映画『私は告白する』ヒッチコックとしては異色のサスペンス映画です?!

この映画『私は告白する(I Confess)』は、監督アルフレッド・ヒッチコックで、出演モンゴメリー・クリフトアン・バクスターなどの、 1953年アメリカ合衆国のサスペンス映画です。

目次

 

 

1.紹介

原作はポール・アンセルムの1902年初演のフランスの戯曲『Nos Deux Consciences(私たちの2つの良心)』で、幼いころにカトリックの学校で教育を受けたヒッチコックが、告解の守秘義務をモチーフに、冤罪を受け苦悩する神父の姿をサスペンスを交えて描いた異色作です。

カナダが舞台という点でも他のヒッチコック作品とは雰囲気が違っています。

犯人は冒頭から明らかであり、警察は通常捜査の段階を踏みますが、何も語れずに嫌疑がかかる神父の姿を見守るしかない観客は、重苦しい思いでクライマックスを迎えることになります。


2.ストーリー

1)プロローグ

ヨーロッパ的で重厚な町並みを見せるカナダのケベックで、その下町で殺人事件が起き、現場を僧衣を着た犯人が立ち去ります。やがてまっすぐその男が向かったのがカトリックの教会でした。


2)犯人の懺悔

男はそこで下男をしているオットー・ケラー(O・E・ハッセ)でした。教会を預かるローガン神父(モンゴメリー・クリフト)と会ったケラーは、自分が殺人を犯してきたことを告白します。

被害者は悪徳弁護士のヴィレット(オヴィラ・レガーレ)で、ケラーは彼のところでも庭師として働いていました。貧しい彼は金を盗もうとして、つい抵抗する弁護士を手にかけたのです。

ケラーは殺人の告白をしたことを妻アルマ(ドリー・ハース)にも告げます。アルマは神父が警察に知らせることを心配しますが、ケラーはそれは杞憂だと妻を安心させます。カトリックの神父には懺悔については秘匿する義務があり、それを破れば自分も罪を犯す事になるからです。

 



3)ローガンの苦悩

ラルー警視(カール・マルデン)を中心とした警察の捜査が始まり、目撃者の若い女性2人が見つかります。彼女たちの証言は、現場から立ち去った男は僧衣を着ていたとのことで、ローガン神父が容疑者と見なされます。

しかし、彼はその夜のアリバイを述べることを拒否します。というのも、国会議員ピエール・グランドフォート(    ロジャー・ダン)の妻であるルース(アン・バクスター)という女性に迷惑が及ぶことを恐れたからでした。

僧籍に入る前に、ローガンは彼女と恋人関係にありました。そして犯行の夜に2人が会ったのは、偶然にも、弁護士のヴィレットの事が関わっていたのです。

2人の過去の関係についてヴィレットが嗅ぎつけ、それを暴露すると脅迫行為に及んでいたため、その対処について相談するためでした。

ローガンが潔白であることを示すためにルースはわざわざ事情の一切を警察に述べましたが、これが仇となって、ヴィレット殺害の動機もあるとしてローガンは逮捕され、ケラーのことを告げれば釈放されますが、神父という立場上、それは出来ません。ローガンは苦悩しました。

 



4)明らかになった真相

幸い、裁判の結果証拠不十分で無罪となります。

しかしながら、世間は彼を有罪とみなして、教会を辞めろと裁判所の前に群がります。それを見ていたケラーの妻は真実を告げようとしますが、夫の手によって銃撃されました。

ローガンはアルマを介抱し、彼女がローガンは無実だと言ったことをラルーは確認し、アルマは、ローガンに許してほしいと言い残して息を引き取るのでした。

近くのホテルに逃げ込んだケラーをラルーやローガンが後を追いました。

投降しろというラルーの指示に従おうとしないケラーは、二人殺したと言われてローガンが全てを話したと考え、
告白を人に話したローガンを非難しますが、ラルーは、ローガンが神父の誓いを守り何も話さなかったことに気づきました。

ピエールと共に状況を見守っていたルースも、全てを理解してその場を去りました。

 



5)エピローグ

ラルーの指示で部下はケラーの肩を撃ち、ローガンは制止も聞かずに彼に近寄りました。

アルマが死んだことを知らされたケラーは信じようとせず、哀れな自分とローガンについてを語りながら引き金を引こうとします。

銃撃されたケラーは、倒れながらローガンに助けを求め許しを請いました。

腕の中で息を引き取ったケラーに、ローガンは祈りを捧げるのでした。


3.四方山話

1)ヒッチコック登場場面

上映開始直後の約1分半に、通りにある長い階段の上部の道を横切る男性がアルフレッド・ヒッチコックです。遠景のショットではありますが彼だとはっきり分かりました。


2)背景

カトリックの聖職者の身でありながら、女性と密会しているようにしか思わせないところがポイントであり、殺人事件以外で緊張感を漂わせるという、アルフレッド・ヒッチコックの序盤の演出にも引き込まれます。

戦後のドイツ移民の苦しい立場や恵まれない生活が殺人事件に発展するという、当時の社会情況に言及する内容にもなっています。


3)ラルー刑事役のカール・マルデン

この映画、ヒッチコックが達者な俳優たちを見事に演じさせていますが、後の世でも長く活躍するカール・マルデンが物語の緊張感をみごとに引っ張ってゆきます。

特徴的な鼻の彼は、イリノイ州シカゴで生まれ、父親はセルビア系、母親はチェコ系で、5歳の時にシカゴのセルビア居留地から家族でインディアナ州ゲーリーに移り、そこで育ちました。幼稚園に入るまで英語は全く話せなかったそうです。

1931年にゲーリーのエマーソン高校を優秀な成績で卒業した彼は、地元のUSスチールの製鉄所で1934年まで3年間働いた後、アーカンソー州立教育大学(Arkansas State Teachers College、現在のアーカンソー中央大学)に短期間在籍、その後、シカゴのグッドマン劇場の演劇学校に通います。

その3年後にニューヨークに渡り、1937年に舞台デビューして、エリア・カザンの目に留まり、後にアーサー・ミラーの『みんな我が子』やテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』に出演することになりました。

映画デビューは、1940年になり、1951年には映画『欲望という名の電車』で原作舞台劇で演じた役と同じ役を演じ、第24回アカデミー賞助演男優賞を受賞しました。その後は映画を中心に活動しますが、1970年代以降、活動の中心はテレビドラマになってきます。

1989年から1992年まで映画芸術科学アカデミー(アカデミー協会)の会長を務めました。


4.まとめ

「告解」は神と信者との秘密とされているとの事で、「告解」を聞くローガンの立場の重みと、ケラーの妻アルマが苦悩する姿、ケラーの非道さをヒッチコックは見事に描きました。

 

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