提供しなければならない最高のものを代表している『駅馬車』は、ジョン・フォード監督のダイナミックな演出とジョン・ウェインの魅惑的なスター性によってドラマティックな重さを与えられた素晴らしい大冒険作品である。」

となっています。

 

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4.まとめ

この作品は、肩書きと人間性の相反描写によって、思い込みや偏見での判断の過ちを諭し、その対照の妙を描く
とが製作意図だったのでしょう。

赦しや寛容の重要性をも醸し出しつつ、素晴らしくエンターテインメント性に優れた作品でした。

 

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