映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』天才の悩みを普遍的なヒューマンドラマに描きました!!

この映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)』は、1997年公開のアメリカ映画。監督はガス・ヴァン・サントで、マット・デイモン若き日の出世作です。

目次

 

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1.紹介

幼い頃の悲惨な体験により、心を閉ざす天才青年が、妻に先立たれた同じような境遇の心理学者との交流を通して成長していく姿を描いています。

この作品は、マット・デイモンハーバード大学在学中に執筆した戯曲を、親友のベン・アフレックと共に脚本にして評価されましたが、結局、映画化には約5年の歳月を要しました。
結果、作品はもとよりその脚本は絶賛されて各映画賞を総なめにした。

同じ年、『タイタニック』(1997年)旋風が吹き荒れる中、第70回アカデミー賞では、作品賞をはじめ9部門でノミネートされ、ロビン・ウィリアムスの初の助演男優賞脚本賞を受賞しました。


2.ストーリー

1)プロローグ

MIT(マサチューセッツ工科大学)、著名な数学教授ジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)は、ある講義で学生達に難問を課しました。

MITの清掃員ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、誰にも知られずに、廊下の黒板のその難問を簡単に解いてしまいます。

学生の知らせで、黒板に向かったランボーは驚いてしまい、 教授仲間でも、解くのに2年かかったという、さらなる難問を掲示しました。

 

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ウィルは、生立ちに恵まれず、生き甲斐もない毎日を送り、チャッキー・サリヴァン(ベン・アフレック)、モーガン・オマリー(ケイシー・アフレック)、そして、ビリー・マクブライド(コール・ハウザー)らと遊び回り、トラブルも起こしていましたが、数学や科学、法律の知識などに長けた天才青年でした。

 

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2)傷害そしてランボーの保護観察下

ウィルは再び黒板の問題を解きますが、ランボーに見つかり、その場から逃げ去ってしまいます。

ある夜ウィルは、ハーバード大の学生がたむろするバーで、知識をひけらかす学生を圧倒してしまい、その場で、医学生スカイラー(ミニー・ドライヴァー)と知り合い、彼女はウィルに惹かれて電話番号を教えるのでした。

 

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翌日、ランボーは、難問を解いたウィルの身元を知り、傷害罪で拘束された、保護観察下の彼の身柄を、毎週自分と数学の研究をして、セラピーを受けることを条件にして、引き取ろうとしました。

フィールズ賞受賞者のランボーも舌を巻く、ウィルの才能は信じ難いものでした。

しかし、数学の研究には熱心に通うものの、紹介されたセラピストを、ウィルは見下して全く相手にしません。

ランボーは、誰にも心を開かないウィルを、天才数学者ラマヌジャンの再来だと言って、大学の同期生で大学講師のショーン・マクガイア(ロビン・ウィリアムス)に預けようとしました。


3)ショーンと、そしてスカイラーとの出逢い

ウィルはショーンと対面し、いきなり、彼の亡くなった妻を侮辱してしまいます。

ショーンは激怒しますが、彼はセラピーを引き受けることをランボーに伝えました。

その間ウィルは、スカイラーと何度かデートを重ねますが、 それ以上の関係にはなりませんでした。

翌週ショーンは、知識だけで、真実を知らないウィルを非難し、自分を語れば、その時には耳を傾けると言ってその場を立ち去るのでした。

 

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その後のウィルは、セラピーで沈黙してしまい、ようやく口を開くと、スカイラーについての他愛ないことを話し出すだけです。

ショーンはウィルに、何事も経験だと彼女との真剣な交際を勧めました。

ウィルは、スカイラーが勉強に追われていたため、待ちきれずにその手助けをして、彼女を誘います。

スカイラーとのひと時を楽んだウィルだったが、家族のことや生立ちを話す気にはなれませんでした。

セラピーはその後も続きますが、ウィルはショーンの妻との思い出話などをすることに終始します。

スカイラーとの愛が深まったウィルは、友達や兄弟に会いたがる彼女にチャッキー達を紹介しますが、家族に会わせることは拒んでしまいます。


4)旅立ちの予感

ランボーは、ウィルの才能を欲しがる企業や政府機関からの申し出に、セラピーの進行を焦らせて、ショーンと衝突してしまいます。

ウィルは、ランボーに紹介された企業の面接にチャッキーを行かせてしまい、彼は、面接担当者に金をせびって帰ってきてしまいました。

西海岸行きを決めたスカイラーは、ウィルも誘うが、彼はボストンを離れることを拒みます。

ウィルはスカイラーを失う恐れで混乱し、孤児で、虐待を受けた自分の生い立ちを明かし立ち去ってしまいました。

ランボーとの研究にも飽きたウィルは、自分の才能が彼よりはるかに上回ることを見せつけてしまい、ランボーもそれを認めて愕然とします。

そんなウィルは、ショーンの「何がしたい?」という単純な問いかけに答えることができません。

ウィルは動揺しますが、それを受け入れられないショーンは、彼を見限ってしまいます。

そして、ウィルはスカイラーに別れを告げ、彼女はボストンを去って行きました。


5)それぞれの旅立ち

相変わらず自分の道を決めず、無駄な人生を送ろうとするウィルに、チャッキーは、”こんな生活は自分達だけでいい、 お前は才能を生かせ”と忠告して彼を突き放します。

 

