映画『シノーラ』巨匠ジョン・スタージェスによるマカロニ・ウエスタンです?!

この映画『シノーラ(Joe Kidd)』は、監督ジョン・スタージェス、主演クリント・イーストウッド、共演ロバート・デュヴァルなどによる、1972年に製作されたアメリカの西部劇映画です。

目次

 

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1.紹介

ウェスタンの巨匠ジョン・スタージェス監督と前作『ダーティハリー』(1971年)で映画ファンの心を捉え一気にトップスターとなったクリント・イーストウッドがタッグを組んだ作品です。

悪党をはじめ誰をも寄せ付けない雰囲気の出せるクリント・イーストウッドの魅力は十分に生かされていて、イーストウッドが画面上に居れば全てがまとまるような存在感を見せてくれます。

それだけに、この彼頼みの内容もファンとしては悪くはないのですが、数々の名作西部劇、アクションなどを手掛けたジョン・スタージェスの演出に今一つが足りなく感じなくもありません。


2.ストーリー

1)プロローグ

20世紀初頭のニューメキシコ準州、シノーラで、元賞金稼ぎのジョー・キッド(クリント・イーストウッド)は、留置場に入れられていました。

同房の者がアメリカ人であるキッドに嫌がらせをしますが、翌日、裁判のために留置場を出るときにキッドはしこたま仕返しをしたのでした。

キッドは、ボブ・ミッチェル保安官(グレゴリー・ウォルコット)に連れられ、裁判所に向かいます。そこで、判事から罰金10ドルで釈放か、または10日間の拘留を言い渡されました。

拘留を選んだキッドでしたが、そこにメキシコ人の山賊ルイス・チャマ(ジョン・サクソン)が手下達と共に現れ判事に迫ります。

牧場主に奪われた土地の所有権を2年も争っているチャマは、証明書が焼失したという話に納得いかず、ミッチェルを手錠でつなぎ、腹いせにその場にあった書類を燃やして立ち去りました。


2)大地主とその使用人

キッドは酒場に向かいましたが、留置場で痛めつけたチャマの手下が追いかけてきたところを待ち構えて殺しました。

 

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ミッチェルは、チャマを捕らえるために捜索隊を編成し、腕の立つキッドを誘いますが断られ、その後、チャマを捕らえることができなかったミッチェルは町に戻りました。

雑用をさせられていたキッドは、自分の罰金を払ったという、町に現れた大地主フランク・ハーラン(ロバート・デュヴァル)に呼ばれます。

ハーランの部下のロイ・ギャノン(ポール・コスロ)に待つよう言われたキッドは、ハーランの愛人エルマ(リン・マータ)に声をかけられて彼女に迫ります。

現れたギャノンに呼ばれたキッドはハーランの元に向かうと、猟師だというギャノン、ラマー・シムズ(ドン・ストラウド)、オリン・ミンゴ(ジェームズ・ウェインライト)らの銃の腕前などを聞かされます。

チャマを仕留めることがハーランの目的であり、腕を買われたキッドは500ドルの報酬を提示されるものの彼はそれを断りました。

その後、釈放されたキッドは、自分の牧場がチャマ一味に襲われ馬を奪われたことを知り、ハーランの元に向かい報酬1000ドルで仕事を受けることになりました。

 

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3)追撃開始

キッドはシムズに脅されますが、ハーランが自分に手出しさせないことを知っているため相手にしません。

キッドらを伴い町を出たハーランは、待ち構えていたメキシコ人数人に探りを入れ、さらには、シムズらに遠ざかるメキシコ人を銃撃させ、生き残った一人にチャマの居場所を問い詰めます。

しかし、メキシコ人は何も答えないためにシムズに射殺されました。

山岳地帯の小屋に着いたハーランらは、チャマ一味のヘレン・サンチェス(ステラ・ガルシア)がいたためその場に居座ります。

ヘレンと話しをしたキッドは、チャマが信念のために生きる男だと言われます。また、自分の牧場を襲ったのが彼の手下である可能性を知りました。

ハーランはヘレンを連れてその場を離れ、途中、待たせていた援軍の男達と合流しました。

 

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4)キッドの解雇

ある村落に着いたハーランらは、岩山から銃撃されたため身を隠します。そこで、教会から出てきた司祭(ペペ・ハーン)に人々を集めさせたハーランは、翌日の日の出までにチャマが現れない場合は5人を殺すと警告します。

さらに、昼までに5人、更に夜までに5人を殺すというハーランは、その後もそれが続くと岩山に向かって叫ぶのでした。

ハーランは、少年を岩山に向かわせて、警告が伝わったかを確かめようとします。

すでに用が無くなったキッドは、ハーランに解雇され、ギャノンが彼の銃を奪いシムズが丸腰のキッドを挑発します。しかし、キッドはシムズを叩きのめし、教会に向かって、内部を調べ、司祭に武器があるかを尋ねます。

