映画『超高速!参勤交代』シリーズの面白さ?!

この映画『超高速!参勤交代』は、江戸時代の参勤交代を題材にした土橋章宏作の脚本で、2011年に第37回城戸賞を全審査員満点で受賞し、土橋自身により小説化され講談社から2013年に、刊行されました。2014年に監督本木克英、佐々木蔵之介主演で松竹の製作・配給で映画化されました。

2015年に続編小説『超高速!参勤交代 老中の逆襲』が刊行され、次いで、2016年には続編映画『超高速!参勤交代 リターンズ』が公開されました。

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目次

 

1.インプレッション

時代劇にあるまじきインパクトの強いのタイトルで、時代劇のタイトルとしては極めて異色ですが、時代劇の堅苦しいイメージを打ち破って、若い人でも一度観てみようかと思える分かりやすく、この斬新さが注目されたのでしょう。

タイトルに惹かれせっかく劇場を訪れた観客も、内容が分かりにくければ辟易してしまったことでしょう。また、いい加減な時代考証や美術などでは、時代劇ファンにそっぽを向かれてしまいます。
ところがエンターテインメントを追求したこの映画。笑いに継ぐ笑いで、終始飽きさせることがありません。さらに、時代劇の醍醐味ともいうべき立ち回りの出来映えに圧倒され、従来の時代劇ファンもそうでない人もどちらも楽しめようになっています。

原作者である土橋章宏東日本大震災(2011年(3月11日)の取材のため東北を訪れた折、何かを残したいと考えたのが本作誕生のそもそものきっかけで、福島県いわき市に実在した藩を取り上げ、逆境にもへこたれず明るく生き抜く人々の姿を描きました。

説教くさいものにはしたくないという意向からエンタメ性の高い作品に仕上がりましたが、原作者の被災地に対する熱い思いが観客に伝わっってきます。

 

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2.超高速!参勤交代

1)あらすじ

8代将軍・徳川吉宗の治世下、東北の小藩・湯長谷藩は幕府から突然、通常でも8日かかり、さらに莫大(ばくだい)な費用を要する参勤交代をわずか5日で行うよう命じられます。それは藩にある金山を狙う老中・松平信祝の謀略で、弱小貧乏藩には無茶苦茶な話でした。

藩主・内藤政醇は困惑しつつも、知恵者の国家老、相馬兼嗣(西村雅彦)を𠮟咤激励し藩の手練れ他6名と戸隠流の抜け忍雲隠段蔵(伊原剛志)を従えて参勤交代を完遂させようと作戦を練り、また咄嗟には機転効かせて成就します。

 

2)解説

通常でも8日かかる参勤交代を5日で行うよう幕府から無理難題を押し付けられた小藩が、奇想天外な作戦の数々でピンチを切り抜けようとする時代劇で、第37回城戸賞の入選作を、『鴨川ホルモー』などの本木克英監督が映画化しました。
資金も人数もない中、藩と領民を守るため奮闘する藩主には佐々木蔵之介、ヒロインを深田恭子が演じています。共演には伊原剛志、西村雅彦、陣内孝則ら実力派がそろいました。

 

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3.超高速!参勤交代 リターンズ

1)あらすじ

江戸時代、幕府から5日以内の「参勤」という無茶な難題を、知恵と工夫で何とか果たした湯長谷藩でしたが、藩主・内藤政醇率いる一行は帰途に就く「交代」の道中、湯長谷で一揆が起きたという知らせに仰天します。彼らに敗北した老中・松平信祝の逆襲によるもので、一揆を鎮めるため大急ぎで帰郷した政醇たちでしたが、信祝に使わされた尾張柳生の諸坂三太夫渡辺裕之)に城は奪われており、金なし!人なし!時間なし!帰る城もなし状態となりました。ここから信祝率いる1000人と政醇以下7名の戦いが始まります。


