映画『アイガー・サンクション』クリント・イーストウッドが自ら出演しました?!

この映画『アイガー・サンクション(The Eiger Sanction)』は、トレヴェニアンの同名の小説を原作にして、1975年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス・アクション映画です。クリント・イーストウッドが監督、主演を務めた。山を舞台としたスパイ映画で、数多くの登山シーンがあります。

目次

 

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1.紹介

大学教授にして登山家でもある元殺し屋が、新たな”制裁”(殺人)に絡む陰謀に巻き込まれる姿を描いています。

前段のアメリカのモニュメントバレーのビュート(岩山)、クライマックスはアイガー北壁を登攀します。ロック・クライミングやアイガー北壁を舞台にした映画は今でこそ数ありますが、当時は珍しくそれだけで貴重な作品でした。


2.ストーリー

1)プロローグ

街で何者かからフィルムを受け取ったアンリ・バックという男が家へ帰ると、家に隠れていた二人組の強盗が突如現れ、フィルムを盗み、男を殺して家を去っていきました。

大学の人気講師であるジョナサン・ヘムロック(クリント・イーストウッド)が授業を終え自室へに戻ると、そこに男が座っています。ヘムロックはかつて諜報機関に所属する殺し屋であり、その男はかつての上司ドラゴン(セイヤー・デイヴィッド)が遣わした男でした。


2)最初のサンクション

ドラゴンに呼ばれたヘムロックは、彼の事務所へと向かいます。そこには色素欠損症のために、細菌のない特別な部屋に隔離されたドラゴンが待っていました。ドラゴンはヘムロックに、殺された部員の為に敵をサンクション(制裁)して欲しいと頼みます。しかし、すでに引退していたヘムロックはそれを断りました。

ドラゴンはヘムロックが違法に所持している絵画のコレクションをネタにヘムロックを脅し、一人だけという条件と絵画所持の正式な証明書の発行という条件で、最終的に任務へとつかせるのでした。

ヘムロックは配達員を装って目的の人物の家へと潜入すると、あっさりと男を殺しました。


3)第2のサンクション

帰りの飛行機の中、ヘムロックはジェマイマ・ブラウン(ヴォネッタ・マッギー)という美しい客室乗務員と出会います。飛行機を降り、彼女を家へと招くとその晩、彼らは男と女の関係になりました。

 

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その翌朝、すでにいなくなったジェマイマから突然電話がかかってくると、彼女はヘムロックに、ドラゴンにすぐ連絡をしろと言い、ジェマイマは諜報員だったのです。

ヘムロックは、再びドラゴンの元を訪れました。ドラゴンはヘムロックに、もう一人犯人がいるから殺して欲しいと依頼しますが、ヘムロックはそれを断ります。しかし、殺されたのはヘムロックの親友でもあったアンリ・バックだという事実を知ると、ヘムロックはその依頼を渋々引き受けるのでした。

犯人は登山家で、足が悪く片足を引きずっていて、この夏にアイガーという山に登るという情報を得た諜報部は、ヘムロックにアメリカ代表としてこの山登りに参加して欲しいと言うのでした。

家に帰ったヘムロックをジェマイマが待っていました。彼女は、盗まれたフィルムは細菌戦の作戦プランなのだと言うのです。


4)モニュメントバレーの登山学校

かつて登山をしていたヘムロックは、任務に向けて再び練習を開始するため、親友のベン・ボウマン(ジョージ・ケネディ)の登山スクールに参加します。ヘムロックはベンに、アイガーを登るのだと告げると、ベンも登山隊長として参加するのだと答えました。

 

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教官であるジョージ(ブレンダ・ヴィーナス)という女の指導の元、厳しい訓練がスタートします。そんな中、マイルズ・メロー(ジャック・キャシディ)という男がヘムロックの前に現れました。

マイルスは盗まれたフィルムを運んだという疑いをかけられています。マイルスはバックを殺したのは自分ではないとヘムロックに言い張り、さらには本当の犯人を知っていると言い出しました。

訓練は日に日に厳しさを増していきます。ある夜、ヘムロックの元へとジョージが訪れます。ジョージはヘムロックの隙を見あ計らってヘムロックを襲い、注射を打とうとしました。

意識を取り戻したヘムロックは、マイルスの仕掛けたことと疑い、マイルスを呼び出します。そして、マイルスを連れて広大な砂漠の真ん中へと向かい、そこにマイルス1人きりを残して去っていくのでした。


5)明かされた真実

ヘムロックは、アイガー登頂のためスイスへ向かいます。ベンは政府の調査員が突然訪れたこと、マイルスが砂漠の真ん中で死んでいた事を不思議に思い始めていました。

ヘムロックはホテルで登山チームの他のメンバー達と会う。結局登山前に犯人は見つからず、ヘムロックはアイガーへの挑戦を余儀なくされました。

登山直前、諜報機関から遣わされた男がヘムロックの元へとやってきました。お金と銃を受け取ったヘムロックは、メンバー内に確実に犯人がいることを伝えられ、いよいよ登山へと向かうのでした。

遣わされた諜報員の男はジェマイマに、アンリ・バックが殺されたのは全て筋書き通りだと語ります。細菌戦の作戦も敵の手に渡ったと思わせていますが、あれは偽物だと言いいました。