その後キッドは、ヘレンが作った食事を村人達のために教会に運びます。夜が明けて、キッドは司祭から隠してあった銃を渡され、見張りを交代したシムズを殺して彼に扮してその場に陣取りました。

教会の下にいた見張りを倒して建物を下りたキッドは、ハーランが村人5人を教会から出す様子を見守ります。

キッドはヘレンの元に向かい、銃を手に入れて彼女を連れ出し、村人が銃殺される寸前で銃を乱射してそれを阻止しました。

銃撃戦が始まり、ハーランらの馬を放したキッドはヘレンと共に岩山に向かいます。

 

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5)対決の場へ

チャマは、自分が生きていなければこの戦いを解決できないと言って、村人を助けられないことをヘレンに伝えます。キッドは、シノーラに戻り出頭して裁判を受けることないと言いますが受け入れられません。

キッドは、チャマに銃を向けて自分に従わせ、ハーランにチャマがシノーラの留置場にいると伝えました。

途中、岩の上のミンゴに狙撃されたキッドは、奪ってあった猟銃を組み立てて彼を一撃で倒しました。

 

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列車でシノーラに戻ったハーランはエルマの元に向かい、現れたミッチェル保安官の話も聞かずにチャマを翌日引き渡すよう要求しました。

町に着いたキッドは、チャマを留置場に向かわせて、自分の牧場を襲った男を先に進ませ、彼が殺される様子で敵の考えを探ります。

列車を動かしたキッドは、駅を通り過ぎて脱線しながら酒場に突っ込み、その場にいたギャノンらを殺しました。

銃撃戦が始まり、キッドは裁判所でハーランを追い詰めて銃を向けます。キッドはハーランを容赦なく射殺し、現れたミッチェルを追い出します。

チャマは、キッドから幸運を祈ると言われ銃を捨てて留置場に向かいました。


6)エピローグ

全てが終わり何かできることがあるかとミッチェルに尋ねられたキッドは彼を殴り倒して、お返しをします。

やり過ぎだというミッチェルに、次は頭を吹っ飛ばすとと言い残したキッドは、ヘレンを連れて町を出て行きました。

 

3.四方山話

1)副題

ウェスタンの巨匠ジョン・スタージェス監督作品ですがマカロニ・ウエスタンのテイスト満載となった本作は、1975年11月5日、日本テレビ水曜ロードショー』でテレビ初放送された際には『荒野の用心棒2』の副題が付けられました。邦画の題名によくみられるあざとい発想です。


2)ご縁?

黒澤明監督の『七人の侍』をリメイクした西部劇『荒野の七人』(1960年)を撮った監督がジョン・スタージェスでした。そのストーリーの大枠は原案通り、侍ならぬガンマンが農民を助けるという構図でした。

そのスタージェス監督によって1972年に発表された本作も、ある白人アメリカ人がメキシコ人農民を心ならずも助けるというもので、1964年のマカロニ・ウェスタンの『荒野の用心棒』を知っている観衆は、しかもその主人公であるクリント・イーストウッドが本作の主人公でもあれば、当然本作でもマカロニ・ウェスタンのタッチをイメージする訳で、実際本作は、アメリカ製にも関わらず、マカロニ臭がぷんぷんします。

やはり、イーストウッドが演じるところの、非道徳とは言えないまでも、期を見るのが早くて打算を働かせながらも、ある種のシニカルさを含ませたハードボイルドな主人公キッドの振る舞いに理屈抜きに惹かれます。


3)戦いの場

冒頭で裁判所を否定したチャマがキッドの説得に易々と出頭し、大地主のハーランもあっさりと同意します。法律を使い裁判で問題を解決するのかと思いますが全くそんなことはなく、ただ法廷の前で銃を撃って殺し合いで解決するという結末には唖然とします。法廷で戦えというのは、銃撃戦をする場所のことだったのかとすっかりと騙されました。

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4)イーストウッド

本作では、なんだかイーストウッドがもったいなく、役者はいいのにキャラクターづくりで曖昧なまま流してしまった感じです。往時のイーストウッドって、どうしても「名無し」や「ダーティーハリー」のイメージが強く、正義漢っていうより、一本筋の通った悪党、という感じです。


4.まとめ

話の展開が強引で、アクションも大したことないし、カウンタヒーローや無法者に魅力が無く、もう一息の映画ですが、雄大な自然の背景やロングショットの綺麗さなど映像的には楽しめるので、その部分だけは見ごたえがありました。

 

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