映画『ドローン・オブ・ウォー』現代の戦闘とその闇を観ることになります?!

 

この映画は『ターミナル』や『ロード・オブ・ウォー 』のアンドリュー・ニコルの脚本・監督で主演はイーサン・ホークのタッグで描いた2014年アメリカの戦争ドラマです。

目次

  

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1.プロローグ

ラスベガスの基地で無人機ドローンを遠隔操作し、クリック一つでターゲットを爆撃する男の姿を通し、現代の戦争の知られざる真相を映します。共演は、『スター・トレック』シリーズなどのブルース・グリーンウッドや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのゾーイ・クラヴィッツ。ゲームのように攻撃を実行する現代の戦争の異常性にがく然としてしまいます。

この映画はその無人機(ドローン)とはどういうもので、オペレーションの実態、そして、それに人はどういう風に関わっているのかを描いています。

ドローン・オブ・ウォー』(原題: Good Kill)は、2014年にアメリカ合衆国で製作された戦争映画です。第71回ヴェネツィア国際映画祭に出品され、後に、2014年のトロント国際映画祭でも上映されました。


2.最近の実際のドローン作戦

2020年1月2日夜、アメリカ軍は、イラン・イスラム革命防衛隊のコッズ部隊のガーセム・ソレイマニ司令官を、イラクバグダッド空港近くで無人機をもって爆撃し、殺害しました。
アメリカ防総省は、この軍事行動はトランプ大統領の指示により、イラク、及び中東全域における米国の権益を脅かすイランの攻撃計画を阻止する為に実施されたとの声明を発表しました。

ソレイマニ司令官がシリアからバグダッド国際空港に到着した時、イラクの当局者がいれば中止という作戦でしたが、殺害を検討し始めてから情報網、電子機器、偵察機などあらゆる方法で監視・追跡を行い、現地でイラク当局者がソレイマニの乗る車に同乗していなかったことからミサイル・ヘルファイヤR9X『ニンジャ』2発が発射されました。

発射したのは、カタールの軍事基地から飛ばされたアメリカ特殊作戦軍の無人航空機・MQ−9リーパーで、アメリカのネバダ州の空軍基地から遠隔操作されたされたものです。
リーパーはほぼ無音で飛んで1850キロの航続距離を誇り、『空の暗殺者』とも呼ばれるように主に攻撃用で設計されていますが偵察でも使われ、昨年10月にイスラム国の最高指導者・アル=バグダーディーを殺害した際にもヘリや戦闘機と一緒に投入されています。

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3.ドローンとは

日本の報道ではここで言う、無人(航空)機を「ドローン」と表現していましたが、民間で使われているドローンとは言うまでもなく性能、装備、形態までも大いに異なっています。撮影・観測・運搬・薬剤散布、などを使用目的とする民間用と、偵察・爆撃などの軍事目的に用いられるもとは「無人」と言うのが共通するだけで、月とスッポンのごとく異質なもので価格からして軍事用は数十億円します。


4.この映画のドローンの緒元

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MQ-9 リーパー(Reaper:英語で「刈り取るもの」や「死神」などの意)は、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社製。

長い航続距離と高い監視能力および攻撃能力を持つハンターキラー無人機であり、原型となったMQ-1 プレデターよりも機体が大型化され、性能が大幅に向上しています。

第二次大戦の日本のゼロ戦に比べると大きさは一回り大きく、航続距離は2.3倍もあります。

名称: MQ-9 リーパー
製作: ジェネラル・アトミックス
操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
エンジン: ハネウェル TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft)
翼幅: 20 m (66 ft)
空虚重量: 2,223 kg (4,900 lb)
最大離陸重量: 4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft)
運用高度: 7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
レーダー: AN/APY-8 Lynx II
センサー: MTS-B


名称: 零式艦上戦闘機五二型
製作: 三菱重工業
全幅: 11.0m
全長: 9.121m
全高: 3.57m
翼面積:21.30m
自重: 1,856 kg
発動機: 栄二一型(離昇1,130 hp)
最高速度:533.4 km/h (288kt)
@高度4,700m 565 km/h (305kt)
@高度6,000m 572.3 km/h (309kt)
@高度6,000m
上昇力:  6,000mまで7分1秒
航続距離: 全力30分+2,560 km(増槽あり)/1,921 km(正規)
武装
 翼内20mm機銃2挺(携行弾数各100発)
 機首7.7mm機銃2挺(携行弾数各700発)
爆装:30kg又は60kg爆弾2発

 

5.問題点

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機体そのものに人間が搭乗しないため、撃墜されたり事故を起こしても操縦員に危険はないうえ、衛星経由でアメリカから遠隔操作が可能であるため、操縦員は長期間にわたって戦地に派遣されることもなく、任務を終えればそのまま自宅に帰ることも可能となります。

