映画『勝手にしやがれ』言わずと知れたヌーベルバーグの記念碑的作品です!!

この映画『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』は、1960年公開のフランスの映画です。ヌーベルバーグの記念碑的作品であり、フランソワ・トリュフォーが原案、クロード・シャブロルが監修、ジャン=リュック・ゴダールが監督・脚本を務めました。

主演は、ジャン=ポール・ベルモンドで、ジーン・セバーグが共演しています。

目次

 

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1.紹介

時間の経過を無視して同じアングルのショットを繋ぎ合わせるジャンプカットという技法を用いたり、手持ちカメラでの街頭撮影や、高感度フィルムの利用、さらには、即興演出、隠し撮り、唐突なクローズアップなど、これまでの映画の既成概念をひっくり返し、それまでの映画の文法を壊し、映画史に残る作品となりました。
本作でゴダールはヌーベルバーグの旗手となり、アメリカン・ニューシネマなどに多大な影響を与えています。


2.ストーリー

1)プロローグ

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フランス・マルセイユアメリカの俳優ハンフリー・ボガートに憧れている自動車泥棒のミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)はこの日もいつものように車を盗み、パリに向かう途中で白バイの警察に追跡されます。

うまく振り切ったかと思ったものの、車が途中で故障し、やむなく車内にあった拳銃で警官を射殺して逃走しました。


2)パリの二人

パリに着いたミシェルは知り合いの女から金を盗んで街に出ます。ミシェルは旅行案内所のアントニオ(アンリ=ジャック・ユエ)の所へ約束の金を受け取りに行きますが渡されたのは小切手でした。

すぐにも現金がほしいミシェルは、ベリユッティという男が小切手を現金化してくれると聞き、早速彼のもとに行こうとしますが、途中で2人組の刑事に尾行されます。

辛うじて追っ手から逃れたミシェルは、前の日に南仏の海岸で出会ったパトリシア(ジーン・セバーグ)というアメリカからの留学生のもとへ向かいます。

パトリシアは新聞社の記者見習いや売り子をして生計を立てています。ミシェルはパトリシアのアパートに転がり込み、2人でしばしの時を過ごします。

その後、パトリシアは空港にてある作家のインタビューの仕事に向かい、ミシェルは盗んだ車を中古車屋に売ろうとしますが、ミシェルを怪しみ現金を出し渋る店の主人を殴って逃げ出しました。

 

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3)追い詰められて

仕事を終え、新聞社に戻ったパトリシアのもとに刑事が訪ね、ミシェルに関する情報提供を求められますが彼女は何も答えず、刑事はミシェルの居場所が分かったら連絡するよう言い残してその場を立ち去ります。

パトリシアはミシェルと合流してモンマルトルへ向かい、ようやくベリユッティと対面して翌日にも現金が受け渡しできることになりました。

その夜、二人はベリユッティの友人の家に泊ります。ミシェルは、金が手に入ったら外国へ一緒に行こうとパトリシアを誘い、彼女は了承します。

しかし翌朝、パトリシアの気持ちは変わっていました。彼女が一番欲しいものは「自由」だったのです。パトリシアは密かに警察に密告し、一方で旅仕度をしているミシェルに10分後に警察が来ると伝えます。

ミシェルはベリユッティのところに金を受け取りに向かいますが、そこに警官隊が現れました。金を持ってきたベリユッティはミシェルに逃げろと言いますが、ミシェルは「疲れた」と言って逃亡を拒否します。


4)エピローグ

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その時、ミシェルの背後から警官の銃弾が放たれます。よろめきながら路地を歩き、やがて倒れたミシェルは、駆け付けたパトリシアに「お前は最低だ」と呟いて絶命しました。

 

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パトリシアには「君は本当に最低だ」と、かすれ声で言われたその言葉が訊きとれず、「彼はなんて言ったの?」と刑事にたずねると、「あなたは本当に最低だと彼は申していました」と伝えられて、パトリシアは「最低ってなに?」と訊き返すのでした。

 

 

 

 


3.四方山話

1)原案

難解で敷居が高そうと思われがちなゴダール作品ですが、本作のストーリーはごくシンプルで、ざっくりいえば、パリのアメリカ娘に恋い焦がれて、息が切れるまで疾走したチンピラの物語です。

トリュフォーの原案は1952年にフランスで実際に起きた事件からヒントを得たといわれています。


2)原題

原題の「À bout de souffle」は、「息せき切って」という程度の意味のため、1983年にアメリカでつくられたリメイク版も仏タイトルのほぼ直訳の『ブレスレス』になっています。 沢田研二の代表曲「勝手にしやがれ」のタイトルは、この映画が元になっているそうです。


3)ポーズ

ジャン=ポール・ベルモンドが演じる主人公・ミシェルはハンフリー・ボガートに憧れ、ソフト帽を被って粋がっています。

しきりに繰り返す、親指で唇をなぞる仕草は『マルタの鷹』(1941年)のボギーの真似だという説もあります。「トッポイ」という表現が一番ピッタリにな、半世紀前の若者の姿です。


4)至言の宝庫

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次から次へとあふれ出す台詞のすべてにゴダールの恋愛観、男性観や女性観を見る思いですが、特にオルリー空港でパトリシアが取材する小説家に扮したフィルム・ノワールの巨匠、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の名演での問答は至言の宝庫です。

また、絵画や小説、音楽の引用、すべてが新鮮で少しも古びていません。やり方がわかったとしても、間違いなく誰もが使える技ではないことは明らかでしょう。

 

4.まとめ

映画史上で大きな分岐点となるヌーベルバーグの代名詞であり、スタイリッシュな現代映画に通じるカメラワークなど、フランス映画の魅力が満載でした。

ゴダールは、現代映画の表現を先駆け革新したという部分では、全ての映画監督に影響を及ぼした人物でしょう。本作において、ゴダールは映像的な革新者ではありますが、難解さは少なく近年の映画にも多く観られるような表現が多い分、受け入れやすいく感じます。

そして何よりアンチヒロイズムの象徴のようなベルモンドと、ファッショナブルな小悪魔であるジーン・セバーグの魅力が堪能できました。

 

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