映画『清須会議』歴史が動いた5日間の会議の後に、最後に笑うのは誰?!

この映画『清須会議』は、2012年に出版された三谷幸喜の小説を原作にし、監督三谷幸喜、主演役所広司、共演大泉洋他、豪華キャストの2013年に公開された日本の映画作品です。

目次

 

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1.紹介

題材は1582年に実際にあった出来事の清洲会議清須会議)を元にしたもので、三谷幸喜が17年ぶりに書き下ろした小説を自ら脚色し、メガホンをとって映画化しました。

本能寺の変織田信長が死去した後に、家臣の柴田勝家と羽柴(豊臣)秀吉らが後継者を決め、日本史上初めて合議によって歴史が動いたとされる清須会議の全貌をオールスターキャストで描いています。


2.ストーリー

1)プロローグ

天正10年6月2日(1582年6月21日)早朝、京都本能寺に滞在中の織田信長篠井英介)を家臣・明智光秀浅野和之)が突如謀反を起こして襲撃しました。

信長は寝込みを襲われ、包囲されたのを悟ると、寺に火を放ち自害して果て、信長の嫡男で織田家当主・織田信忠中村勘九郎)は、宿泊していた妙覚寺から二条御新造に移って抗戦しましたが、まもなく火を放って自刃しました。

この時、信忠は、妻松姫(剛力彩芽)に嫡男三法師(津島美羽)を、前田玄以(でんでん)に織田家の行く末を託しました。

これにより信長、信忠を失った織田政権は瓦解し、6月13日の山崎の戦いで光秀を破った羽柴秀吉大泉洋)が豊臣政権を構築していく契機となります。

そして、丹羽長秀小日向文世)の発案で、筆頭家老の柴田勝家役所広司)によって、織田家の後継者や領地配分を決める「清須会議」が招集されることとなりました。

 

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2)一日目

前田利家(浅野忠信)を引き連れて、意気揚々と清須にやってきた柴田勝家は、到着するなり、思いを寄せる信長の妹・お市の方(鈴木京香)に会いに行きます。

丹羽長秀と勝家は、信長の三男でしっかり者の信孝(坂東巳之助)を後継者にと考えていました。

一方、明智光秀の首をとり、織田信長の敵を討って調子に乗る羽柴秀吉も清須に到着します。きりきり舞いの勝家をよそに、のんびりと構える秀吉でした。一見、祭り気分な秀吉ですが、実は勝家を出し抜こうと策を巡らせていました。

秀吉は、次男で大うつけ者と噂される織田信雄妻夫木聡)を後継者として推薦しようと考えます。秀吉が、後継ぎとしてふさわしくない信雄を後継者に推したのには、深いわけがありました。実は家臣として織田家に付き従うのではなく、織田家を乗っ取り、自らが天下統一をはたそうともくろんでいました。

そして勝家と同じく、想いを寄せるお市の方のところへ出向く秀吉ですが、夫や息子を殺され恨みを持つお市の方から毛嫌いされ、贈り物を目の前で池に捨てられてしまいました。


3)二日目

すぐにでも会議が開かれると思われていましたが、滝川一益阿南健治)の到着が遅れて会議は延期になります。そこへ、秀吉の妻・寧々(中谷美紀)がやってきました。

一方、前の晩に秀吉と一緒に酒盛りをしていた勝家は、秀吉が信雄を推薦すると知り、世継は信孝だとアピールするため信孝のそばに常に付き添うことにします。そしてお市の方の娘と仲良くしている姿を秀吉に見せつける勝家でした。

お市の方が自分をいたく嫌っていると気づいた秀吉は、軍師・黒田官兵衛寺島進)の策で、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方に引き入れようと考えます。しかし変わり者の三十郎を味方につけるのは、一筋縄ではいきません。

そして次に目を付けたのが池田恒興佐藤浩市)でした。それは勝家も同じで、自分の味方に付くよう池田に頼みます。ストレートで古い考えの勝家とは違い、明るく大勢の者から慕われる秀吉です。どちらにつくかで、池田は悩みます。

 

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4)三日目

まだ到着しない滝川一益を待ちつつ、浜では信孝側と信雄側との旗とり大会が行われることとなりました。勝家が味方に引き入れていたと思っていた池田は、既に裏で繋がっていた秀吉側につき、勝家は憤ります。その様子を見て、池田はわざと勝負に負けてしまいます。

次に勝家と秀吉で旗とりをして、勝ったのは秀吉でした。最後に信孝と信雄が争います。信雄は走るのが早く、勝負は信雄が勝ったと思われましたが、旗をとらずに走って去っていきました。

勝負は信孝側が勝ち、あまりにも愚かな信雄に嫌気がさした秀吉は、その帰りに信忠の息子・三法師と出会います。本当であれば世継は信忠でしたが、戦で亡くなってしまいました。幼い三法師を見て、秀吉は世継を三法師に託そうと考えました。

一方、お市の方は、自分に好意を寄せる勝家を利用し、秀吉を失脚させようと試みます。そんなこととは知らずに、我を忘れてお市の方に入れ込む勝家に、長秀は「うつつをぬかすな」と注意しますが、恋は盲目と言わんばかりに勝家は全く聞き入れません。

 

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そんな時、秀吉は長秀に近づきます。秀吉は「自分の味方についてほしい」と頼みます。長秀は断りますが、言葉巧みに長秀を誘惑し、秀吉も心を揺さぶられました。


5)四日目

滝川一益は間に合わず、ついに勝家、秀吉、長秀と池田で話し合いが開かれることになりました。すっかり勝ったつもりでいる勝家の力説で、三男の信孝に後継が決まりそうになります。

