映画『氷の微笑』当時の超話題作です?!

この映画『氷の微笑(Basic Instinct)』は、監督ポール・バーホーベンで、主演はマイケル・ダグラス、共演シャロン・ストーンの1992年アメリカ合衆国の官能ミステリー映画です。

目次

 



1.紹介

殺人事件を接点としながら、その職業にそぐわない様な主人公2人が、なるべくして関係を持つという、サスペンス映画としてはありがちな展開と、ご都合主義、思わせぶり的な過剰描写がやや気になるものの、ポール・バーホーベンのテンポのよい演出と、正当な”謎解き”を惑わせるような巧みな編集によって、飽きずに見られる内容に仕上がっています。


2.ストーリー

1)プロローグ

アメリカ・サンフランシスコで、元ロックスターで現在は人気クラブの経営者であるジョニーが自宅で殺害されました。ジョニーは全裸でベッドに縛られ、アイスピックで滅多刺しにされています。

現場の状況から、女性と性交渉を終えた直後に殺されたものと判断されました。ジョニーの恋人と噂されている作家のキャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)は昨夜ジョニーの店を訪れており、ニック・カラン(マイケル・ダグラス)と相棒のガス・モラン(ジョージ・ズンザ)はキャサリンに話を聞きにいきました。

キャサリンはジョニーとはセックスだけの関係で、昨夜はその気にならなかったので店から直接帰ったと主張しまする。ニックとガスは彼女のふてぶてしさに驚くのでした。

 



2)美人作家!

その後キャサリンがこの事件そっくりの小説を書いていることがわかり、彼女は警察署に呼ばれました。

キャサリンは全く動じることなく取り調べに応じ、ノーパンにミニスカートでやたらと足を組み替えます。嘘発見器も反応を示さず、彼女はすぐに釈放されました。

キャサリンはなぜかニックに挑発的だったので、モヤモヤしたニックは禁酒をやめて酒を飲み、別れたベス・ガーナー(ジーン・トリプルホーン)を抱きました。ベスは自分とキャサリンが大学の同窓生だったことをニックに話します。

翌日。キャサリンの在学中に大学の教授がアイスピックで殺されていたことがわかります。ガスたちはキャサリンの過去を洗い始め、ニックはキャサリンの尾行を開始しました。


3)官能作家?

キャサリンが訪れた家の女性は3人の子供と夫を衝動的に殺害した前科がありました。さらに殺された大学教授は彼女のゼミの教授だったこともわかり、キャサリンへの疑惑はますます深まってきました。

キャサリンはニックをモデルにして危ない女に恋をした刑事が最後に殺される小説を書こうとしていました。

キャサリンはニックの過去を根掘り葉掘り調べており、ニックはベスにしか話していない事実までキャサリンが知っていることに激昂します。

ベスを問いつめると、極秘の資料は内務捜査部のニールセン(ダニエル・フォン・バーゲン)だけに見せたと白状し、ニックは署内でニールセンに殴りかかります。ニックは休職処分となり、その夜ニールセンは何者かに頭を撃ち抜かれて殺害されました。

容疑者として取り調べを受けていたニックをベスが救ってくれました。

キャサリンはニックの自宅にまで姿を見せ、ニックをクラブへ誘います。ガスはキャサリンに個人的興味を示しているニックのことを心配していました。

クラブでキャサリンはニックを官能的に誘惑し、ニックの我慢も限界に達します。その夜2人は激しく愛し合い、その様子をずっとロキシーレイラニ・サレル)が覗き見ていました。バイセクシャルのキャサリンロキシーともレズビアンの関係にあったのです。

 



4)嫌疑?

