映画『スパイ・ゲーム』見ごたえのある老若ハンサムの共演です!!



 

 

スパイはハードボイルドでなければなりません。ハードボイルドは、感情や状況に流されず、軟弱、妥協を嫌う生き様ではありますが、そこを踏み外してこそハードボイルドの真の値打ちです。

 

冷酷・冷徹な敏腕スパイのネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)がCIA引退の日に、ほとんど味方が無い中でトム・ビショップ(ブラッド・ピット)を助けるために、スパイとしてそれまでに築いた人脈・テクニック・余生を送る資金など全てを総動員して、CIAに立ち向かいます。

 

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ミュアーは、現役のCIA幹部をまんまと手玉に取って、CIA本部に居ながらにしてビショップを救い出してしまいます。痛快にして、心救われるドラマです。

 

CIAエージェントのトニー・ビショップは中国の蘇州刑務所で留置されていたエリザベス・ハドレー(キャサリン・マコーマック)を救出すために現地の協力者とともに蘇州刑務所に潜入しますが、後一歩というところで中国側に捕まってしまいます。中国ではスパイ行為は24時間で死刑が執行されてしまいます。

 

CIAは、通商交渉のさ中、盗聴作戦までが表になると中国との関係を懸念して、単独行動を行ったビショップを見放そうとしますが、あと一日で退職を迎えるミュアーはかつてビショップをCIAにスカウトし、エリザベスを中国にスパイ交換で送致した後ろめたさもあり、ビショップの救出に奮闘することになりました。

 

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蘇州刑務所に拘束されたビショップの調査会議でプロフィールを補足する形でミュアーがビショップについて説明する形で過去を振り返ります。

ベトナムでの出会い、ベルリンでのCIAエージェントへの勧誘、レバノンでの決別、調査会議でこの3つの話をする合間に、ビショップ救出の為に、知力を尽くして、人を使い、情報収集や工作をカモフラージュし、挙句、命令書まで偽造してしまいます。

 

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さらに、ミュアーがマスコミに情報をリークし、国家が救出に動かざるをえない状態にする作戦も驚かされますが、それを誤報扱いにし挙句にビショップは既に死亡していたというカウンターの対応もさすがにCIAです。ベテランスパイの完璧な頭脳プレーとCIAの権力とのせめぎ合いで、まさに「スパイゲーム」が繰り広げられます。


でっち上げた救出作戦が成功して、ビショップとエリザベスは無事救出されますが、この作戦名を「ディナー・アウト作戦」とミュアーは名づけました。それは、レバノンで、まだビショップとミュアーが決別する前にビショップがミュアーの誕生日にスキットルをイギリスから外交特権で取り寄せて贈ったことを言ったものでした。

 

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この映画の中で、ビショップはミュアーを慕い、ミュアーはそんな彼を可愛がります。スパイという非情な任務に就きながら、それでも純粋さを失わないビショップにミュアーは叱責しながらも見捨てません。

それこそがこの映画の要となって、我々は、ミュアーの最後の選択に納得し、胸が熱くなるのも、そんなふたりの関係が丁寧に描かれているからなのでしょう。

 

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ぼろぼろになったビショップが、救出されたヘリコプターの中で搭乗員からこの作戦名を聞かされ、この作戦をミュアーが企てたことを悟ります。

 

間一髪、最後に守衛に軽く手を振ってゲートを颯爽とポルシェで出ていくミュアーに痺れてしまいます。派手なアクションはありませんが、計算されたテクニックと心理戦から、能力に長けた1人のベテランスパイがCIA組織を出し抜く過程がお見事なのですが、ここで事件の責任問題やその後を問うのは野暮と言うものでしょう。

 

カット割り、カメラワーク、音楽などもスタイリッシュでバランスよく、なによりストーリーが判りやすい構成で、スパイ映画とはかくあるべき、という感じの秀作です。