映画『スティング』あの『明日に向って撃て!』のオスカーコンビと監督の傑作サスペンスです!!

この映画『スティング(The Sting)』は、1973年のアメリカ合衆国のコメディタッチの犯罪サスペンス映画です。1930年代のアメリカを舞台に、ギャングへの復讐のため、詐欺師たちが巧みに結束して立ち向かいます。

目次

 


1.紹介

監督はジョージ・ロイ・ヒルで、アメリカン・ニューシネマの代表作『明日に向って撃て!』(1969年)で共演したポール・ニューマンロバート・レッドフォードが再共演し、大ヒットしました。

第46回アカデミー賞(1974年)作品賞受賞作品で、2005年に合衆国・国立フィルム保存委員会がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の1つとなりました。

多彩な出演陣の個性を丹念に描き、それを見事に生かした、ジョージ・ロイ・ヒルの切れ味のよい演出で、7つのシークエンに分かれる物語に引きこまれます。
観ている観客が、完全に騙されるという結末(脚本)も圧巻です。

アカデミー賞の常連イデス・ヘッドの衣装、1930年代の雰囲気を見事に再現したセットや美術、街並みの特殊効果も素晴らしく、同じくオスカーを受賞した、全編に流れるマーヴィン・ハムリッシュの音楽と、随所に挿入されるスコット・ジョプリンのテーマ曲”エンターテイナー”のメロディはドラマを大いに盛り上げています。


2.ストーリー

1)プロローグ

1936年9月、イリノイ州のジョリエットで、詐欺師ジョニー”ケリー”フッカー(ロバート・レッドフォード)、ルーサー・コールマン(ロバート・R・ジョーンズ)、ジョー・エリー(ジャック・キーホー)の3人は、 ギャングの賭博の売上金1万1000ドルを騙し取ってしまいました。

若いフッカーは、その大金を見て浮かれてしまい、3人で山分けする前に自分の取り分を使い込んでしまいます。


2)抹殺

賭博の元締めで、ギャングの大物ドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)は、金を奪った詐欺師達の抹殺を命ずじます。

自分の取り分を一晩ですってしまった、腕はいいが無鉄砲なフッカーを戒めたルーサーは、足を洗う決心を伝えました。

ルーサーは、フッカーをシカゴの旧友ヘンリー”ショー”ゴンドルフ(ポール・ニューマン)に預けることにしました。

その後、フッカーが大金を手に入れたことを知り、その口止め料を要求する、悪徳警官ウィリアム・スナイダー(チャールズ・ダーニング)は、ロネガンが、3人を狙っていることも伝えます。

スナイダーはフッカーから金を奪い、偽札とも知らずに彼を見逃しました。

フッカーはルーサーの身を案じますが、駆け付けたときには、彼は既に殺されていました。


3)計略 THE SET-UP

フッカーはルーサーの仇を討つため、シカゴのゴンドルフを訪ねますが、かつての大物は、意外にも堕落した生活を送っていました。

ゴンドルフは、ロネガンへの復讐を焦るフッカーに、大物の相手に対抗するための極意を教え始めます。

ルーサーのためなら必ずや駆けつけてくる一流の詐欺師達J.J.シングルトン(レイ・ウォルストン)やキッド・トゥイスト(ハロルド・グールド)らを、ゴンドルフは、各地から呼び寄せました。

仲間達を集めたゴンドルフは、早速ロネガンの身辺調査を開始し、彼をどのような方法で騙すかを検討しはじめます。

そして、ロネガンをイカサマ・ポーカーと偽賭博”電信”で陥れる計画を練りました。

 

 

その頃、フッカーに偽札をつかまされたスナイダーが、ゴンドルフの情婦ビリー(アイリーン・ブレナン)の店に現れますが、彼女の機転で何とかスナイダーを追い払いました。


4)引っかけ THE HOOK

偽の賭博場の手配を終えて、トゥイストは詐欺のサクラ役の人選を始め、フッカーの相棒ジョーも仲間に加わります。

ゴンドルフは、列車内のポーカーに入り込み、酒浸りの男を演じて勝ちまくり、ロネガンを苛立たせました。

ロネガンは、負けを取り戻すためカードを摩り替えさせてイカサマを仕掛けますが、ゴンドルフはロネガンの上を行くイカサマで彼から大金を巻き上げることに成功しました。

あらかじめ財布を盗んでおき、支払いが出来ないロネガンの元に、フッカーがゴンドルフを裏切る振りをして近づきます。

フッカーは、ゴンドルフに恨みがあるように見せかけて、彼の経営する賭博場を乗っ取る計画を、ロネガンに提案します。

既に手を回していたロネガンは、殺し屋ライリー(ジョン・クウェイド)らにフッカーを始末させようとしますが、彼は待ち伏せに気づき難を逃れました。

 


