映画『リバティ・バランスを射った男』これも西部劇の傑作の一つでしょう!!

 

この映画『リバティ・バランスを射った男(The Man Who Shot Liberty Valance)』は、ジョン・フォード監督で、主演ジョン・ウェイン、共演ジェームズ・ステュアートの1962年制作のアメリカ西部劇映画です。

目次

 

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1.紹介

モンタナ州立大学の教授ドロシー・M・ジョンソンが1949年に書いた同名小説をジェームズ・ワーナー・ベラとウィリス・ゴールドベックが共同脚色した異色西部劇映画です。

クライマックスの決闘のシーンを終盤に持って来ず中盤で行い、終盤で決闘シーンの謎解きの種明かしを行うという前代未聞の展開を持つ作品です。

また、ジョン・ウェインジョン・フォードがコンビで製作した最後の西部劇映画でもあります。


2.ストーリー

1)プロローグ

舞台はアメリカ西部の田舎町、シンボーンです。汽車で駅に降り立った上院議員ランス・ストッダード(ジェームズ・ステュアート)とその妻ハリー(ヴェラ・マイルズ)は、旧知の仲の引退した保安官リンク・アップルヤード(アンディ・ディヴァイン)と再会しました。

政界の大物の登場に町の新聞社は大騒ぎになります。突然の訪問の理由をしつこく尋ねる若い記者。ランスは友人トム・ドニファン(ジョン・ウェイン)の死を聞いて駆けつけたと答えました。

ランス達が葬儀社に移ると柩が安置されていて、部屋には夫妻の知人でトムの使用人ポンピー(ウディ・ストロード)が項垂れていました。悲しむランス達に記者は事情を教えて欲しいと食い下がります。そこでランスは自身がシンボーンに来たばかりの頃を語り始めました。


2)法律家の青年

西部開拓時代末期、シンボーンにはまだ鉄道も通っていません。学校を出たばかりの若手弁護士ランスは期待に胸膨らませ西部へやって来ましたが、3人組の無法者に襲われ大怪我を負ってしまいました。

 

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そんなランスを発見したのがトムとポンピーでした。彼らはランスをシンボーンまで運び、トムの恋人ハリーに手当てを頼みます。ランスは、そのまま食堂を経営しているハリーの家に身を寄せることになりました。

自分を襲ったのが名うての荒くれ者リバティ・バランス(リー・マーヴィン)の一味だと知り、法律で対抗しようとします。しかし西部でものを言うのは銃だとトムは忠告しました。

やがて傷が回復したランスは食堂を手伝うようになり、読み書きの出来ないハリー達に文字を教える約束をしました。


3)動き出した町

ランスは現状を変えるため、町の新聞社シンボーン・スター社の一室を借りて学校を開くことにしました。町の人々に合衆国の仕組みや選挙について解説します。

有権者の力が国を動かすと説くランスは、シンボーンが属する準州を州へ昇格させるため、ワシントンで開かれる連邦議会に代表者を送るべきだと語ります。

州に昇格すればシンボーンにも様々な発展が望めます。しかし利権を貪りたい大牧場主達は昇格に反対し、バランス達を雇って脅しをかけていました。トムが危険を指摘すると町の人達は慌てて教室を出ていきます。

ランスはバランスに立ち向かうため、嫌っていた銃の練習を始めました。トムは練習に付き合ってやろうと砂漠の自宅へランスを招きます。トムはいずれハリーと結婚するつもりで家の増築を行っていました。

そして後日、シンボーンの代表者を選出するため集会が開かれます。町の人々から推薦されたのはランスと、シンボーン・スター新聞社の編集長ダットン・ピーボディ(エドモンド・オブライエン)でした。そこへバランスが乱入し立候補しますが町の人々は彼に票など入れません。面目を潰されたバランスは、ランスに殺害予告を突きつけ一旦去っていきました。

 

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4)決闘の真実

その夜、宣言通りバランス一味がシンボーンへやって来ます。まず新聞社を襲撃した彼らはピーボディを半殺しの目に遭わせ、ランスを挑発します。

銃を手にしたランスはバランスとの1対1の決闘に挑みました。右腕を撃たれたランスは左手で必死に銃を構えます。鳴り響く銃声。倒れたのは意外にもバランスの方でした。町はバランスの死に沸き立ちました。

