映画『ローン・サバイバー』いろんなところでイタイ映画です!!

 

 


この映画はかって『ブラックホーク・ダウン』がそうであったように、米軍の作戦が失敗に終わった実話に基づいています。

 

からして、その中身は娯楽映画のスリルや爽快感とはまったく異質で、ハードなリアリティを突きつめた戦場描写は凄惨を極めていて、ひたすら戦闘シーンが続く戦場疑似体験映画になっています。

 

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ローン・サバイバー』もその流れを汲む戦闘映画で、中身の出来の良さも、かの傑作に追随しています。

 

ここでは、ネタバレの「あらすじ」と「ネイビー・シールズ」「レッド・ウィング作戦」「パシュトゥーンワーリ」などのキーワードを解説します。

 

目次

 


1.あらすじ

2005年6月、アフガニスタン山岳地帯。 ターリバーンの幹部の排除・殺害を目的としたアメリカ軍のレッド・ウィング作戦に、アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズのマイケル・マーフィー大尉(テイラー・キッチュ)ら4名の兵士はヘリからロープで険しい山岳地帯に降下します。

 

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彼ら偵察チームの目的は現地を偵察して無線連絡、味方の攻撃チームを誘導し、可能であれば目標を殺害することで平易な任務と認識していましたが、思いがけず山中で山羊飼いの3名の現地人と接触してしまい、拘束した3名をどう処置するか、電波状態が悪く前線基地との連絡が取れない中、止むを得ず彼らは作戦を中止し、ターリバーンとの交戦を覚悟の上で3名の現地人を解放しました。

 

それから1時間とたたないうちに彼らは山中で100名を超えるターリバーン兵に囲まれ、交戦状態に陥ります。精鋭部隊であるシールズの4名はライフルを手に徹底的に戦う。だが数に勝りライフルや機関銃、RPG武装するターリバーンの猛烈な攻撃の前に次々に被弾、負傷し、時には仲間を背負って逃げ、時には崖から転がり落ちるように飛び降りて、後退に後退を重ねました。

 

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この交戦でマイケル大尉ら偵察チームの3名が死亡。衛星電話で決死の連絡を試みた大尉が救援を要請することに成功し、味方のシールのエリック・クリステンセン少佐(エリック・バナ)以下の救援部隊がチヌークヘリで現地に到着しますが、別地域で作戦を行っている部隊の救援に護衛のアパッチが出動してしまっており、護衛抜きでホバリングしていたチヌークヘリはターリバーンのRPGで撃墜されてしまいます。

 

深手を負い、たった一人生き残ったマーカス・ラトレル一等兵曹(マーク・ウォールバーグ)は、現地人の親子に救われ、彼の村に匿われます。グーラブ(アリ・スリマン)ら村人は数世紀に渡り守られてきた部族の掟である「パシュトゥーンワーリ」に従って、ターリバーンと戦う事を決め、アメリカ軍基地に徒歩で救援を求めます。村は多数のターリバーン兵の猛烈な攻撃に晒されますが、そこへ味方の救援部隊が攻撃ヘリなどを伴い到着しターリバーン兵は退散します。

 

  

 

2.ネイビー・シールズ

ネイビー・シールズ(United States Navy SEALs)は、アメリカ海軍の特殊部隊で、アメリカ海軍特殊戦コマンドの管轄部隊であり、2つの特殊戦グループ、8つのチームに分かれて編成されています。ベトナム戦争における南ベトナム解放民族戦線掃討を目的として1962年1月1日に結成されました。

 

SEALsという名称は、SEがSEA(海)、AがAIR(空)、LがLAND(陸)と、陸海空のアルファベットの頭文字から取られており、アザラシ(英: seal)に掛けたものでもあるそうです。個々のチームは単数形の「SEAL」であり(SEAL Team 1から10まで)、総隊は複数形の「s」が付きます。

 

ちなみに、チーム6は対テロ特殊部隊DEVGRUとして独立しています。チーム9は欠番となっています。

 

その名の通り陸海空問わずに偵察、監視、不正規戦等の特殊作戦に対応出来る能力を持っていて、『ネイビー・シールズ:チーム6』や『ゼロ・ダーク・サーティ』で取り上げられたように、2011年5月にはウサーマ・ビン・ラーディンの殺害作戦を遂行しています。

 

