映画『テルマエ・ロマエ』は「ひとっ風呂、タイムスリップしませんか。」ですね!

 

公開当時のキャッチコピーは「ひとっ風呂、タイムスリップしませんか。」と「時空を超えた入浴スペクタクル」でした。このキャッチからもこの映画はコメディを匂わせられますが、傑作コメディーの一つに間違いありません。

 

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タイムスリップ映画に不具合やごり押しはつきものなのですが、それを許せるか、許せないかは、面白いか、そうでないかです。

 

この映画『テルマエ・ロマエ』は、不具合満載なのですが、それが面白い、それだから面白いのです。古代ローマ時代の主人公ルシウス(阿部寛)が溺れると現代日本のそれも山越真実(上戸彩)の近くにスリップし、涙を流すと元の世界に戻ります。

 

この設定は、ルシウスに留まらず真美も、さらには真美の父親の山越修造(笹野高史)ほか、周辺の楽しい仲間までローマ時代にスリップしてしまいます。

 

この映画の背景となっている古代ローマの公衆浴場は、バルネア (balnea)またはテルマエ (thermae)といい、古代ローマの多くの都市に少なくとも1つの公衆浴場がありました。社会生活の中心の1つになっていて、古代ローマ人にとって入浴は非常に重要なもので、人々は1日のうち数時間をそこで過ごし、時には一日中いることもありました。

 

テルマエ(公衆浴場)は公の施設として建設され、貧富の差を問わず誰でも利用でき、飲食、運動、読書、商売、哲学的議論などができる場所でした。現代の同等なものを想定するとすれば、それは図書館、美術館、ショッピングモール、バー、レストラン、ジム、温泉が複合された施設とも言えるでしょう。

 

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外国人になぜ毎日公衆浴場に行くのか訊かれたローマ皇帝は「1日に2回行くだけの時間をとれないからだ」と答えたそうです。

 

皇帝は市民を喜ばせ、自らの名声を後世に残すために公衆浴場を築き、裕福なローマ人はローマ市民の名声を得たいときに、公衆浴場を1日貸切にして一般に無料公開しました。例えば、執政官になりたい元老院議員は自身の誕生日に特定の公衆浴場を貸切にして無料開放し、その地区の人々に名を売り人気を得ようとしました。

 

このように古代ローマにおいてはテルマエは政治的にも文化的にもなくてはならない重要なものでした。

 

古代ローマの浴場の設計技師ルシウスは、従来の伝統的な設計思想が受け入れられず悩んでいました。そんな折、ひょっとした偶然で現代日本の公衆浴場にタイムスリップした彼は、その現代では当たり前の浴場の設備や日本の美的センスに衝撃的な感銘を受けるのでした。

 

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古代ローマにもどったのち、それを再現した彼のテルマエは革命的だと大ヒットし、ルシウスは復権するのですが、現代日本で見たものの単なる模倣でしかないことに悩んでしまいます。

 

ルシウスがタイムスリップする度に、ラッセル・ワトソンが唄うプッチーニ作曲の歌劇『トゥーランドット』の中の名アリア「誰も寝てはならぬ」が響き渡ります。

 

前半はほぼヤマザキマリによる漫画作品の原作通りの展開で、われわれ日本人としてはとるにたらない日常ありふれたアイテムに、生真面目なルシウスがいちいち驚く姿が面白く、ウォシュレットや温水シャワー等々、そこで巻き起こる珍騒動が繰り広げられます。

 

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後半部分は、漫画家志望の真実が活躍するというストーリーで、映画オリジナルの展開になっています。ただ、原作のコミックスは劇場用の長編ストーリーに適した内容ではなく、『テルマエ・ロマエ』は1話完結の短編コメディで、たまたま人気が出たため連載マンガとして毎回色々なネタを作り出すようになりましたが、内容は似たようなエピソードの繰り返しで本来大したストーリーはありません。

 

そこで2時間の映画に引き伸ばすべく原作ではサブキャラ扱いだった真実を物語の牽引役として配置しています。前半は阿部寛がほとんど衣を着る間も無い渾身の全裸芸で繰り出す浴場カルチャーギャップで笑わせてくれますが、後半は結構シリアスな方向へ流れてしまい、ストーリー全体のバランスがもう一つなのを、辛うじて真実の父とその愉快な仲間の集団タイムスリップでなんとかつじつまを合わせているようにみえます。

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もう一つのセールスポイントは「顔の濃い俳優揃い」でしょう。主演の阿部寛 をはじめ、第14代ローマ皇帝ハドリアヌス市村正親、次期皇帝候補ケイオニウスの北村一輝、次期皇帝候補アントニヌスの宍戸開、といずれ劣らぬ濃い顔の持ち主が揃いました。これならチネチッタ・スタジオの巨大な古代ローマの街のオープンセットを現地のエキストラに交じってもそう違和感は感じません。

 

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それにしても、かつては『ベン・ハー』や『クレオパトラ』などの超大作映画が製作された由緒あるヨーロッパ最大規模のスタジオを使ったロケーション撮影は、背景合成では決して得られない迫力と臨場感を描き出していました。

 

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