映画『おくりびと』!観ておくべき映画とは?これ!でしょう!!

 

 『おくりびと』は、滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の2008年9月13日公開の映画です。凄い映画です。どのくらい凄いかというと、第32回日本アカデミー賞(2009年)は、最優秀作品賞『おくりびと』、最優秀監督賞「滝田洋二郎」、最優秀脚本賞小山薫堂」、最優秀主演男優賞「本木雅弘」、最優秀助演男優賞山崎努」、最優秀助演女優賞余貴美子」、最優秀撮影賞「浜田毅」、最優秀照明賞「髙屋齋」、最優秀録音賞「尾崎聡・小野寺修」最優秀編集賞「川島章正」で、最優秀ノミネートが、優秀主演女優賞「広末涼子」、優秀音楽賞「久石譲」、優秀美術賞「小川富美夫」
となり、受賞を逃したのが、当たり前ですが、最優秀アニメーション作品賞、最優秀外国作品賞ぐらいです。

要するにこの年の日本アカデミー賞は『おくりびと』が独占したといっていいでしょう。さらには、本場の第81回アカデミー賞(2009年)で外国語映画賞を受賞しています。

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映画は、主人公の小林大悟本木雅弘)がオーケストラで演奏しているところでもなく、失職して妻の美香(広末涼子)を連れ、故郷の山形へ帰ったところからでもなく、大悟とNKエージェント社長の佐々木生栄(山崎努)が静々と納棺の儀を執り行うところから始まります。

 

納棺の儀とは、遺族の前でご遺体の仏衣を手際よく着せ替え、同時に手早く浄めていく所作をいい、張り詰めた空気と真摯な表情が、観客までも緊張させます。普段見ることのない、このような技術と仕事が存在していたことにまず驚かされます。

 

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ここで話は、サイドステップし、遺体の体を浄める段になって、若くて綺麗な女性の自殺したご遺体のつもりにもかかわらずあらぬところにあらぬものがあって、遺族に死に化粧を女性風にするか男性風にするかを尋ねることになってしまい、沈痛な雰囲気にぽっと灯りをつけます。ここまでで、観客の心をがっちりつかみ、もうペースにはまりこまされてしまいます。

 

ここから話は順序立ててはじまります。念願だったチェロ奏者になった途端オーケストラが解散、張り切って買った高価なチェロの借金を残し失職した大悟は、夢をあきらめ故郷の山形に戻ります。それでも優しくけなげな妻の美香のため、少しでも高給の仕事を探していた彼の目に、ある求人広告がとまりました。

 

「旅のお手伝い」ということで、旅行代理店か何かと思い面接に行ってみると、旅は旅でも「あの世への安らかな旅立ちのお手伝い」でした。遺体を浄め最後の別れを演出する納棺師の仕事なのでした。

 

妻の美香は職を変えるまで実家に帰るといって出てゆき、同級生の山下(杉本哲太)にはどうでもいいがもっとましな仕事に就け、子供には挨拶もするなといわれほど、忌み嫌われる仕事でした。

 

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それでも、仕事を辞めなかったのは、佐々木社長の仕事への真摯な姿勢とご遺体への敬意に打たれ、何より丁寧で厳かな仕事に感銘を受けたご遺族からの謝意や賛辞によってでした。

 

なんだかんだあって、ここで場面は冒頭のシーンに戻ります。女性風死に化粧を施したご遺体の遺族に泣いて感謝されるのでした。

 

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大悟のチェロの演奏の流れる中、いろんな人の納棺シーンが映され、時の経過と納棺という仕事の厚み深みを見せてゆきます。ある日家に帰ると美香が帰っていました。そして突然の電話呼び出しに世話になった銭湯の女主人山下ツヤ子(吉行和子)の急逝を知らされます。

 

大悟は美香を連れてお悔やみに行き、ツヤ子の息子である同級生の山下の前でツヤ子の納棺をします。いつもツヤ子が身に着けていたスカーフをそっと巻いてあげます。大悟の心の籠った納棺の儀に山下は感謝の念を投げ、美香は大悟の仕事を理解するのでした。

 

惜しむらくは、美香と大悟の慈しみに満ちた目線のシーンをもう5秒尺を伸ばしていてくれてれば言うことはなかったのですが...

 

大悟が幼児のころ、女とできて出奔したきりの父親(峰岸徹)の訃報が届き、周囲の人々に背中を押されて遺体を引き取りに行ったものの、葬儀屋の粗雑な遺体の扱いに見かねて、自ら納棺をすることになりました。

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数珠をかけるため遺体の指をほどいたところ、大悟と父親とで交わした石文が出てきて、一気に大悟の目に父親の面影が蘇るのでした。

 

この映画、ストーリーの展開、場面の切り替え、そのほか銭湯の常連客が葬儀場の作業員(笹野高史)であったり、小道具の石文、場面転換の白鳥の渡り、と心憎い細工を数えるときりがないくらいです。

 

職業差別、死への尊厳、等の論議はこの映画の価値を高めてもおとしめるものではありません。ドラマとしての空間、漂う精神、思考の広がり、思索の提議、と賛辞は尽くせませんし、素晴らしい映画であることには間違いがありません。

 

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