次の日の夜、ニックは何者かに車でひき殺されそうになります。ニックは自分をひき殺そうとした黒い車と激しいカーチェイスを繰り広げ、黒い車はクラッシュします。運転していたのはロキシーでした。第一発見者のニックは、ますます上司や同僚から怪しまれることになりました。

キャサリンロキシーの死にショックを受けて泣いていました。ニックはそんなキャサリンを優しく慰めます。ロキシーにも衝動的に幼い2人の弟を殺害した前科がありました。

キャサリンが大学時代に一度だけ寝た女が、彼女を執拗に追い回していたことがわかり、ニックはその女について調べてみました。その後の調べでリサ・ホーバマンというその女性が、改名前のベスだったことがわかってきました。

ベスは“キャサリンが私を追い回していた”と全く逆のことを言います。キャサリンからそのことはバークレイの警察に話してあると聞き、ニックは真実を確かめに行きます。しかし当時の資料は1年前からニールセンに貸し出されたままでした。ニックは一連の事件の犯人がベスではないかと疑い始めます。

その後に、ベスの離婚した夫が数年前に銃で撃たれて死亡していたことがわかり、その情報をニールセンが握っていたことも判明します。ベスの夫とニールセンは同種の銃で撃ち殺されており、ニックの疑惑は確信に変わりました。

 



5)真犯人?

キャサリンはニックをモデルにした新しい小説を書き上げニックに別れを告げます。印刷中の原稿には“相棒の刑事はエレベーターの中で息絶え、女が彼を殺す”という一文がありました。

ガスはキャサリンの昔のルームメイトを見つけたと言って、ニックとその女性が住むビルへ向かいます。ガスは休職中のニックを車に残して、1人で建物内へ入って行きました。しばらくしてニックはキャサリンの小説のあの一文を思い出し、急いで建物内へ入ります。4階で停止していたエレベーターの中にはアイスピックで滅多刺しにされた血まみれのガスがいました。

ニックはすぐに犯人を追う。すると廊下にはベスが立っていました。銃口を向けるニックを見て、ベスは“留守電にここへ来るようガスのメッセージが入っていた”と言いました。

しかしポケットに手を入れたベスを見て、ニックはベスを撃ち、ベスは「愛していたのに」と言い残して息絶えます。ポケットにはニックの部屋の合鍵が入っていました。

その後非常階段からブロンドのかつらや凶器のアイスピックが発見され、ベスの部屋からはキャサリンの写真や小説が見つかります。警察は一連の事件の犯人をベスと断定しました。


6)エピローグ

それからしばらくして、ニックが家に帰るとキャサリンが来ていました。愛する人を次々と失ってきたキャサリンは、ニックまで失うことが怖くて別れを告げにきたのでした。そのまま2人は激しく愛し合うのですが、ベッドの下にはアイスピックが隠されていました。

 



3.四方山話

1)話題作

本作は、オープニングから繰り広げられる、ショッキングなセックスシーンから行われる殺人、そしてキャサリンシャロン・ストーンが、警察の取り調べを受ける際に、椅子に座って足を組みかえるシーンが、世間の耳目を攫いました。

そのシーンのシャロンが、タイトスカートでノーパンという装い故に、「ヘアが映る」「股間が見える」というのが、センセーショナルな話題となったのです。

ストーンは足を組み替える伝説のシーンを振り返って、監督に騙されていたことを告白しています。

「監督に“白いから光が反射している”と言われたの。だから下着を脱いだ。それで撮影監督から“何も見えてない”と言われたのよ。当時はモニターが今より性能が良くなかったから、そのシーンを再生して見せてもらったときは何も問題がないように見えたの。」と振り返っています。

「考えに考えて、あのシーンを映画に入れることを許したの。理由は、この作品とキャラクターにとって正しいことであって、結局のところ、私がやったことだから。」とストーンは回顧録「The Beauty of Living Twice」に綴っています。


2)製作準備

世界的な大ヒットとなった本作は、製作準備の段階から、何かと話題となっていました。まずは、脚本で、手掛けたのは、『フラッシュダンス』(1983年)『白と黒のナイフ』(1985年)などのヒット作がある、ジョー・エスターハスです。彼が書き上げた本作の脚本の獲得に、8人ものプロデューサーが名乗りを上げて、争奪戦が起こりました。

値段はどんどん吊り上がり、買い手は1人また1人と脱落していき、その中で、最終的に300万ドルという、当時としては「史上最高」となる脚本料が付いて、落札となりました。