しかし秀吉がすかさず、「本当に継ぐべきは信長の血を引き、信忠の血を引いている三法師様だ。」と言い放ちます。話し合いでは決まらず、ついに多数決をとることになります。

会議参加者は勝家を除いて皆、秀吉に同意しました。味方だった長秀までが秀吉側についてしまい、勝家は怒り出します。そして滝川一益が到着した時には、すでに会議は終了していました。後継人は信孝に決まりましたが、三法師に気に入られた秀吉が実質的に次の権威を振るうこととなりました。

その夜、秀吉がトップに立つことがどうしても許せないお市の方は、勝家に秀吉を殺すよう命じます。勝家は忍びの者を使って秀吉を殺そうと考えます。それを前田利家から聞かされ知った秀吉は、自分を殺そうとたくらむ勝家のもとに自ら出向き、「かくまってほしい」と頼みました。この行動に、勝家もついに降参します。


6)五日目

秀吉を殺すことにも失敗し、どうしても仕返しをしたいお市の方は、勝家と祝言をあげることにします。しかし何も知らない勝家は、お市の方を手に入れたことで自分が勝ったような気分になっていました。

そして城を出る秀吉に、三十郎が声をかけます。「織田信長が亡くなったときに、織田家の命運は尽きた」と言いました。


7)エピローグ

そして城を後にする勝家に、秀吉は両手をついて「これまでの無礼な振る舞いを許してほしい」と頭を下げます。

 

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秀吉は、こうやって勝家を安心させ、この先の力を蓄えようと策を企て、天下統一を目指して突き進んでいくのでした。

 

 

 

 

3.四方山話

1)コメディではなく喜劇

コメディではなく喜劇、と三谷幸喜監督はいいました。監督第6作となる本作は、少年時代から夢中になり、いつかは撮りたいと願っていた時代劇でした。

だからこそ、「大爆笑コメディにはならない」と知りながら、自筆の小説の映画化に挑み、監督としてのエポックメーキングになりそうな予感がするほど自信を深めました。


2)役所広司

本作の主人公、柴田勝家役について監督三谷幸喜は「映画.com」で

ただ間抜けな敗者にはしたくなかった。彼が言っていることや考えていることは子どもがちょっと大人になった程度の思考でしかないけれど、決して愚かな男にはしたくなかったんです。1人の武将としてのカリスマ性や凄み、強さ、優しさといったそれなりの魅力がなければいけないと思ったので、役所さんの勝家が見たいと思いました

その狙いは見事に的中して、役所は豪放な雰囲気を漂わせつつ、どこか間が抜けていて愛きょうたっぷりの勝家像を確立しています。

三谷監督も、役所のファーストカットとなった本能寺の焼け跡のシーンで、自身の選択が正解だったと確信し、以下のように言っています。

衣装を着けて来られた瞬間から、もうそこに勝家がいた。僕が欲しかった彼の生きざまや信長、長秀との関係が見えた。子どもの頃からずっと好きだった柴田勝家がきちんといたので、驚きであり感動だった。

3)大泉洋

シネマトゥデイ」での三谷幸喜監督のコメント

映画に出ていただくのは、ほぼ初めてです。というのは 『ステキな金縛り』のエンドロールに写真だけ出てもらったことがあって、現場にたまたまいたとき「出てください」とお願いして1カットだけ写真を撮らせていただいたからです。でも役がある芝居で、メインで出てもらうのは初めてです。大泉さんは、去年、舞台『ベッジ・パードン』で一緒になって、イメージが変わったんです。それまではいい意味でも悪い意味でも、バラエティー色が強い人だと思っていたんです。でも、芝居の基本的な部分がちゃんとしていて、すごく芝居ができる方なんだと思いました。秀吉には人の心をつかむ明るいお調子者の反面と、暗く冷たい反面がある。大泉さんもたまに陰気な顔になることがあるので、僕の考える秀吉になると思います。

そして、本作のイメージにこだわり、「映画.com」では

前略、今回は、僕のイメージに合わないものはやらない、使わないということは心がけていました。若干、(秀吉役の)大泉洋が調子に乗って何か言っていましたけれど、ほとんど却下していますね

と言っています。

 

4)お市と勝家

本作は、お市は秀吉への遺恨のために勝家に嫁いだとし、長秀に年下の嫁には年上の様に扱えといわせ、この結婚に溜飲を持たせています。

そして、恋争いに敗れた秀吉にエンディングで1年以内に勝家を滅ぼすと言わせたように、勝家とがお市夫婦であった期間は6か月ほどに過ぎませんでした。

 

5)歴史オタクのこだわり

当初、なんで、信雄の妻夫木聡の鼻を高くメイクされているのを不審に思いましたが、月代(さかやき)の大小や織田家の“遺伝子”である大きな鼻を統一するなど、登場人物は肖像画を基に細部まで徹底的にこだわっていて、信長の篠井英介なんぞ、教科書に載っている肖像画にそっくりに仕上がっています。

 

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6)他に

本作のように、羽柴秀吉による周旋や柴田勝家による反対は後世の創作で、実際には信長存命中より織田氏嫡流家督と天下人の地位を継がせる(信忠の次は三法師が後継者となる)方針があり、その方針に従ってその織田氏嫡流の後継者である三法師がいる清州城に織田氏の一族と重臣が集まって今後の方針を決める「清州会議」が開催されたとする説もあります。

 

4.まとめ

三谷監督の言う「コメディと喜劇の違い」は、笑いを追求するのと、笑いの中に人間を追求するということでしょうか、正に、いわんとするところが表現されたようです。

 

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