映画『ワイルド・アパッチ』バート・ランカスターの悲し気な眼差しがたまりません?!


この映画『ワイルド・アパッチ(Ulzana's Raid)』は、1972年公開の西部劇で、監督がロバート・アルドリッチ、製作、主演をバート・ランカスターブルース・デイヴィソン、リチャード・ジャッケル他が共演しています。

目次

 

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1.紹介

アメリカ西部開拓時代末期を舞台に、追い詰められたアパッチ族が実際に起こした最後の反乱「ウルザナの襲撃」を壮大なスケーるで描いた西部劇大作です。

既に西部劇の製作が減った時代で、公開当時はそれほどの評判にはならなかったのですが、時代を経て、1970年代を代表する西部劇とも言われる評価を得ることになった作品です。


2.ストーリー

1)プロローグ

1880年代、アメリカ西部開拓時代も末期に差し掛かった頃でした。原住民たちは騎兵隊の圧倒的な戦力の前に敗れ、インディアン居住区に押し込められていました。そんなある時、最後まで抵抗を続けるアパッチ族の戦士ウルザナ(ホアキン・マルティネス)が数名の仲間を引き連れてインディアン居留地から脱走したという知らせがローウェル砦に届きました。

指揮官のカートライト中佐(ダグラス・ワトソン)はベテラン斥候のマッキントッシュバート・ランカスター)に情報収集を任せ、まだ士官学校を卒業したばかりの若きデ・ビュイン中尉(ブルース・デイヴィソン)に追撃隊の編成を命じました。

 

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2)追撃の開始

マッキントッシュは、ウルザナのことをよく知るアパッチ族の協力者ケ・ニ・テイ(ホルヘ・リューク)をアドバイザーとして加え、デ・ビュインの追撃隊に同行します。

ウルザナの足跡を追う追撃隊は、途中でウルザナに襲撃されて生き残った農場の少年を保護、少年の母親と護衛につていた騎兵隊員の死体を発見します。マッキントッシュは死体の状況などから、母親はウルザナ一味に凌辱されるのを防ぐために護衛が射殺し、その護衛も惨殺されるのを恐れて自殺したものだと推測しました。

そして少年の農場からは、拷問の末に惨殺された少年の父親の死体が発見されました。信仰心の厚いデ・ビュインもウルザナの残虐非道ぶりに怒りを覚えます。

 

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3)銃撃戦の果てに

ウルザナを追う追撃隊は何の手掛かりを掴めず、次第に疲弊していきました。そんな時、はウルザナが追撃隊を難所に追い込もうとしていることを見抜きます。マッキントッシュとケ・ニ・テイは手分けして探索します。

マッキントッシュはウルザナの仕掛けた罠に気付き、裏をかいてウルザナたちを待ちかまえ、アパッチの男二人を射殺しました。一人の男はウルザナの息子であり、ウルザナに恨みを持つ兵士たちはウルザナの息子の死体を凌辱しようとしましたが、デ・ビュインは丁重に埋葬するように命令します。

 

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その後、追撃隊は馬を補充しようと近くの農場に立ち寄るも、そこは既にウルザナたちに襲撃された後でした。農場主は凄惨な拷問の末に惨殺され、夫人は強姦され、生きたまま放置されていました。

マッキントッシュは夫人があえて生かされていたのは彼女をローウェル砦に送り届けようとするところをウルザナたちが襲撃する手筈だろうと予測しました。その裏をかき夫人を囮にしてウルザナに奇襲を仕掛けようと作戦を練りました。

マッキントッシュと軍曹(リチャード・ジャッケル)は部隊の半数を引き連れて夫人と共に砦に向かい、デ・ビュインは残りの部隊と共にウルザナ一味がいる山へ向かいます。ケ・ニ・テイは一人取り逃がした残りのアパッチを追いました。

マッキントッシュの隊はウルザナたちの襲撃を受け、激しい銃撃戦となります。軍曹は射殺され、マッキントッシュも瀕死の重傷を負い絶体絶命と思われたその時、デ・ビュインら追撃隊が救援に駆け付けました。ウルザナたちはほぼ全滅し、一人逃げ出したウルザナもケ・ニ・テイに射殺されました。


4)エピローグ

自らの死期を悟ったマッキントッシュは連れて帰ろうとするデ・ビュインに置いていくよう指示します。デ・ビュインはマッキントッシュに別れを告げ、部隊を率いて砦に出発、ケ・ニ・テイはウルザナらの埋葬に向かい、一人残ったマッキントッシュは最期のタバコに火をつけました。

 

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3.四方山話

1)物語

本作は、実際に起きたアパッチ族の襲撃事件を基にアラン・シャープが脚本を担当しました。1956年公開の『捜索者』から強い影響を受けていて、シャープは本作について「世界の悪意と恐怖に直面した人々を寓意的に表現しようとした」と語っています。

登場するウルザナは、アリゾナ州で蜂起したジェロニモと同時代に実在したアパッチ族の戦士でした。


2)撮影

撮影はアリゾナ州のコロナド国立森林とノガレス、ネバダ州のバレー・オブ・ファイア州立公園で行われました。製作にはランカスターも参加したため、アルドリッチ編集版とランカスター編集版の二種類のバージョンが存在します。両方のバージョンに大きな差異はありませんが、細かい会話のシーンに差異が存在しています。


3)評価

ジーン・シスケルは、本作を「1972年公開の映画ベスト10の一つ」と評価し、ニューヨーク・タイムズのヴィンセント・キャンビーも「1972年のベスト映画の一つ」と評価しています。

批評家のエマニュエル・レヴィは、「1970年代最高の西部劇映画であり、他の作品と比べて過小評価されている作品の一つでもある」と述べています。


4)バート・ランカスター

本作では、白人世界とインディアン世界の間に立つ「通訳」の役を担っています。このような難しい役を当時こなせるアメリカの俳優というとやはり彼しかいません。

ちょっとハズレますが、L. ヴィスコンティ作の『山猫』(1963年)では、自身が所属する貴族階層が市民革命の前に没落していく運命をある種の諦観と矜持を持って受け入れる深みのある役を、華麗にワルツを舞い、見事にこなしたランカスターでした。だからこそ、本作のラストシーンもまたそういう次元の重みが出てくるのです。


5)アンチヒーロー

「悪役」のアッパチ族のウルザナは、有名なジェロニモと同時期の実在の人物で、実際に1885年に居留地から逃亡して、いわば、強奪と殺戮の限りを尽くすのですが、実際にはこの時騎兵隊に追われながらもメキシコへ逃切るのでした。しかしながら、映画では別のストーリー展開となっており、そこに監督のロバート・アルドリッチと脚本家のアラン・シャープの制作意図も感じられます。

ウルザナの最期はまさに武士の切腹の姿でしたがその意味がイマイチ理解できませんのですが。


4.まとめ

洋の東西、古今を問わず、戦争ものによくあるプロットの一つとして、士官学校をポット出の若い将校が老練な斥候の下に、実戦経験を積んで成長して一人前になっていくという、いわば、教養小説(ドイツ語でいうビルドゥングスロマーン)的展開でなので、筋的にはオーソドックスの極みではありましたが、何といってもバート・ランカスターです。渋く抑えて深みのあるマッキントッシュにシビレました。

 

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