2)解説

前作で行きの「参勤」を果たし藩の取り潰しを免れた湯長谷藩一行が、彼らへの復讐(ふくしゅう)に燃える老中が仕掛けた謀略により、帰りの「交代」でさらなる大ピンチに見舞われるさまを描く。主演の佐々木蔵之介をはじめ、深田恭子伊原剛志ら主要キャストが続投するほか、古田新太渡辺裕之中尾明慶、宍戸開ら多彩な曲者の面々が新たに参戦しています。

 

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4.湯長谷藩

湯長谷藩は江戸時代前期に磐城国(現在の福島県いわき市)に実在した藩で、1622年磐城平藩(7万石)の藩主・内藤政長が次男の政亮に1万石を分与したことで磐城平藩支藩として立藩されました。

第1作の『超高速!参勤交代』で湯長谷藩一行のピンチを大名行列を貸すことによって救った内藤政樹(甲本雅裕)は本家の磐城平藩の藩主でした。

劇中で描かれている通り、湯長谷藩は1万石台の弱小貧乏藩で、譜代大名の内藤氏(一時期遠山氏を称した)が14代に渡って藩を治めました。

映画では時代劇コメディとして湯長谷藩を守る内藤政醇の奮闘が描かれていますが、実際の湯長谷藩1871年明治4年)の廃藩置県まで存続しました。

 

5.内藤政醇(ないとうまさあつ)

映画の主人公、佐々木蔵之介演じる内藤政醇湯長谷藩の第4代藩主に当たります。

正徳元年(1711年)、第3代藩主・政貞の長男として生まれ、享保7年(1722年)、父の死去により跡を継ぎ、享保10年(1725年)に将軍・徳川吉宗御目見し、享保12年(1727年)12月に叙任しました。

「忠孝・倹約・扶助」を旨とする藩法を定めたことでも知られ、それは映画の政醇のキャラクターと一致しています。

寛保元年(1741年)10月14日、物語の6年後、帰国直後に死去、享年31歳でした。跡を長男・政業が継いでいます。


6.松平信祝(まつだいら のぶとき)

この映画のカウンターヒーロー、陣内孝則扮する、松平信祝は、江戸時代中期の大名・老中で、下総古河藩の第2代藩主、三河吉田藩主、遠江浜松藩初代藩主、松平伊豆守系大河内松平家4代となります。

古河藩初代藩主・松平信輝の長男。宝永6年(1709年)7月27日に父の隠居により家督を継ぎました。

奏者番大坂城代、老中など要職を歴任し、8代将軍・徳川吉宗享保の改革に参与しました。延享元年(1744年)5月25日、病気により老中辞職を願い出るが許されず、5月29日。実際は27日に死去しました。享年62歳でした。


7.参勤交代

「参勤」とは国元から江戸へ赴く旅、「交代」または「就封(しゅうほう)」とは国元に帰還する旅のことになります。参勤は一定期間主君のもとに出仕し、任期が満了すると暇を与えられて領地に帰り政務を執ることを意味します。

鎌倉時代にみられた御家人の鎌倉への出仕が起源とされ、将軍に対する大名の服属儀礼として始まりましたが、寛永12年(1636年)に徳川家光によって徳川将軍家に対する軍役奉仕を目的に制度化されました。

この制度では諸大名は一年おきに江戸と国許を行き来しなければならず、国元から江戸までの旅費だけでなく江戸の滞在費までも大名に負担させていたため、各藩に財政的負担を掛け、諸藩の軍事力を低下させる役割を果たしました。

とはよく言われていますが、これはあくまで副次的なものにすぎず、太平の世にある江戸時代に将軍と大名との主従関係を示すための軍事儀礼でした。

さらに『御触書寛保集成』によると「従来の員数近来甚だ多し。且つは国郡の費、且つは人民の労なり。向後その相応を以てこれを減少すべし。」とあり、幕府はむしろ大名の参勤交代の際の支出を節減するように求めています。

 

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8.まとめ

いくらなんでもリターン篇の5人奴は関所役人の目をごまかせそうにありませんが面白いから許しましょう。無理を上手な笑いで通してしまうのは、映画のストーリーだけでなく観客の顔まで緩めてくれました。

 

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