ネイビーシールズの隊員は、過酷な訓練を経て、高度な水泳と潜水スキルを持っており、危機的状況において「水のある所へ逃げる」ことで難を逃れた事例も多く、SEALs輸送チームなどを除きパラシュート訓練が必須となっているため、空挺作戦も可能となります。パラシュート降下時にゴムボートも降下させて海に着水し、空から水上作戦を展開することができます。

 

また、イラクアフガニスタンソマリアなど海や河川が存在しない地域でも活動しています。極限的な環境である北極圏の水中でも作業できるため、陸上の過酷な環境での作戦従事も多くなっています。

 

任務は通常2名から4名で行動し、場合によっては2の倍数で増員されます。小隊は14人~16人。士官2人、兵曹長・先任下士官各1人、下士官・水兵10人~12人の編成とされます。武器・装備は、任務内容や役割に応じて適意自由に選択されることになります。

 

隊員は、退役後も従事した作戦や任務の内容を外部に公表することを良しとしない伝統があるとされてきましたが、近年は退役後に自らが関わった作戦や任務の一部を公表する者もいたり、映画などのアドバイザーとなったり、出演する者も出ています。

 

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3.レッド・ウィング作戦

レッド・ウィング作戦(Operation Red Wings)は、アフガニスタン紛争において2005年6月27日にアフガニスタン、クナル州の山岳地帯においてターリバーンに対してネイビーシールズが行った軍事作戦です。

 

アフガニスタン東部のクナル州アサダバード近郊では議会選挙の妨害を狙い、旧タリバン勢力の活動が活発化していました。その中において中心的な役割を担っていたのが、150人程度の武装勢力を率いるアフマド・シャーでした。

 

アメリカ軍はこのシャーの排除を決め、ネイビーシールズ・チーム10を派遣することを決定し、本作戦が立案されました。4名の偵察チームを派遣し、可能ならば狙撃により殺害。不可能であれば航空支援による空爆で排除を行う予定でした。

 

最終的にシールズ隊員11名と第160特殊作戦航空連隊の隊員8名の計19名が戦死するという大きな損害を出し、シールズ創設以来最悪の出来事となりました。

 

 

3.パシュトゥーンワーリ

パシュトゥーンワーリー(パシュトー語)とはアフガニスタンで最も多数派のパシュトゥーン人たちの間で用いられる部族掟。日本語で「パシュトゥーン掟」とも表記されます。

 

シャリーアイスラム法)とは別系統の規則体系ですが、旧ターリバーン政権下ではシャリーアと時に混同され、パシュトゥーン人以外の民族にもその遵守が強要された結果、それら民族集団の不満を招きました。代表的な例としては、成人男性にあごひげを生やすことを強制したり、女性にブルカの着用を義務付けました。

 

その一方で「敵から追われている者を、自らの命を懸けて助けよ」という2,000年以上続く掟がパシュトゥーン人にはあり、この映画に表されているように、レッド・ウィング作戦においてただ一人奇跡の生還を果たした元隊員マーカス・ラトレル一等兵曹 は現地のパシュトゥーン人によって匿われたのち、6日後に米軍に救出されました。

 

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4.まとめ

みどころは、ただ一人奇跡の生還を果たした元隊員マーカス・ラトレルの手記『アフガン、たった一人の生還』を原作に映画化を元にし、劇中、ネイビー・シールズ隊員役としてマーカス・ラトレル本人が出演しているだけあって、ディテール豊かな戦闘シーンにつきます。

 

この映画の凄まじさには戦慄を覚え、無数の岩が散乱する急斜面の山肌で身を隠すことさえできず、退却に次ぐ退却を強いられ、起死回生の崖下りも甲斐なく追い詰められてしまします。安易な玉砕をよしとしないシールズは仲間を信じ、満身創痍になるまで勇猛に闘い続けるため、過酷な戦場の現実を不条理なまでに思い知るはめになってしまいます。

 

当然ながらアメリカ側の視点から「レッド・ウィング作戦」が破たんし、多大な犠牲を払う中、なぜマーカス一人が生き残り、生還を果たすことができたのかを描いていますが、そこには私たち日本人が全然知らないパシュトゥーンの掟があったことをしっかり考える必要がありますね。

 

マーカスの前に意外な救世主が出現する終盤の展開も含め、信じがたい驚きに満ちた戦闘映画でした。


P.S.

この話には後日談があって、ラトレルの救世主であった、グーラブは「ラトレル氏を助けたことは後悔していない。しかし、映画を助けるためにしたことは後悔している。いつの日か、彼が真実を話すことを願う。」と語っていて、この映画の原作の真偽が問われていますが、この映画そのものの価値は損なわれないでしょう。