 

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ランスは食堂に戻り、ハリー達から治療を受けました。泣きながらランスを抱きしめるハリー。それを目撃したトムはハリーの恋心を察しました。酒場で泥酔したトムはポンピーに連れられて帰宅し、増築中の家に火を放って焼いてしまいました。

そして準州会議当日、ランス達はキャピトル・シティーへやって来ました。ランスは「リバティ・バランスを射った男」として英雄視され、準州代表に推薦されます。

しかし彼自身は人殺しを悔み、部屋から出ていきました。追いかけたトムは意外な真実を教えます。「あんたはバランスを殺してない」と言い出したトムによると、あの夜バランスを射殺したのは、少し離れたところからライフルで狙撃したトムだったのです。ハリーを大切にしろとランスの背を押しトムは去っていきました。

その後ランスは代表としてワシントンへ行き準州を昇格させ、知事を務めた後現在は上院議員の座についています。

 

5)それぞれの思い

全てを知ったスコット編集長(カールトン・ヤング)は、西部では、伝説が事実となるものだと言い、彼から聞いた話を書き留めたメモを破り捨てました。

ランスはポンピーに別れを告げ、トムの棺の上に飾られた、”サボテン・バラ”に目をやりその場を去りました。


6)エピローグ

帰りの汽車の中でランスは、次の法案後に引退して、シンボーンに帰ることを口にし、ハリーもそれを喜びました。

そして、汽車の快適さに感謝するランスに、車掌のジェイソン・タリー(ウィリス・ボーシェイ)は答えます。

「”リバティ・バランスを射った男”のためですから・・・」

ストダード夫妻は、複雑な表情を浮かべながら物思いにふけるのでした。

 

 

 

 

 


3.四方山話

1)評価

騎兵隊三部作の『アパッチ砦』(1948年)、『黄色いリボン』(1949年)、『リオ・グランデの砦』(1950年)のジェームズ・ワーナー・ベラの脚本作品です。

第35回アカデミー賞では、衣装デザイン賞に、イデス・ヘッドがノミネートされました。

考え方や態度は暴力的だが、強さを体全体で表すジョン・ウェインと、実直さと正義感をだけで行動し、経験不足から未熟さを露にするジェームズ・スチュアート、異なる人物像の対比で、ジョン・フォードは、強さと軟弱さの調和を見事に表現しています。

ジョン・フォード晩年の傑作西部劇となり、2007年、アメリカ議会図書館が、文化歴史また美学的見地から国立フィルム登録簿に登録しました。


2)ジョン・フォードの世界

舞台は、モニュメント・バレーではないものの、郷愁を誘う象徴として登場する”サボテン・バラ”や、フォード作品には欠かせないじゃじゃ馬娘、ゴミゴミした酒場の雰囲気や、シンプルな決闘、そして、他を圧倒するジョン・ウェインの独特な雰囲気と存在感など、一時も目を離せない場面が繰り広げられます。


3)アンチヒーロー

この作品でリバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンは、元来悪役専門のイメージが強かったのですが本作で主演のジョン・ウェインと渡り合う演技を見せ、悪役専門のイメージを払拭する事に成功し、一躍注目されスターダムにのし上がりました。


4)端役

その他、フォード一家の面々やウェインの前で子ども扱いされてしまうバランスの手下のリースを演じたリー・ヴァン・クリーフは、生まれ付いてのその鋭い目を活かし、『真昼の決闘』や本作などで悪役を演じ、重宝されましたが、イタリアに渡り『続・夕陽のガンマン』などのマカロニウエスタンで大ブレイクしました。

 

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4.まとめ

冒頭の、ランスの妻ハリー(ヴェラ・マイルズ)が見せた、トム・ドニファン(ジョン・ウェイン)の訃報に、過ぎ去った日の彼と、出来事に思いをはせた、沈んだ表情から、トムのハリーを大切にしろとランスの背を押し去っていくときの物悲しい表情に、抒情詩を感じさせてくれた作品でした。

 

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