もちろん、本作脚本を詳細に検討しても、ディティールの粗さなど、果して「史上最高」の価値があったのかどうかは、大いに議論となるところながら、その脚本料故に、ハリウッドでの本作への注目度が並大抵のものでなかったようです。


3)カロルコ・ピクチャーズのその後

「史上最高」の300万ドルを支払ったのは、独立系の映画製作会社「カロルコ・ピクチャーズ」でした。

「カロルコ..」は、マリオ・カサールとアンドリュー・G・ヴァイナによって1976年に設立され、1982年に、シルベスター・スタローン主演の『ランボー』第1作から製作活動を本格化し、1990年には『トータル・リコール』、1991年には『ターミネーター2』と、絶頂期のアーノルド・シュワルツェネッガーを主演させた、メガヒット作を立て続けに放っていました。

これらの大作映画により10年以上にわたって成功を収めてきましたが、『カットスロート・アイランド』(1995年)、『ショーガール』(1995年)の失敗により倒産しました。


4)監督と主演女優

監督ポール・バーホーベンは、オランダで数々の問題作を発表後、1980年代後半にアメリカ映画界へと渡ったバーホーベンは、『ロボコップ』(1987年)『トータル・リコール』(1990年)と、監督作が連続ヒットを記録し、本作を手掛けた辺りが、ハリウッドに於ける絶頂期でした。

「カロルコ..」、マイケル・ダグラス、バーホーベン、1990年代はじめのハリウッドに於いては、まさにブイブイ言わせている面々が集まって、いよいよ物語の“肝”となる、キャサリン・トラメル役を決める段となりました。

バーホーベンの意中の女性ははじめから、監督前作の『トータル・リコール』に出演していた、シャロン・ストーンだったそうで、『トータル..』でのシャロンは、シュワルツェネッガー演じる主人公の妻にして、実は敵の回し者という役どころでした。

ところが「カロルコ..」側からは、「もっと大スターを使いたい」との注文がついて、当時のシャロンは、デビュー以来10年以上もブレイクしないまま、三十路を迎えた、“B級ブロンド女優”に過ぎなかったのでした。

また、シャロンが1989年に主演したスペイン映画『血と砂』を観たマイケル・ダグラスも、「カロルコ..」の主張に与し、「あんなひどい映画に出ている女優と共演すると自分の人気に傷がつく」というのが、その理由でした。

そのためバーホーベンは、100人もの女優と面接するハメになり、イザベル・アジャーニジュリア・ロバーツキム・ベイシンガーミシェル・ファイファーニコール・キッドマンジーナ・デイヴィス等々、錚々たる顔触れが並びましたが、当然ながら、裸のシーンが多く、悪女のイメージが強いキャサリン・トラメルを演じるのに、前向きになる者は少なかったのです。

そこでバーホーベンは、4ヶ月掛けてプロデューサーたちを説得し、遂にはシャロンの起用に成功しました。

この役がダメだったら、女優をやめようと考えていたというシャロンにとって本作は、まさに「最後の挑戦だった」のです。

ヒッチコックの『裏窓』(1954年)のグレース・ケリーをイメージして役作りを行った彼女は、ヴァーホーヴェンやダグラスと撮影中に頻繁にディスカッションし、時には衝突しながらも、撮影に1週間を要した、激しいセックスシーンなどで、迫真の演技を見せたのでした。

シャロンは、マーティン・スコセッシ監督の『カジノ』(1995年)で、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたこともありましたが、シャロン・ストーンと言えば、やっぱり『氷の微笑です。彼女の女優としてのキャリアが、本作1本で語られがちなのは、否めない事実なのです。

逆に言えば彼女は、この1本で30年経った今でも語られる存在になっているわけで、それほど、公開当時のインパクトは凄かったと言うことでしょう。

 

4.まとめ

ミステリーとしてもまずまずなのですが、何と言ってもシャロン・ストーンの美貌が本作を快作へと押し上げています。超絶美しく、そして、下手なAVよりよほど大胆な演技でした。

マイケル・ダグラスは続編への出演を固辞したそうですが、なんでだったのでしょうね。

 

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