5)筋書き THE TALE

フッカー殺害に失敗したロネガンは、プロ中のプロの殺し屋”サリーノ”の手配を部下に命じます。

偽の賭博場では着々と準備が進み、いよいよ本番が近づこうとしていました。

フッカーは、手始めにロネガンに2000ドルを賭けることを指示して、思惑通りに彼に儲けさせます。

しかし、フッカーを信じきれないロネガンは、イカサマ賭博を裏で操っている電信支局長に会わせるよう要求してきました。

殺し屋の影と、スナイダーの執拗な追跡に悩むフッカーのために、ゴンドルフは秘策を考えます。


6)電信 THE WIRE

シングルトンとトゥイストは、部屋の塗り替え作業員に扮して電信局に侵入し、トゥイストが支局長を演じてロネガンを騙します。

支局長(トゥイスト)に、もう一度イカサマ操作をするよう要求するロネガンは、今回も成功すれば、次に50万ドルを賭けると約束して立ち去りました。

その頃、スナイダーは、FBIのポーク特別捜査官(ダナ・エルカー)に呼び出され、フッカーがゴンドルフと共謀し、詐欺を企んでいることを知らされます。

そしてスナイダーは、FBIがゴンドルフを逃がさないために、フッカーを逮捕するよう指示されました。


7)締め出し THE SHUT-OUT

二度目の賭けで儲けを逃したロネガンは、フッカーに50万ドル賭けることを告げました。

フッカーは、ダイナーで働くロレッタ(ディミトラ・アーリス)と親しくなり、彼女は機転をきかして殺し屋からフッカーを救います。

しかし、その殺し屋らしき男は、その後、”サリーノ”に殺されてしまいました。

スナイダーに不意をつかれて捕まったフッカーは、ポークからゴンドルフ逮捕に協力するよう、断れない要求を突きつけられます。

そして、殺し屋から身を隠すため、フッカーはロレッタの部屋で一夜を過ごしました。


8)最後の一撃 THE STING

翌朝フッカーは。ロレッタが姿を消したことに気づきますが、現れた彼女は何者かに射殺されました。

フッカーは、自分を追っていた殺し屋の”サリーノ”が、実はロレッタだったことを知らされ、危機一髪のところでゴンドルフの仲間に助けられたのだでした。

現金を用意して、レースの情報を得たロネガンは、50万ドルを持参し賭博場に向かいます。

賭博場が破産しかねない金額に、ゴンドルフはそれを受けるのを拒むが、ロネガンに腰抜け呼ばわりされて受けて立ちました。

しかし、単勝複勝を賭け間違えたロネガンは、狼狽えてしまいます。

そこに飛び込んできたポークらFBIは手入れを始め、約束通りフッカーを逃がそうとしました。

それを見たゴンドルフはフッカーを銃撃し、彼もポークに撃たれてしまいます。

ポークは、ロネガンをその場から連れ出すよう、同行していたスナイダーに指示し、二人は足早に立ち去りました。

しかしそれは、FBIを含め賭博場にいた全ての詐欺師が仕組んだ罠だったのです。


9)エピローグ

ロネガンから50万ドルを巻き上げたゴンドルフは、詐欺師達の仕事振りを称えました。

そして、ルーサーの仇を討ち、スナイダーの追跡からも解放されたフッカーは、ゴンドルフと共に賭博場を後にするのでした。

 

 


3.四方山話

1)評価

第46回アカデミー賞で10部門にノミネートされ、作品、監督、脚本、編集、音楽、衣装デザイン、美術賞を受賞しました。主演男優(ロバート・レッドフォード)、撮影、録音賞、がノミネートされています。


2)テーマ曲

1900年初頭にブームとなったスコット・ジョプリンラグタイムは古臭く、皆から忘れ去られていたのですが、ピアニストのジョシュア・リフキンにより復活しミリオンセラーになりました。 

ジョプリン・マニアのヒル監督が『スティング』のサントラ曲として使用しました。1974年5月から6月の5週間にわたり、並み居るロックミュージックを蹴落として、米国で最も権威のある音楽チャート・ビルボードの1位を独占したのでした。

 

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3)賭博師ゴンドルフ

本作のオリジナル脚本では、ゴンドルフは端役にすぎず、老いたビール腹のぶっきらぼうな男として描かれていました。プロデューサーも主役には別の人物を考えていましたが、脚本を気に入ったニューマンのたっての願いで、ゴンドルフは主役級の人物に書き変えられました。


4)ロバート・ショウ

足を引きずるロバート・ショウの演技は、本当でした。
大物ギャングのボス、ドイル・ロネガンを演じたロバート・ショウは、撮影が始まる2日前、ラケットボールのプレイ中に滑って転び、脚を負傷していたのです。 

脚のギプスは当時流行の幅広のズボンのおかげでうまく隠すことができ、ヒル監督は負傷をあえてロネガン自身の身体的特徴として生かし、撮影に臨んだのです。観客は見事に騙されました。


5)最高額!

本作のレッドフォードとニューマンの出演料は、当時の俳優にとって最高の出演料としてそれぞれ50万ドルが支払われました。今の物価に換算すると2700万ドル(約27億円)に相当します。

現在、大スターの出演料は10万〜2000万ドルが相場。1973年以降、俳優の出演料は上昇し続け、ちなみに『アイアンマン』(2008年)のロバート・ダウニーJrは、58億円でトップを爆走中です。

 


4.まとめ

1930年代の雰囲気を見事に再現していました。アカデミー賞を受賞し、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されるのもむべなるかなです。

ほんとよくできた映画です。

 

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