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ウィルの保釈も取り消されそうな状況で焦るランボーに対し、ショーンは、彼の敗者を見下す尊大な態度を非難し、ウィルを潰させないと激しく言い寄ります。

そこに現れたウィルは、ショーンとランボーのウィルに対する立場の違う思い入れを聞いて思わず足を止めました。

そこにウィルが入ってくるとランボーは去り、自分とランボーの確執を説明したショーンは、セラピーを始めました。

ショーンは、裁判所に提出するウィルの鑑定書を見ながら、自分にも虐待された経験があることを語ります。

するとウィルも自分の経験を話し始め、ショーンは、”不幸な生い立ちは、君のせいじゃない”と語りかける。

そして、ウィルはショーンの腕の中で泣き崩れ、ついに彼に心を開きました。

ウィルは、ショーンのセラピーも終え、旅に出ると言う彼と、今後も会うことを約束します。

就職も決まったウィルは、仲間達から21歳の誕生祝に車を贈られました。

ショーンはランボーと和解し、その後、旅の準備を始めます。


6)エピローグ

ウィルはショーンのアパートを訪れ、ポストにメモを残しました。

いつものようにウィルを迎えに行ったチャッキーは、いつかこうなればいいと予感していたので、彼が居ないことに気づき笑みを漏らします。

”就職の件で教授が連絡してきたら、すまないと伝えてくれ、俺は彼女に会いに行く”という、ウィルのメモを見たショーンは満足気な表情を浮かべる。

そしてウィルは、ボストンを旅立つのでした。

 

 

 

 


3.四方山話

1)ロビン・ウィリアムスのアドリブ

ショーンが無き奥さんの話をしてウィルと爆笑するシーンは、ロビン・ウィリアムスのアドリブで、実はカメラマンも笑っているからよく見ると画面が揺れています。自然なやりとりと笑顔に包まれた名シーンはにはそんな秘密も隠れていました。


2)共著

この映画のエピソードは「実話ではないが、実際に起きたこと」をいろいろと盛り込んでいることで、最初はマットひとりで書いていましたが、途中から幼なじみのベン・アフレックも加わり、ふたりで書き上げていきました。

例えば、映画の舞台になっているMIT(マサチューセッツ工科大学)をマットが訪ねた時、同行した弟のカイルが廊下にある黒板にチョークでウソの方程式を書いたら、それが何か月も消されなかったので、アレンジして脚本に入れています。

また、主人公ウィルの恋人の名前はスカイラーですが、マット自身も当時、スカイラーという医学部の学生とつきあっていたそうです。

ちなみにふたりが初めて出会ったのはマットが10歳の時、ベンが8歳の時みたいです。


3)信憑性

数学の描写に関しては、ハーバード大学やMITで実際に教鞭をとる教授たちに助言を受けてより正確な内容にしています。

それまでまともな教育を受けていなかった青年が数学の数式で驚異的な才能を発揮する、という設定が現実とかけ離れているという声もあるようですが、実は20世紀初頭のインドにはシュリニヴァーサ・ラマヌジャンという、埋もれていた数学の天才児が実在しました。

作中ではランボー教授がウィルの才能を見出し、友人ショーンに相談をする場面で、そこでひきあいに出されるのがラマヌジャンの話です。


4)名シーン

フィールズ賞学者の狼狽

近寄り難い雰囲気を持つ数学者を演ずるステラン・スカルスガルドが、ウィルの才能の前に次第に凡人に見えてくる演技と演出も注目で、極めつけはウィルが書いた難題の回答に火をつけたときに狼狽しました。

 

②チャッキーの友情

ベン・アフレックが、寂しい気持ちを押さえながら”自分の才能を活かして旅立て”と、主人公を突き放しました。

 

③ショーンの怒り

ウィルとショーンの初対面の時ショーンの絵を観て彼の状況を推測し彼の妻を侮辱る言葉を言う時のウィルの小賢しく人の心の中を探る表情と、穏やかだったショーンが怒りに一変してウィルに掴みかかりました。

 

④ウィルを裸に

ショーンがウィルに、公園の池に浮かぶ白鳥を前に女性と多少の経験はあっても、並んで目覚めた朝の幸せは語れまいと、静かに本質を言い当てました。

 

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4.まとめ

若き日のマット・デイモンベン・アフレックが、多くの人を感動させる成熟したヒューマンドラマを描き、天才は早熟だったということをみせつけられました。

ステラン・スカルスガルドと今は亡きロビン・ウィリアムスが華を添え、これを珠玉の名作というのでしょう。