偽物を盗ませておいたままでは、怪しまれる恐れがある為、カモフラージュのためにヘムロックにサンクションを頼んだのでした。


6)登攀開始

メンバー内に犯人がいるのか、そんな疑いを持ちながら何も知らないヘムロックはメンバー達と山を登ります。そんな中、リーダーが踏み落としてしまった岩に頭を打たれたメンバーの一人が意識を失いました。

それをヘムロックともう一人のメンバーが無事に救い出します。しかし、この事故をきっかけにメンバー達の雲行きはどんどん怪しくなっていくのでした。

 

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基地で戦況を見守っていたベンは、天候の異変に気づきます。フェーンという暖かい空気が急に凍る現象がくるというのです。そうなると登山はおろか命の危険さえあるのです。

結局ベンの悪い予感は的中し、フェーンによって岩肌は凍りつき、滑りやすく登りづらい状況になってしまいました。

そんな中、落石を受けたメンバーが死んでしまいます。ヘムロックはこれ以上の前進は不可能だと判断し下山を提案しました。一行はそれを受け入れ遺体と一緒に下山するのでした。

下山途中、メンバーの一人が足を滑らせてしまいます。それを助けに向かったヘムロックでしたが、結局巻き添えとなり、ヘムロックは助かったものの残りのメンバーは全員落ちてしまいました。


7)救出と告白

山の途中にあるトンネルの前でぶら下がって身動きが取れなくなってしまったヘムロックの前に、足を引きずったベンが現れます。それを見たヘムロックは、ベンが犯人なのだと悟りました。しかしながら、ベンはヘムロックを助け出すのでした。

 

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下山用の電車の中で、ベンは自分が犯人だとヘムロックに告白します。当初殺すつもりはなく、フィルムを盗むだけのつもりだったが、もう一人の犯人が殺してしまったのです。ベンは娘のジョージの麻薬中毒をマイルスに救ってもらった恩があったのでした。

地上に帰ると、ドラゴンから電話がかかってきます。ドラゴンは犯人が誰なのか知らないまま、メンバー全員が死んだ事で犯人が死んだのだと思い込み、喜んでいました。結局ベンはヘムロックを助け、ヘムロックはベンを救うのでした。


8)エピローグ

ヘムロックの下山を待ち遠しく待っていたジェマイマは、ヘムロックに、“三人をわざと殺したの”と聞きます。彼は何も答えませんでした。

 

3.四方山話

1)制作

イーストウッドドン・シーゲルに監督を要請しましたが、断られたので自ら監督することになりました。そして、本作は元々ポール・ニューマン主演で企画されていたそうです。

山岳アクションの先駆的作品で、さすがはイーストウッド、目の付け所がまことによろしいと言うしかありません。

さらに、イーストウッドは、CGやスタントを使わず、すべて実際に登山しているそうです。


2)アイガー北壁

アイガー(3,970m)は、ユングフラウ、メンヒと並び、いわゆるオーバーラント三山の1つとされています。

アイガー北壁は高さ1,800mの岩壁で、グランド・ジョラスの北壁、マッターホルン北壁などとともに、困難な三大ルートの1つとして知られ、アルプスの三大北壁と呼ばれていいます。

アイガーの北壁は、1934年から1958年までに25回の登頂が試され、13回67名が登頂に成功しましたが、15名の死者が出ています。


日本では、1965年8月16日に高田光政が日本人初登攀しましたが、登頂まであと300mというところで、パートナーの渡部恒明が墜落・負傷したため救助を求めるために山頂を経由した際に達成しました。

しかし渡部はその間に謎の墜死を遂げました。一説には骨折の痛みと孤独に耐えきれずに自らザイルを解いたとも言われていて、これを元に新田次郎が「アイガー北壁」という小説を書いています。

 

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3)ジョージ・ケネディ

ベン・ボウマンを演じたのは、愛すべき偉大なバイプレーヤーのジョージ・ケネディです。

ニューヨーク生まれで、父ジョージ・ハリス・ケネディは、ニューヨーク・プロクター劇場のオーケストラ指揮者でしたが、ジョージが4歳の時に亡くなりました。母ヘレンはバレエ・ダンサーでした。

早くも2歳の頃から舞台に出演し、後にラジオで活躍しました。第二次世界大戦中に従軍して16年間所属し、最終階級は大尉でした。

除隊後、エンターテイメント業界に戻り、テレビ・シリーズのテクニカル・アドバイザーとなりましたが、テレビや映画に出演するようになり、1967年の『暴力脱獄』でアカデミー助演男優賞を受賞しました。

当初は悪役として有名でしたが、1970年代に制作された多くのパニック映画に救世主的な役割で登場しました。特に、『エアポートシリーズ』全作品に出演して、職業は異なりますが、役名は全て同じジョー・パトローニでした。

日本映画にも『人間の証明』、『復活の日』などに出演していて、吹き替えは、若山弦蔵小林清志、大宮悌二 富田耕生 が担当しました。

 

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4.まとめ

モニュメントバレーやアイガー北壁の登攀に見ごたえがあり、標的が誰なのかさんざじらしたあげく、寒さのために最後に現れるという結末は、見事というしかありませんでした。

しかしながら、イーストウッドジョージ・ケネディのロッククライミングなんぞ似合わないとは思うのですが...

 

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