映画『アポロ13号』半世紀前の事実を四半世紀前に作られた現代に通じる映画です!!

 

この映画は実際のアポロ13号の船長であるジム・ラヴェルのノンフィクション「Lost Moon」を原作としたアポロ13号爆発事故の実話に基づく1995年のアメリカ映画です。第68回アカデミー賞(1996年)において編集賞、音響賞の2部門で受賞しています。

監督はロン・ハワード、主演がトム・ハンクス、他、ケヴィン・ベーコンゲイリー・シニーズエド・ハリスと実力派ぞろいのキャストで名実ともに歴史的名作と言って間違いありません。

 

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目次

 

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1.プロローグ

この事件は前代未聞、人類が初めて直面した危機的事故を危機対応の鮮やかさによって乗り越えて、「成功した失敗「"successful failure"」、「栄光ある失敗」などと称えられましたが、もうお気付きのようにこの宇宙船の名称が13号でキリスト教徒のみならず日本でも忌み嫌われている数字を含んでいます。

'70年4月11日、現地時間の13時13分に打ち上げられたアポロ13号は、「7+0+4+1+1=13」と「13」づくしとなっています。現に映画では、船長ジム・ラヴェルトム・ハンクス)の妻、マリリン・ラヴェル(キャスリーン・クインラン)は13号という不吉な数字に不安を感じていましたが、ジムは気にしていないばかりかこの打ち上げ日時を選んだのはスタッフの総意であったそうです。

さらに、乗組員の3人の名前「James+Fred+Jack」は13文字ですし、13号に乗るはずだったケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)が搭乗できなくなった原因の風疹をヨーロッパでは「ドイツはしか(German measles)と言い、やはり13文字。もちろん、事故が起こってからこじつけられたものもありますが、打ち上げ前から国民は惨事発生の予兆を「13探し」に求めようとしました。

妻の問いかけに、ラベルは「12の次だからさ」と答えています。彼やクルーやスタッフにとって月への旅に迷信や数霊術(ニューメロロジー)の入り込む余地はまったくなかったのですが、月の引力圏にはいる4月「13日」にこの事故が起きるとは誰も予測しなかったでしょう。

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2.当初計画に無く起こった事象

1)メンバー変更

既述のように打ち上げ2日前になって予備チームの1人が風疹にかかり、抗体をもっていないケンは感染・発症の可能性があるとして、NASAから搭乗権を取り消されてしまいます。ケンはひどく落胆しますが、予備チームの司令船パイロットのジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)が代役として突然月行きが舞い込んだことになりました。

2)エンジンの故障

1970年4月11日13時13分、アポロ13号はサターンVロケットで発射しましたが、5基あるエンジンのうち1基(中央5番)が停止したもののミッションに影響はなく、打ち上げは無事に成功しました。

 

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3)爆発事故

4月13日22時、アポロ13号は地球から約32万キロの地点に到達して、月までもう少しのところまで迫ったところで、ヒューストンの管制室はジャックに、機械船の液体酸素タンクを攪拌するよう指示を出すしました。ところが、ジャックが攪拌スイッチを入れた途端に大きな爆発音がし、機体は激しく揺れます。大量の警告ランプが鳴り、酸素残量の計器が見る見る間に減っていきます。計器の故障も疑われましたが、ジムが窓から気体の流出を肉眼で確認しました。事態の深刻さを把握したヒューストンは、酸素の流出を止めるために燃料電池の反応バルブを閉じるように指示。それは月面着陸が不可能になる事を意味していました。

 

4)軌道修正

NASAでは主席管制官ジーン・クランツ(エド・ハリス)が、専門家から各部の設計者や作業員まですべての関係者を召集し対策を練っていました。議論の結果、アポロ13号は月の周りを1周し、その勢いを利用して地球に帰還する「自由帰還軌道」をとる事が決まりました。

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5)オデッセイからアクエリアス

すでに大半の電力を失った司令船(愛称オデッセイ)は、クルーの生命維持と地球への再突入用の電力を残すために電源をシャットダウンし、着陸船(Lunar Excursion Module“LEM”愛称アクエリアス)に移動する事になります。そうして地球までの帰路は月着陸船で向かう事になるのですが、その誘導プログラムを着陸船に移さなければアポロ13号は宇宙で完全に迷子になってしまいます。しかも通常3時間かかる着陸船の起動作業を、司令船の酸素残量である15分以内に行わなわなければなりませんでした。

