映画『バッテリー』心地よい青春野球ドラマです?!

この映画『バッテリー』は、あさのあつこのベストセラー小説を「陰陽師」シリーズの滝田洋二郎監督が2007年に映画化しました。

目次

 



1.紹介

『バッテリー』の原作小説は、児童向け文学ながら大人の読者の心をもつかみ、全6巻が1000万部を超えるベストセラーとなりました。そうなれば人気コンテンツの常で、まずは漫画化、さらにアニメ化、そしていよいよ実写映画化ということなりました。


2.ストーリー

1)プロローグ

原田巧(林遣都)は甲子園出場校の監督の祖父(菅原文太)を持ち、巧自身も少年野球のエースを務めていました。中学入学の時に父親(岸谷五朗)の転勤のため、母親の実家がある岡山へと引っ越していきます。

巧には病弱の弟の青波(鎗田晟裕)がいて、母親の真紀子(天海祐希)もいつも青波の事を心配しています。ランニング中に知り合った地元の少年野球チームでキャッチャーをしている豪(山田健太)と意気投合した巧、巧と豪は同じ中学に入学し野球部に入部します。


2)野球部入部

入部早々、実力の片鱗を見せる巧、監督の戸村(萩原聖人)とは衝突しますが、戸村も巧の才能に気づいていたので、いきなりのレギュラー抜擢をするのでした。

 

 

これが面白くない3年生の展西(木林宏朗俊)たち。展西は巧を集団リンチしたのです。ところが、このことが明るみとなって野球部は出場停止となりました。

夏の大会出場が叶わなかった事で、戸村は真面目に取り組んできた3年生のために、引退試合を提案します。相手は怪物スラッガーの門脇(渡辺大)率いる昨年の準優勝校の横手二中でした。

試合が始まり、巧は順調な立ち上がりを見せますが徐々に、豪が捕球ミスを連発し始めたのです。豪が信じられなくなっていたかのような巧、今度こそ取って見せると告げた豪に投げたのは、手抜きのストレートでした。

門脇はそれを見逃さずホームランします。手を抜かれた事に怒った豪は、巧とマウンドで小競り合いを始め、その後も戻ることなく滅多打ちを食らってしまいました。

今日の試合予定を聞いてなかった横手二中の監督が乱入して、試合は中止となります。門脇と巧は再戦の約束をして別れました。


3)バッテリーの危機

その後、巧と豪はバッテリー解消の危機になりますが、チームメイトや青波の懸命の尽力したことによって、わだかまりは溶け、またバッテリーを組むことになります。

巧は豪に誰にも打ち明けていない話をします。それは、かつて大事な試合で全力投球をしキャッチャーが捕球出来ず負けてしまい、その恐怖から手抜きのボールに繋がったのです。

豪は巧の心を知り喜び、次は絶対に取ると巧に誓ったのです。そして巧もそれを意気に感じ、全力投球を誓いました。

 

 

横手二中との再試合の前日、青波が体調を崩して病院に運ばれます。巧も病院にかけつけますが、巧が野球をやっているせいで、青波の体調が悪くなると思い込んでいる母・真紀子に病室から出ていくよう告げられてしまいました。

父の広が、言い過ぎた事に反省している真紀子に口を開きました。巧は青波を元気づけるために野球をしているのかもしれないと。その言葉が真紀子の胸に響きます。


4)懇親の球

試合当日になっても巧は青波の病室にいます。そこで青波から、巧の頑張る姿が生きる支えになるのだと逆に励まされた巧は、球場に急ぎます。試合は控えのピッチャーが踏ん張っていたものの、ピンチを迎えていました。

迎えるバッターは門脇です。そこに巧が到着しまして、待ち望んでいたエースの登場に、希望が湧き立ちます。巧は、笑顔で迎えてくれた豪に全力投球のストレートを投げ込みました。やはり先日のストレートとは段違いの威力です。


5)エピローグ

すると観客席から、ふと聞き覚えのある声援が聞こえます。それは、いつもは青波に掛かり切りで応援に来れなかった真紀子の声でした。さらに胸を熱くした巧は、「ど真ん中じゃ、こい!」と叫ぶ豪のミットに向かい、色々な人たちの思いを乗せたボールを巧は投げ込むのでした。

 

3.四方山話

1)映画版

本作のストーリーは、原作1、2巻をメインに巧中心に整理整頓し、よくまとまっています。原作は3巻以降、他キャラ中心になり軸がぶれた為、一つの作品としては映画の方が出来がよくなっています。

ただ、「巧の野球は祈りで、病弱な弟の為に野球をしている」と父がラストで述べたのは、原作と真逆で、原作では、野球に呪縛され、自己存在の証明の為にボールを投げる少年だからでした。

その難しい気質をそのままやると泥沼にはまる為、変えたのでしょう。原作も作者が巧を描けなくなり、実質未完で投げ出されています。

そんな泥沼な原作を、友情、家族愛をテーマに再編したのは正解だで、直球で優しく穏やかな、いい作品となりました。


2)キャスト

単なる野球映画だとナメてかかっていたけど、巧の投げる球に驚いてしまいました。本人も気合が入っていただろうけど、強化合宿をしたという製作者サイドのこだわり、オーディションに3000人もの野球少年が殺到したことも相まってスクリーンからはリアルなプレーを体験できます。さらに、変化球を投げない主人公という設定によってわかりやすく、まさに直球勝負の作品となっていました。

球漫画でも野球映画でも本格派ピッチャーに必要なのはその剛速球をしっかりと受け止めることができるキャッチャーです。「以前いたチームのキャッチャーはどのくらいの期間で捕球することができたか?」と自分の腕前もアピールしたくてしょうがないキャッチャーの豪も伴宙太からはじまる伝統的なタイプです。

明るく前向きな性格がちょっと性格の悪い巧ととてもいい相性となり、最後までバッテリーとしての2人から目が離せません。

バッテリー2人は文句なしの演技を見せ、林遣都はカリスマあふれる巧のムードをよく出しているし、子どもの癖に妙にセクシーでさえあります。豪を演じる山田健太も、優しい笑顔を絶やさずに、大きな存在感を放っていました。


3)脚本

本作のストーリーは、原作1、2巻をメインに巧中心に整理整頓し、よくまとまっています。原作は3巻以降、他キャラ中心になり軸がぶれた為、一つの作品としては映画の方が良い出来となりました。

ただ、「巧の野球は祈りで、病弱な弟の為に野球をしている」と父がラストで述べたのは、原作と真逆で、原作では、野球に呪縛され、自己存在の証明の為にボールを投げる少年だからです。

その難しい気質をそのままやると泥沼にはまる為、変えたのでしょう、原作も作者が巧を描けなくなり、実質途中で投げ出されました。

そんな泥沼な原作を、友情、家族愛をテーマに再編したのは正解で、直球で優しく穏やかな、いい作品となりました。

 



4.まとめ

そんなわけで本作は、主役の2人の力でそれなりに見れる子ども映画になってはいます。

しかしながらが、大人の観客を満足させるだけの品質には達していないようで、泣かせようというあざとさが際立っていて、見ていてかなり気恥ずかしくされてしまいます。

全体的に文部省ご推薦チックな真面目ムードが強すぎているようですね。

 

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