映画『ペリカン文書』大ヒットしたベストセラーサスペンスの映画化作品です!!

この映画『ペリカン文書(The Pelican Brief)』は、ジョン・グリシャムの原作で、監督アラン・J・パクラ、主演ジュリア・ロバーツ、共演デンゼル・ワシントンの、1993年アメリカで制作されたサスペンス作品です。

目次

 

 

1.紹介

アラン・J・パクラのテンポの良い演出と、様々な方向に展開していくストーリーは、2時間20分を超し、見応えもありますが、上映時間の後半は、敏腕記者として貫禄さえ感じるデンゼル・ワシントンに支えられた作品と言えそうです。

本作は、『プリティー・ウーマン』(1990年)でブレイクしたジュリア・ロバーツが、若くして頂点を極めていた絶頂期を迎える頃の作品で、この頃のジュリア・ロバーツは、最も美しく感じ、茶目っ気のある笑顔も実に愛らしいのです。

一方、スマートであり颯爽としたデンゼル・ワシントンは、上品で清潔感のあるタフガイを熱演していて、既にその実力を高く評価されていたデンゼル・ワシントンが、ハリウッド一の演技派として認められるに相応しい演技を見せてくれています。


2.ストーリー

1)プロローグ

ワシントンD.C.で、最高裁のローゼンバーグ判事(ヒューム・クローニン)ら2人が、暗殺者カーメル”サム”(スタンリー・トゥッチ)に殺されました。

大統領(ロバート・カルプ)と補佐官フレッチャー・コール(トニー・ゴールドウィン)は、この殺人がCIAや政府組織が関与しているかを懸念します。


2)ペリカン文書誕生

ニューオリンズで、法学部学生ダービー・ショウ(ジュリア・ロバーツ)は、恋人である大学教授トーマス・キャラハン(サム・シェパード)の恩師でもあった、ローゼンバーグの死に興味を持ち、事件に関するレポートを書き上ました。

 

 

それをダービーから受け取ったキャラハンは、同期生でFBIの法律顧問ギャヴィン・ヴァーヒーク(ジョン・ハード) にレポートを読ませました。

この事件を追う、”ワシントン・ヘラルド”の敏腕記者グレイ・グランサム(デンゼル・ワシントン)は、ある人物から犯人を知っているという連絡を受け取ります。

電話を逆探知したグランサムは、その男を見つけて後を追うが取り逃がしてしまいました。


3)迫る危機

大統領補佐官コールは、判事殺害直後に、暗殺者カーメルが空港で目撃されたという報告を受けます。

そしてコールは、大統領や自分達を巻き込みかねない、ダービーの仮説を手に入れ、FBIが動き出していることを大統領に知らせました。

そんなこととは知らず、キャラハンと食事を楽しんでいたダービーは、酔った彼が車のキーを渡さないのを見て歩いて帰ろうとします。

しかし、酔ったまま車で帰宅しようとしたキャラハンは、ダービーの目の前で車に仕掛けられた爆弾により爆死しました。

呆然とするダービーに、歩み寄って名前を聞いた警官が、警察には存在しない人物だと知った彼女は、自分の命が狙われていることを察知するのでした。


4)暗殺者の最後

ペリカン文書”と名づけられたレポートが、誰の手に渡ったかをヴァーヒークに尋ねたダービーでしたが、FBIのデントン・ヴォイルズ長官(ジェームズ・シッキング)以外にも、文書を見た者がいることを知らされます。

変装して街に出たダービーは、カーメルに追われますが、何とか逃げ延びて、キャラハンの葬儀でヴァーヒークと会うことになりました。

ダービーを監視させていたCIA長官ボブ・グミンスキー(ウィリアム・アサートン)は、仮説が正しかったことと、彼女が間もなく殺されるであろうことを予測し、コールに連絡を入れます。

ダービーはグランサムに電話をかけ、自分の置かれている状況を説明し、彼に大統領の献金者リストを手に入れさせました。

同期生アリス・スターク(シンシア・ニクソン)に、自分の行動をカモフラージュする手助けを頼んだダービーは、その直後も何者かに追われるものの逃げ延びます。

キャラハンの葬儀に参列したヴァーヒークの、部屋の電話に盗聴器を仕掛けたカーメルは、彼を殺し、ダービーとの待ち合わせ場所を知ります。

カーメルは、ダービーの指示通りに変装してヴァーヒークに扮し、彼女との待ち合わせ場所に向かいます。

そして、雑踏の中、カーメルを見つけたダービーでしたが、彼女の目の前でカーメルは何者かに狙撃されてしまいました。

 



5)ペリカン文書とは

グランサムに会うため、彼に連絡してニューヨークに向かったダービーは、湿原保護の訴訟に興味を持ち、その弁護士の自殺事件に疑問を持ったのが、文書を書くきっかけだということをグランサムに話しました。

湿原地に生息する象徴的存在のペリカンが、絶滅寸前の危機に見舞われ、一帯の開発をめぐる訴訟で開発者側が勝訴、原告側は最高裁に上告を予定し自然保護派の判事2人が殺されたという仮説でした。