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6)電力の確保

間もなく、なんとか作業を完了したクルーは司令船の電源を落としましたが、一度落とした電源が極寒の影響などで再起動できる保証はありませんでした。
現在の消費電力の60アンペアでは、大気圏に突入する前に月着陸船の電池が干上がることが判明します。管制官のジョン・アーロン(ローレン・ディーン)の主張で、電池を温存するために生命維持に直結しない機器は全て電源を切ることになりました。暖房も停止するため船内は摂氏1度まで冷えこみ、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)は寒さと脱水が原因で体調をくずし発熱までしてしまいました。

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7)二酸化炭素濃度の上昇

瀕死の宇宙船に試練はまだまだ続き、二人乗りの月着陸船に3人が避難したせいで空調設備の二酸化炭素吸収フィルターの濾過(ろか)が追い付かず、このままでは船内の二酸化炭素濃度が中毒死に至るまで上昇してしまうのです。
司令船の空調設備には新品のフィルターがありましたが、月着陸船のそれとは形状が異なり、月着陸船の空調設備にはまりません。そこでヒューストンの担当者は、月着陸船の空調設備と司令船のフィルターをつなぐ「アダプタ」を船内にあるもので作成できるように考案し、二酸化炭素濃度は安全レベルにまで落とすことができました。
今では考えられないようなミスマッチですが司令船と着陸船が異なったメーカーであったならこのようなことも有り得たのでしょう。

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8)帰還軌道修正

宇宙船が地球への正しい軌道を外れつつあることがわかってきますが、メインエンジンが使えないため軌道修正には本来月への離着陸のためにある月着陸船のブースター噴射を利用する事になりますが、電力を消費する誘導コンピュータや自動操縦装置を使用できない状況のため、三人は手分けした手動操作で姿勢制御と軌道修正に挑戦し、見事成功させました。

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9)司令船の再起動

電源を落とした司令船のシステム再起動のプランがなかなか出来上がりません。再突入のための電力残量が不足していて、地上のケンとアーロン達がシミュレーターに籠り、司令船再起動に際しての作業手順を省くなどあらゆる工夫を試しているのですが、誘導プログラムや交信装置、スラスターやパラシュート作動のモーターなど、どうしても必要最低限の物があり、どんな手順で行なっても4アンペア足りないのでした。悪戦苦闘の末、ケンは司令船から月着陸船へ電力を供給している電線を逆流させ、逆に月着陸船の電力を司令船に移すプランを発見します。
司令船のコンピューターは長時間シャットダウンした状態で凍り付いていたため、再起動しない可能性もあり、また結露によりショートする恐れもありましたが、ケンの指揮のもと司令船を無事に再起動させることができました。

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10)大気圏突入

さて、いよいよ大気圏突入が迫ってきますが、運の悪い事に着水海域にはハリケーンが迫っており、またスラスターやパラシュートが凍結している恐れ、シールドにヒビがある可能性など、不安要素は山積みでした。これらの不具合はどれもがクルーの死を意味します。さらに侵入角度が浅くなってきてる事も判明しましたが、これらの問題のすべてには、もはや対処の手段がなく、ここまで英知の限りを尽くして困難を克服してきたクルーもスタッフも、あとは幸運を祈ることしかできないのでした。
間もなく司令船は超高速で大気圏に再突入し、摂氏数万度の火炎に包まれ、ヒューストンとの交信も途絶します。ヒューストンは無線で司令船を呼びかけますが、交信復帰予定の3分を経っても応答はありません。4分が経過し、誰もが最悪の事態を覚悟したとき、司令船が応答し、青空にオレンジ色のパラシュートが花開きました。

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3.エピローグ

 当初、司令船の操縦士にはケン・マッティングリーが予定されていましたたが、予備着陸船操縦士のチャールズ・デュークが血液検査の結果、風疹に感染している可能性があり、風疹に免疫がないマッティングリーに伝染する可能性が高かったため、スワイガートと交替になりました。このため、着陸船に取り付けられていた銘板はマッティングリーの名が刻まれており、後で交換するためにスワイガートの名が刻まれた物が司令船に持ち込まれていました。月着陸を果たせず、交換できなかった銘板は地球へ持ち帰られました。

しかしながら、司令船のオペレーションに詳しいケン・マッティングリーが地球に残りさまざまなシミレーションを行えたおかげでこの未曾有の困難を無事乗り切れたのでした。マッティングリーは後にアポロ16号とスペース・シャトルSTS-4、STS-51-Cで飛行し、海軍少将まで昇進した後、NASAおよび海軍から退役しました。2019年現在、未だにケン・マッティングリーは風疹を発症していないそうです。

なお、迷信や不吉な数字を排除し、敢えて「13」という数字に不遜なまでにこだわったアポロ13号計画でしたが、この映画では、主席管制官ジーン・クランツが管制室に入場するときにゲンを担いだ彼の妻の手作りのベストを着こんだのは皮肉をこめたのかも知れませんね。

 

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