このような無人機の運用は、操縦者が人間を殺傷したという実感を持ちにくいという意見があり、「いつミサイルを発射してもおかしくない状況から、次には子どものサッカーの試合に行く」という平和な日常と戦場を行き来することになる、従来の軍事作戦では有り得ない生活を送ることや、敵を殺傷する瞬間をカラーテレビカメラや赤外線カメラで鮮明に見ることになり、無人機の操縦員に大きな精神的ストレスを与えているという意見もあります。

国際政治学者のP・W・シンガーによると、無人機のパイロットは実際にイラクに展開している兵士よりも高い割合でPTSDを発症しているそうです。


6.映画『ドローン・オブ・ウォー』の概要

 映画の中でジャック・ジョンズ中佐(ブルース・グリーンウッド)が新任の隊員を前に教訓を述べますがこれがこの映画のすべてを語っています。

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諸君、あの航空機は戦争の未来の姿ではない、いまここに存在する。戦域ではあのような航空機が昼夜上空を飛び交っている。特に”エデンの東”別名アフガニスタンで、今やあの国の”国鳥”だ。
我々がラスベガスからアフガニスタンまで飛ぶのではない、そんなことは承知だろう離陸も着陸も全て神が見捨てた交戦対手の地で行われる。機体が空中に上がったら我々が操作を引き継ぐ、ここにいる彼らが諸君に基礎を教える
その前にこれだけは言っておきたい。我々は国民から叩かれ感情的な論争も耳にする、車のステッカーにも”椅子に座った軍の(チェアフォース)ゲーム戦争”と言わせておけ米国空軍はドローンをさらに増やす正しくは”遠隔操縦航空機”か
ドローンは飛んでない、実際には方々で飛んでいる。言い換えはウンザリだ。差し障りのない言葉で表現を濁す”標的排除””局部攻撃””脅威の無力化”だが勘違いするな我々は人を殺している。
日々、諸君の頭に叩き込む、これはゲームじゃない、しかしお偉方は認めないが、モデルはXboxだ
諸君の半分はゲームセンターでリクルートされた”シューティングゲーム”だ。しかし、引き金を引くことはここでは現実だ。吹き飛ぶピクセルは人の体、人の血だ。引き金を引けば誰かが死ぬ。後略...

 

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ラスベガス郊外に住むイーガン少佐(イーサン・ホーク)は中東で活躍した元F-16パイロットですが、今では近くの空軍基地に勤めています。だが彼は毎日アフガニスタンの上空に「出撃」してタリバンを駆逐しています。彼が操るのは無人機=UAV。妻子が待つ家庭と戦場をマイカーで行き来する異様な毎日は、やがて彼の心をむしばんでゆきます。

この戦争映画には、爆発音も叫び声も銃声もありません。史上もっとも静かな無音の戦争に違いありません。ラスベガスの基地の、コンテナのような操縦ユニットから操られる無人機は、遠く離れたアフガニスタンの空を飛び、監視し、爆撃します。パイロットは命を失うリスクゼロでその仕事を行い、吹き飛ばした人間の肉片をズームカメラで確認して家路につくことになります。

「この仕事でもっとも危ないのは帰りの高速道路だよ」と語り、寄り道したコンビニ店員に「いまさっきタリバンを6人吹き飛ばしてきたよ」と話すとナイスジョークと笑われる。それが彼らの日常でなのです。

このディテールの豊かさはこの映画の大きな見所となっていて、いままでにこんな映画はなかったし、およそ近年の戦争映画で、「様変わりの戦争」という意味で、これほど強い説得力で衝撃を与えるものもありません。

 

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7.まとめ

この映画で、ドローンの戦闘についての知識をたくさん得られるし、この戦争はこれまでとは全く異なるものだと理解もできます。ドローンはある意味悪魔の使いであり、無敵の兵器です。下界の人間の命は、いつでも奪うことができるわけです。

しかしながら、その判断をパイロットはしません。誰を殺すかは誰か別の人間が決め、自分は引き金を引くだけです。そこが通常の戦闘現場とは決定的に異なり、他人の命を奪うという決断を、他人任せにすることがどれほど人の心を破壊するか、この映画は見事に描いています。


余談ですが

イーガン少佐の愛車を観てなにか懐かしいものを感じました。
そう、トヨタの二代目マークⅡ(1972年1月発売)です。トヨタのクルマはよくそっくりさんが出てきますがフロントが実によく似ています。
本家は、 1967年のポンテアック ファイアーバード(Pontiac Firebird)でした。

 

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