ダービーは、グランサムを信じたのは、キャラハンがファンだったためと伝え、彼にアパートに泊まってもらいます。

グランサムは、勝訴した男が大統領への最大の献金者で、ダービーの文書が世間に知れると大統領の再選がなくなることをダービーに伝えました。

情報源やダービーが姿を消し、取材の中止を編集長のスミス・キーン(ジョン・リスゴー)に命ぜられたグランサムは、必死にキーン食い下がり、納得する証拠を掴むことを条件に取材を続けるのでした。

 



6)暴かれる真実

一方、窮地に立たされかけた大統領に、コーンは解決策として、湿原の開発者を敗訴させるよう、自然保護派の判事を指名し、FBIの捜査を再開させて、文書をリークさせるという方法と、今一つの策を暗示します。

 

 

敵を欺くために姿を消していたダービーは、グランサムの元に現れて協力を申し出ます。

ダービーとグランサムは、ジョージタウン大学の学生の協力で、ある法律事務所の男が、グランサムに犯人を知っていると連絡してきた男だということを突き止めました。

しかし、その男は既に殺されていて、男の妻から、ある銀行の貸し金庫の鍵をグランサムは預かります。

ダービーは銀行の貸し金庫から、テープと証拠書類を取り出して逃走しようとしますが、車に仕掛けられた爆弾に気づき、その場から逃走してキーン編集長の元に向かいます。

ビデオと書類を確認したキーンは、グランサムに事件の記事を書くように指示を出しました。

グランサムは、法律事務所、政府、FBIなど各方面に”ペリカン文書”を公表することを伝えます。

ダービーはグランサムを伴い、ヴォイルズFBI長官と取引し、国外出国と身の安全を保障させました。

ある国に到着したダービーは、グランサムを固く抱きしめて別れを告げるのでした。


7)エピローグ

エドウィン・ニューマンのニュース・ショーに出演したグランサムは、判事殺しのスクープ記事の件と、謎の人物で、”ペリカン文書”を書いた”ダービー・ショウ”について質問される。

ダービーについて、まともに答えないグランサムに対し、ニューマンは、ダービーがグランサムの想像上の人物ではないかという質問に至るのでした。


その頃、南の国に滞在していたダービーは、その番組を見ながらほくそ笑むのでした。


3.四方山話

1)監督アラン・J・パクラ

アラン・J・パクラAlan J. Pakula)は、アメリカ合衆国・ニューヨーク出身の映画監督、映画プロデューサーで、ポーランドユダヤ人の両親の元に生まれました。

イェール大学で学び、最初はワーナー・ブラザースのアニメ部門で働いていましたが、パラマウント映画に移ってからプロデューサーとなり、『アラバマ物語』をプロデュースしてアカデミー作品賞にノミネートされました。

1969年に、『くちづけ』で映画監督としてデビューし、1975年の『大統領の陰謀』でアカデミー監督賞にノミネートされ、1982年の『ソフィーの選択』でアカデミー脚色賞にノミネートされ、サスペンス映画を得意としました。

1998年11月19日、ニューヨーク州ロングアイランドの高速道路で交通事故死しました。享年70歳。

 

2)背景

本作で展開する権力犯罪・謀略のプロットは単純ですが、大統領とスポンサー企業との関係、大統領府と最高裁、連邦検事局(FBI)との関係が端的に描かれています。アメリカの権力機構を学ぶためには格好の作品でしょう。


①ロビイズム

合衆国では、企業や団体の特殊な利害を連邦議会や大統領府の政策や立法に反映させるロビイズムが、公然たる産業になっています。ロビイズム=ロビー活動とは、とりわけワシントンDCに本拠を置く政治活動の専門家が窓口となって、政府や議会に働きかけをおこなう仕組みのことです。

大統領や有力議員は、自分たちの支持基盤ないし支援組織として、むしろ積極的にロビイストたちが利益を代表する団体・組織、企業・業界などを抱え込もうとします。選挙運動のための組織や大量の票、そしてもちろん巨額の資金を獲得するためにです。

他方で、企業や団体・業界組織は、自分たちの利害や価値観を連邦国家の政策に押し込もうとして、資金や組織力を餌にして、政治家たちを釣り上げようとします。

アメリカでは大統領選挙などの選挙制度が産業化され営利ビスネスとして展開されていて、大統領や議会制が絡みあう政治は、完全に営利事業となっているわけです。


アメリカの最高裁判事

アメリカの最高裁判事は、民主主義を標榜する国家としては奇妙なことに、長老名誉職のようなもので、終身のポストともいわれています。それゆえ、最高裁の人事再編と、保守派とリベラルとの勢力関係の組み換えは、判事たちの引退や死去がきっかけとなってきます。

本作では、ほぼ同じ時期に2人もの判事が死亡したということは、最高裁の政治的色相を自分の政治的信条に沿って変えようともくろむ大統領にとっては、絶好のチャンスとなりました。

しかしながら、大統領は任期終了間近で、目前に再選をめざす大統領選挙が控えていました。だから、ことさら世論を分断するような最高裁判事推薦名簿をこの時期に提出するつもりはなかったのです。

にも拘らず、パトロンが危機感のあまり先走って最高裁判事を暗殺に走ったことで本作の事件が起こったということでしょう

おそらく、この大統領は共和党で、政策は保守的で、環境保護よりも企業利益を優先する立場であろうと思われますね。


4.まとめ

ちょっと時代がかってきましたが、若き日のデンゼル・ワシントンジュリア・ロバーツが観られ、それなりのサスペンスを見せてくれました。

 

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